馬英九は中共の代言人か

米国は 蔡英文と馬英九にアメリカの強い警戒感を示した

と見るべきと

 

AC通信 No.803 (2020/08/27)AC 論説No.803 馬英九は中共の代言人か

前の記事(No.800)で8月10日に馬英九がロータリークラブで「中共が台湾を攻撃すれば開戦すなわち終戦だ」と述べたことを書いた。私はこの記事で馬英九談話は台湾人の警戒心を呼びかけたものとして結論したが、実際はそうでなく馬英九は台湾人が中共に屈服して平和協定を結ぶことを推進している、つまり馬英九は台湾内部における中共の代言人かもしれない。

8月10日のロータリークラブ講演で批判された馬英九は、2日前の8月22日に「馬英九基金会」の催しとして「国家不安全研討会」を開催し、馬英九本人が開会の演説で中台戦争になれば開戦すなわち終戦であり、アメリカは救援に来ないと述べた。国家不安全だとはなんだろう。

馬英九演説の概要は、米中冷戦の時代に台湾はアメリカに頼れない、中共と戦争になれば台湾はすぐに負ける。だから台湾は反中政策を捨てて中国と経済合作を推進し、「対抗から対話に替える」べきだと言ったのだ。

アメリカは台湾の救援に来ないことについて馬英九は、アメリカ軍は経費不足であり、艦隻は老朽化し、補修が落後している、その上にクリスマスになれば休暇をとると述べた。要するに馬英九は米中関係が悪化している際に台湾はアメリカ側につかず中共側につくべきだと主張したのである。これこそ中共が望む台湾併呑である。

馬英九の演説の翌日の8月23日に台湾政府は「823金門砲戦62周年記念」を開催した。蔡英文総統とAIT(駐米国台湾経済文化代表処、大使館に相当)のBrian Christensen大使を同伴して金門を訪問し、太武山公共墓地において金門砲戦の軍人及び民間人’死者の英霊に献花した。50周年や60周年でなく62周年記念とは半端な感じがする。

これは米国と台湾の外交関係で画期的なことである。駐台大使が金門を訪問したのは戦後からこれまで一度もなかった。米国は台湾の中華民国政府と防衛協定を結んだが、この協定には台湾澎湖を防衛すると明記しているが金門と馬祖は防衛協定に入っていない。

62年前の1958年8月23日、中国は突然中国沿岸から340門の大砲を使って金門島砲撃を開始した。猛烈な砲撃は数週間続いたが台湾側も反撃を繰り返し、米軍の軍艦が台湾の補給船を護衛して金門島付近まで赴き、台湾軍の金門島補給を支援した。やがて中共も勝ち目がないと悟って同年10月に隔日砲撃となったが敵対行為は1979年1月1日まで20年も続いた。

金門はアメリカの台湾防衛協定に入っていなかったので米軍の護衛艦は金門島から10キロ離れたところに停泊し、台湾の軍艦が金門島に着岸して物資を補給した。中共側も米軍の軍艦を攻撃しなかった。

8月23日にアメリカのChristensen大使が金門島を訪問したことはアメリカが台湾澎湖だけでなく金門馬祖も防衛する決意を明らかにしたのである。つまり「アメリカは台湾を防衛しない」と述べた馬英九に対し、「米中戦争になればアメリカは防衛だけでなく攻撃もする」ことを示したのである。

馬英九はなぜ今月になって二度も「中共が攻撃すれば台湾は負ける、アメリカは来ない」と主張したのか。彼は2008年から2015年まで台湾の中華民国総統を二期も務めた男である、総統とは陸海空、三軍の長であり、台湾の軍事防衛に詳しいはずだが、今は戦争になれば1日で終わると言い出した、しかも大袈裟な「台湾不安全研討会」を開催して国民の戦意を萎縮させる主張を発表した。答えは一つしかない、馬英九は中共の代言人である。

アメリカは二つの空母群タスクフォースを南シナ海に派遣して軍事演習を行い、中国の同地域における野望を抑止する決意を示した。米中冷戦のなかで台湾は双方の対決の焦点である。アメリカが推進したファイブアイ(五つの目)同盟はすでに発足し、日本も加盟すると言われている現在、中国は台湾が中国側に付くことを望んでいる。ところが習近平が香港に国家安全法案を実施したので台湾の反中意識が強くなり、台湾の中国投資家も撤退を始めた。馬英九は習近平の(命令?)に従って台湾が中国側に付くべきと主張した。明らかな叛乱罪である

台湾は言論の自由があるというけれど敵に有利な言論を放置すべきではない。たとえそれが引退した総統であっても売国言論、利敵行為は死刑だ。前総統の肩書をひけらかして戦う前から自軍の戦意を喪失させる言論を弄するなら逮捕して裁判にかけるべき、少なくとも国外追放にすべきである。

蔡英文の中国政策にも疑問がある。英文総統はなぜ馬英九の媚中言論、売国言論を放置しているのか。今回と前回の馬英九発言で蔡英文総統、蔡英文政権、民進党、主要新聞の反論は一つもなく、わずかにユーチューブで馬英九批判があっただけだ。米中対決で台湾の「洞ヶ峠」は許されない。

彼女には一貫して「現状維持」を主張して中国の圧力を受けた台湾が年々孤立していった事実がある。蔡英文は馬英九と同じく中台和解(媚中求和)を推進しているのではないか。また、巷間の噂では蔡英文が習近平と対談をして平和協定を結んでノーベル平和賞を取ろうとしていると言う。台湾が日和見的な態度を取るのは許されない。

アメリカは蔡英文の態度を知悉していると思われる。だから823砲戦62周年記念日にChristensen大使がわざわざ金門を訪問したのは中共に対する態度の表現だけでなく、蔡英文と馬英九にアメリカの強い警戒感を示したのではないか。

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