中国から遺体袋20万個、しかも至急で要求された

とんちんかんなプロパガンダは、「権力内部の危機的状況」を露呈

zakzak

中国・習政権に批判集中! ウイルス封じ込めたと言うが…台湾発信「中国から遺体袋20万個、しかも至急で要求された」

 安倍晋三首相は7日夕、新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく「緊急事態宣言」を発令した。対象地域は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県で、期間は当面、1カ月程度。都市部を中心に感染が拡大し、「医療崩壊」が懸念されるため宣言が必要と判断した。こうしたなか、「死のウイルス」への初動対応に失敗し、隠蔽が指摘される中国に対し、世界中で批判が噴出している。駐中米国大使館による中国共産党のプロパガンダ(政治宣伝)批判と、台湾から発信された「中国で遺体袋20万個発注」報道、習近平国家主席をめぐる権力闘争の動きとは。ノンフィクション作家、河添恵子氏による緊急寄稿第9弾。

 「『中国の国営メディアは独立した信頼できる』と世界に思い込ませたいのだろうが、それは違う」

 北京にある駐中米国大使館の公式ツイッターが2日、「中国メディア=ジャーナリズムかプロパガンダか」という中国語のメッセージを出した。冒頭の言葉に加え、以下のように記されていた。

 「(中国国営メディアは)共産党に都合のいい宣伝を広めるためのツールであり、従業員は共産党のために奉仕している」「中国人を管理し、世界中のメディアと世論に影響を与えようとする手段の1つに過ぎない」

 「習主席は、海外の技術系企業を通じて、ネット上で(習氏や共産党に都合の悪い)特定の単語を禁止し厳しく検閲するなど、自由な発信や情報収集ができないように締め付けを強化した」「中国政府は昨年、世界のどの国よりも多くのジャーナリストを投獄した」

 さらに、中国中央テレビ(CCTV)など、複数の国営メディアが名指しされた。マイク・ポンペオ米国務長官が先月、「われわれは中国共産党に対し、『報道の自由を尊重する』という約束をただちに履行するよう強く求める」と語ったことと呼応するのだろう。

 これに対し、中国共産党は反撃に出た。

 中国外務省の華春瑩報道官は、中国人学者100人の公開書簡として雑誌「外交学人」に掲載された内容を取り上げ、「われわれは皆ウイルスの犠牲者だ」と強調し、国営メディアやツイッターのアカウントで大量に拡散したのだ。

 とはいえ、苦虫を噛んでいるかもしれない。欧米や台湾の識者や著名人らが、勢いづいて自由闊達(かったつ)に発信しているためだ。

 ■台湾発信「中国から遺体袋20万個発注」

 台湾の大手新聞『中国時報』の元中国駐在記者で、現在はテレビ番組の司会も務める鄭弘儀氏が先週、著名な葬儀屋の息子にインタビューした以下の内容は、瞬く間に反共産党系中国メディアに拡散された。

 「2月下旬から中国から続々と遺体袋の注文が来たが、そのころは数百単位の注文だった。ところが、最近は10万個、20万個をしかも至急で要求される

 「個数=死者数」ではないとしても、中国当局が「新型コロナウイルスの封じ込めに成功した」などと喧伝したことへの、カウンターアタック(逆襲)になったことは間違いない。

 海外の中国語メディアも日々、大量の情報を配信している。

 「希望之声」は、北京の著名な情報筋の話として、中央政治局常務委員7人(チャイナセブン)の防疫体制について、「現状、確立されたワクチンはないが、新型コロナウイルスの陽性から陰性になった人の血液中には、ウイルス感染阻止能(中和能)を有する抗体がある。最高幹部はそれを優先的に注射しているはずだ」と紹介した。

 「倒習(=習氏を倒す)」という声も聞こえるようになった。大学教授ら知識層も「権力への批判精神を持つことが、知識人の社会的な責任と役割だ」と少なからず“存在感”を見せている。

 「憲政を重んじる改革派」といわれる清華大学の許章潤教授(=昨年3月停職処分)は2月、「怒った人々は、もはや恐れない」と発信して軟禁状態になった。中央民族大学を退職した趙士林教授は「中国共産党の新型コロナウイルス流行への対応はゼロ点」「主な責任は習総書記にある」と発表した。

 不動産王で、放言でも存在感を見せてきた「中国のトランプ」こと任志強氏も、習氏批判の急先鋒(せんぽう)だ。彼が注目されるのは、王岐山国家副主席(前序列6位)と北京35中学の同級生であり、長く親しい間柄にあることも無関係ではない。

 第1次習政権(2012年11月~)では、習氏と王氏はタッグを組み、「虎もハエもたたく」という反腐敗運動を展開し、汚職官僚らを次々に刑務所に送り込んだ。その“鉄腕コンビ”に異変が起きているのだろうか? 任氏には、失踪の噂もある。

 最高幹部の足並みの乱れを否定する意図なのか、習氏と王氏がそろって植樹に参加した様子が3日報じられた。王氏は1カ月以上ぶりの公の場となった。だが、最高幹部が植樹のパフォーマンスを今、時間を割いてまですべきことなのか?

 とんちんかんなプロパガンダは、逆に「権力内部の危機的状況」を露呈しているともいえそうだ。

 ■河添恵子(かわそえ・けいこ) ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。著書・共著に『米中新冷戦の正体-脱中国で日本再生』(ワニブックス)、『世界はこれほど日本が好き』(祥伝社黄金文庫)、『覇権・監視国家-世界は「習近平中国」の崩壊を望んでいる』(ワック)など。

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