作品(2年前)

2009年08月11日 23時52分02秒 | 旧作
この作品は、リンゴの灰を釉薬に使用して作った灰釉(ビードロ)です。胚土は灰釉と相性の良い信楽粘土に水簸した鹿追粘土をブレンドしています。ビードロとはガラスを意味しますが、透き通るような緑色を作るために、長石、リンゴ灰、粘土を使用原料としました。又、釉薬の表面に細かい貫入(ひび)を作るためにソーダ・カリ成分を多く含む長石を使用しています。長石の種類を大きく分けると(ソーダ長石・カリ長石・灰長石)等に分けられますが、中でもソーダ長石については、他長石よりも溶解温度が低く、カリ長石は熱膨張率が大きい為、細かい貫入が得られ易くなります。媒熔原料に使用したリンゴ灰は、もともと灰中にマグネシウム成分が多く含まれていたのか、アルミナと硅酸の割合が良かったせいか、長石と灰だけでも、かなりの透明感がありました。
粘土を釉中に入れる理由の一つとしては、施釉時の食いつきを良くする為や、薬の沈澱を抑える効果等があげられますが、ここで粘土を必要とした理由は、粘土中に含まれるアルミナ成分が、釉薬の透明度を上げるという役割を果たすためでした。
ビードロ釉を上手に焼くためには、昇温速度を抑え気味にゆっくり時間をかけて焼く事が必要です。しかし、ガスの還元濃度が釉薬の溶け具合に影響を及ぼすためか、同じ温度域でも融け方が違う場合もあります。炎と釉が混ざり合って焼けるような感じがします。
また、カリ成分を主に構成される釉薬の場合では、低温度域では緑色、高温度域では青色調に変化していくようです。

この頃、青澄釉と胚土の原型が出来あがろうとしていました。


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