上位数人が下位半分の資産を所有している
働くより金転がしが儲かるのでこうなる


マネー経済が実体経済を圧倒

1%の超富裕層が富の半分を所有している、というような説明を聞いたことがあると思います。

アメリカでは上位3人(ゲイツ、バフェット、ベゾス)の合計資産約30兆円が下位半分の資産を上回っている。
アメリカ人の5人に1人が資産ゼロで、3割程度が10万円ほどの預金額しか持っていない。

さらに世界の上位62人は世界の個人資産の半分を持っていて、彼らの大半は世襲や相続で資産を引き継いだ。

この状況は19世紀以前に王や皇帝や貴族が支配していた頃と同じで、封建時代より格差が酷いという。
江戸時代の殿様は意外に貧乏で、食事や生活は質素だったので、現在より格差が小さかったかも知れない。

現代の格差拡大はマネー経済の拡大と実体経済の縮小が原因と言われています。
実体経済は生産や移動やサービスなど物理的な行動を伴う経済で、GDPという数字で表されます。
対して「ビットコインが値上がりした」ように物理的な行為が伴わないものを、マネー経済などと呼んでいます。
現金と預金などの通貨流通量は100兆ドルで世界のGDP合計は約80兆ドル(2018年頃)とマネーの方が大きい。
GDPは物理的行為をお金に換算した合計なので、働くよりお金を転がした方が儲かるのを意味している。
例えば苦労して東大に入り一流企業に入り経営者に上り詰めた人より、親から相続したお金を転がして遊んでいるほうが儲かる。

これが格差を拡大していて、まじめに働くより寝ていた方が儲かるから、どんどん差が開いています。

働いたら負けの社会
マネー経済の拡大によって2030年には上位1%の資産家が全世界の富の3分の2を所有する、とオックスフォード大教授などが言っています。
超格差を予言したピケティ教授の『21世紀の資本』がベストセラーになったが、当時は空想と思えたことが現実になっている。
ビケティによると格差が拡大する理由は労働によって得られる賃金より、不労所得である財産の伸び率が高いからです。
その結果が全世界GDP合計80兆ドルに対して通貨流通量は100兆ドルになったので、今後さらに差が開きます。

こうした社会では一生寝ずに働いたとしても、寝転んで資産運用する人よりずっと少ない資産しか作れません。
10年ほど前にネットで「働いたら負け」という言葉が流行したが、今の世界は正に働いたら負けで、働かない人が巨万の富を持っている。

千年以上前から「労働は美徳」としてきた日本人はこういう生き方が苦手であり、労働によって尊敬や称賛を得るのが当然だと考えて来た。
欧米では労働は刑罰であり、偉い人は働かず命令したり遊んだり、非生産的な事ばかりしてきた。
例えば10億円を持っている人が年2%で運用したら2000万円を得られるが、労働で2000万円得られるのは芸能人など限られた職業です。


非正規や派遣労働者の多くは年収200万円程度ですが、これは1億円を2%で運用するのと同じ金額です。
年2%なら投資の才能がゼロでもこつこつ積み立てるだけで良いので、ほぼノーリスクで得られるリターンです。
日本では実質賃金が増えていないが先進国共通の現象で、全世界「働いたら負け」になっています。

こうした世界がいつまで続くかですが、マネー経済は何も生み出していないので、実体経済が作ったものを浪費しているだけです。
実体経済が生み出したお金をマネーゲームの勝者が総取りする不合理な経済が、永遠に続くとは思えない。
王や貴族の支配が終わったように、マネー貴族の世界もいつかは終わるでしょう