国会議員資格試験」が政治を変えるかも 現職議員はほとんど落第!?

乾正人の提案

 

 「国会議員資格試験」が政治を変えるかも 現職議員はほとんど落第!? 大手町の片隅から 乾正人

フェイスブックやX(旧ツイッター)をやらない身にとって、読者からの手紙やはがきは、激励であれお叱りであれ、誠にありがたい。

ありがたい、と書いておきながら、ほとんど返事を出せていないのは汗顔の至りだが、つい最近、都内在住のAさんからお寄せいただいた提言には、思わず膝を打った。

Aさんからの手紙

Aさんは、国会論戦のほとんどの時間を「政治とカネ」の問題に取られ、安全保障や少子高齢化といった喫緊の重大課題に政治家はしっかりと取り組んでいない、と嘆く。

「このままでは、日本は三流国に転落する」と強い危機感を抱くAさんは、次のように提言している。

・有為でない人材集団が国家の統治権を握ると、国が傾く。「失われた30年」は当然の帰結である

・無能で倫理観に乏しい個々の政治家を非難・揶揄(やゆ)しても意味がない

・政治家の魅力度が低いため人材が集まらず、世襲が常態化している

・政治家に有為な人材が集まるようなシステムを早急に構築すべきだ

おっしゃる通りである。

今も昔も医学部を目指す「できる高校生」のなんと多いことか。医学部は最低6年間学校に通わねばならず、私学はべらぼうな学費が必要だ。それでも志望者が絶えないのは、高額の学費を払っても回収できる高収入が期待でき、医師になれば世間から一目置かれるからだ。

文系では、かつて東大法学部から官僚になるのがエリートコースだったが、平成時代に入ってから「政治主導」が進み、官僚の地位が凋落(ちょうらく)。「できる東大生」は霞が関を見限り、外資系会社やコンサルタント業界に人材が流出してしまった。

 

「有為な人材」を永田町に

進学率が低かった戦前、大学生は「末は博士か大臣か」ともてはやされ、「職業としての政治家」は羨望の的だったが、いまや「将来は総理大臣になりたい」とでも口走ろうものなら「大丈夫か?」と親や友達が心配するほど。政治家を目指す大学生や高校生は、絶滅危惧種になってしまった。政界が慢性的な人材難に陥ったのも無理はない。

では、どうすれば「有為な人材」が永田町を目指すようになるのか。Aさんに刺激され愚考してみた。

思いついたのが、「国会議員資格試験」の導入だ。一般知識や公職選挙法など関連法、マネジメント能力を測るもので、思想信条に関する問題は外し、高得点者を「国会議員の資格あり」と認定するものだ。

医師や弁護士、不動産鑑定士など学生に人気の職業は、試験に合格しなければなれない。逆にいえば、試験という明確な指標があるから人気になっている面もある。しかも世の中に「資格マニア」は結構いる。

衆院選の場合、立候補できる条件は、日本国民で満25歳以上のみ。誰でも出馬できる点は、実に素晴らしいが、「不適格者」も実に多い。

 

「資格試験合格」のお墨付きがあれば、学歴以上に投票の大きな目安になる。もちろん試験に落ちても立候補できるようにせねばならぬ。だって、現職議員が試験を受ければ、ほとんど落第しそうだからね。(コラムニスト)

=次回は31日掲載予定

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