トイレの友

　トイレの同じ便座を取り合っていた“トイレのライバル”が只今入院中なので、いつ行っても入れる貸し切り状態のような感じだ。
それでもってスタッフの一人からは、「貸し切りの場合は一ヶ月五千円となっております」なんて言われている。
こちらも「あの方すぐに帰っていらっしゃるわよ」なぁんてね。
　一方三月の終わり頃入所して来たＭさんはいつも隣の便座にお座りになる。
そして私がいるのがわかると、よく仕切りの向こうから声をかけてくれ、おしゃべりに転じることも多い。
こちらは隣の便座の人だから、ライバルではなく“トイレの友”。
そのＭさんも入ってすぐの頃は、トイレから介助コールしていたが、歩行器トレーニングなどで自信がついたのか、二週間後ぐらいに介助なしになったから、どんなに嬉しいだろう。
可愛い“お願い”のポーズが見られなくなって、寂しがっているスタッフもいるかもね。
彼女は塗り絵がお得意のようで、よく色鉛筆で花の塗り絵を楽しんでおられる。
その優しさあふれる塗り絵を私も一枚頂戴して部屋に貼ってある。
お返しにパソコンのお絵描きソフトで描いた“親指姫”の絵をプリントして、もらっていただいた。
彼女も部屋に貼ってくれている。
今日は美術部で一緒だった。
トイレ以外の所でも良き友になれそうだ。