「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和二年(2020)4月6日(月曜日)
通巻6435号
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中国、火事場泥棒の凄み、40億枚のマスクを米、伊、西など120ヶ国へ輸出
ウィキペディアの「武漢肺炎」は「台湾肺炎」と書き換えていた
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「世界はすばやくコロナ退治をなした中国に感謝しなければならない」と、被災国のイタリア、スペインにマスク、医療器機などを「寄付」し、特別チームを派遣した。
オランダは中国製マスクが不良品だったため60万枚を突き返した。オーストラリアは中国の防護服が不良品だったので、突き返した。
スペインも検査キットが不良品だったため返品。ともかく「火事場泥棒」の凄み、強盗が盗品を被害者に売りつけるようなものだろう。
米中首脳電話会談では「助けてやってもいいよ」と言わんばかりの態度をとった習近平に対してトランプは「満足した」とツィートしたが、つまりは激怒したのである。中国は米国にマスクと医療器機の寄付を申し出た。
じっさいにNYは中国から人工呼吸器1000台の寄贈を受けた。
一方で、中国はこのどさくさに紛れて40億枚のマスクを輸出し、とくに緊急に必要な米国が高値で購入した。一方で国連WHOへの台湾のオブザーバー加盟を「主権国家ではない」と言い張って、執拗に妨害している。
ハッカー部隊をもつ中国は、インフォデミック(SNSによる嘘放送の拡散)でも天才的な力量を誇る。台湾の医療貢献を「政治的トリック」と非難する傍ら、ウィキペディアの「武漢肺炎」の箇所を、中国のサイバー部隊は「台湾肺炎」と書き換えていた。
その台湾は水際作戦に成功し、4月5日現在、死者は五名。蔡英文政権は、世界の窮状に「マスクを1000枚寄付する」と発表した。米国、伊太利亜、スペインに700万枚を既に送付済み。申請のある十五ヶ国にマスクを寄付する方向である。
台湾経済の被害、とくに中小企業への融資拡大のため、台湾は1兆元(3兆9000億円)の資金供給を決め、同時に金利を2・57%から1・92%に引き下げた。