点ノ記

青森県青森市在住。日々あったことを若干適当に書いています。月10回更新します。

森田まさのり「ザシス」感想(ネタバレありです)

2024年05月28日 21時27分16秒 | 日記


令和6年5月17日、森田まさのり「ザシス」の最終3巻目が発売された。

森田まさのりといえば「ろくでなしBLUES」「ルーキーズ」「べしゃり暮らし」を書いた漫画家で、M-1グランプリ2018では「漫画家」というコンビで準々決勝まで進んだという変わった実績もある。自分はこのかたの作品はどれも本当に好きで、登場人物がみんな現実世界にいそうだなと思えるし、やんちゃな若者たちの独特の雰囲気が上手な、リアル志向の漫画家だなと思っている。

そんな森田まさのりがその作風とは真逆に近い「サスペンスホラー」を描くというので、連載開始前から一体どんな作品になるのかと、強く興味を持っていた。そもそもファンだからどんな作品だろうと読むんだけれども、それ以上に「ホラーの絵なんて描けるの?」という関心が強くて、次のコミックスが出るのはかなり待ち遠しかった。

学生時代にとある男子を日常的にいじめていたメンバーが、次々殺されていく。いじめられっ子の復讐だろうかと思われていたが、その子はすでに事故死していた。物語の主人公は、当時そのいじめをむしろ止めようとしていた正義の男だったが、実は、その子の死の原因となった事故を起こしたのは主人公が運転した車によるものだった。

これで最後3巻、どういうオチになるんだろうとして読んだところ、最終的には連続殺人の犯人はいじめられっ子の母親だったということがわかり且つほぼ自滅というような形で母親も事故死して終わる。話の終わり方としてはそれほど意外ということもなくて「あぁ、そうかあ」という感じで終わったなというところ。

ホラーっぽい雰囲気はあったけれども結局は人の仕業だったのだ、というのは、自分としてはちょっと残念だったかも。むしろ逆だったら不可思議さが増してちょうどいい「気持ちの悪い読後感」を味わえたのに。でも、真相がわかるまでのホラーっぽい雰囲気や、ホラー風味の絵というのはこれまでの森田まさのり作品では絶対に味わえないものだったので貴重ではあった。

自分にとって、購入までさせるほど人に勧めることはできないものの、TSUTAYAとか、そういうレンタル系でならば一回ぜひ読んでみて、と言えるというような作品であった。

                          ~完~


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