真夜中親父の呟きblog

一所懸命に生き、よかれと思ってやったことを、ガチャガチャ言われる筋合いなどねぇ!と放言する、ヘンコツ親父。

星になった大親友の想い出

2009-08-29 01:24:59 | Weblog
なんだか、家に来る野良猫の話題ばかりがこのところ多くなってきている。
何よりも、現在一番身近な出来事であるだけでなく、これが可愛くて堪らないのだから、自然とそうなっているわけだ。
猫ばかり取り上げるつもりは無いのだけれど、仕事がそう連日沢山あるわけではないので、たまたま猫の話題が連続しているだけなので御容赦を(笑)

で、本日は、まずはある友人がかつて突然亡くなった日。
1982年8月28日、オートバイでカーブの坂道を下っていき、路肩に駐まっていたトラックの後に突っ込んでの事故死。
まだ32歳だった。毎日放送のスチール写真を撮る仕事をする傍ら、週刊明星の写真を撮影するなどしていて、小生と現場で会ううちに、同じ年ということもあって意気投合。
以来、友だち付き合いをして、謂わば唯一の大親友となった。
小生は小学館のフリーライターを務め、彼は集英社のフリーカメラマン。
小生が写真が欲しいときには彼に頼み、彼が記者が欲しいときには小生が担当。
週刊プレイボーイで麻薬取締官を採り上げた連載をしたときもそのコンビだった。CanCamで女子大生を取材するときも組んだ。
どちらともなく、たまたま同じような時期にオートバイの中型免許を取った。
小生はヤマハのMidnightSpecial。彼はヤマハのSR-400。
「GORO」で大学生の同好会の夏合宿の取材では、ツーリングしながら現地まで走ったのもいい想い出だ。現地に到着したのはいいが、坂道でUターンしようとして、バイクを転かしてしまった苦い思い出もある。
彼は、酒が好きだったので、よく一緒に飲みにもいった。後に小生が再婚することになった相手もその場に呼んだりして、本当に裏表のない付き合いをしていた。
お互い将来に夢を持ち、一緒に組んで必ずいい仕事をしよう、と誓い合ったものだ。
彼の奥さんは医者の娘だった。
ある時、奥さんのお父さんが亡くなり、遺産が相続された。
彼は茨木にマンションを買い、車の免許も取ることにもなった。
「すまんけど俺は今後、一段高い金持ちのレベルの生活を送るわ」
と真顔で言ってきた。
小生は嫉妬する気持ちも全く出て来ず、ただただ彼の生活がよくなることを心から喜んだものだ。
マンションに引越をする前夜、彼は新居の写真を一人撮影に行った。
酒好きな彼は、部屋で一人ビールなどで祝杯をあげたようだ。
そしてオートバイに跨り、カーブの坂道をリーンインしながら勢いよく風を切り裂きながら下っていった。
駐まっていたトラックに気が付いた時は、もう止まれなかったようだ…。
後部に突っ込み、両手首骨折で、頭部への衝撃は凄まじかったようで、ほぼ即死…。
あれほど将来は一緒に組んでいい仕事をしようと言ったじゃないか…、悔しさで一杯だった。
小生は、焼き場で彼のお骨を拾うとき、小さな骨片を持ち帰った。
家に戻ってから、口に入れ、噛み砕いて飲み干した。
彼と一緒に、俺はこれから生きていくんだと…

小生は2週間ほどは仕事も全く手に付かなかった。

その後、彼の持っていた撮影機材一式をどうするか?ということになり、御家族が大事に持っているだけでは、本来の機能を眠らせるだけで、彼の本意ではないのではないか、となった。
小生が機材を全て引き取った。相場価格を一応支払ったと思うが、中古だったので格安だった気もする。
とにかく、彼のカメラとレンズなどは小生が遺品として引き継いだわけだ。
そして、その後、写真誌の創刊となる。
彼が目指していた写真の世界を少しでも理解できるかも知れない、という思いで創刊スタッフにライターとして契約したのも、そういう理由からだった。
彼がもし事故で亡くなっていなければ、小生は写真誌のスタッフとしてはおそらく仕事をしていなかった。
彼が亡くなった後、心にポッカリと穴が開いたままの状態。
あれほど好きで乗り回していたオートバイも、カーブに差し掛かる度に、「寂しがり屋の彼が、俺を呼んでいる」と感じ、バイクを思いっきり倒して曲がれなくなっていた。
そして、やがてオートバイを手放した。
彼がもし生きていれば、一緒にやりたかった仕事が実はある。
今、お前が生きていたなら…
何度も彼のことを思う。
彼は小生の中で生きているし、一緒に人生を歩んでくれている。
彼は彼なりにやりたいことがあったはず。
これからやろうという矢先、先にあの世に行ってしまった。
彼のやろうとした写真の世界を、小生も少しは覗いているわけで、写真でも表現できるようになったのは、こうした経緯もあって写真を撮り出したからなのだ。
毎年彼の命日には、夜空を見上げ、輝く星を彼と思ってあれこれ語りかけてきた。
墓の場所も分からなくなってしまったし、彼の死後、オーストラリアに渡ったという奥さんや娘さんの消息も、もう分からない。
星を見上げ、彼のことを考えると、今でも悔しさが込み上げてくる。
なんで先に逝ったんだよ…。
今思うのは、彼の志の方向にあったものと小生が志したものは同じ方向だったのだから、そのノンフィクションのジャンルで、いい仕事をして彼に喜んで貰おう、ということ。

そうした志はよしとしても、現実の生活で朝食抜きで日に一食だけという為体(ていたらく)なのは如何にも不様。経費書きもボチボチとしか進まぬが、これも自業自得なのだから誰にも文句も言えない。
本日の晩飯は、ペペロンチーニのパスタを2人前。
昨日のたらこスパゲッティーと、本日のパスタの連続には、流石にもう飽きたので、ご飯でも炊いてみようかと思うが、おかずは「おかか」と「梅干し」「ラッキョ漬け」の予定(笑)。
兎に角、溜まっている取材経費を一刻も早く書いて、それが戻って来るまでは、飯なんか食っている場合じゃないというか…。
もう煙草は嫌でも止めんといけんね(笑)

コメントを投稿