きつねのおじさん

電車に乗っての帰り道・・
ぼんやり夕暮れ空をつり革につかまって眺めてたのさ・・・

そしたら後ろの席からクシャミの音・・・
それ自体ひとつもめずらしくない話なんだけれども・・・

はっくしょぉおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ～～～～～～～～～～ぉぉぉん～～～～！

って,口が細く長くすぼまって月に向って吠えているキツネみたいなクシャミだった・・。

どこからもどよめきも驚愕の様子のヒトツもないので
普通のおじさんが座っているのね・・とも思ったけど
絶対キツネだわ・・・・・・
振り向いて確認したかったけどガマンした・・・。

きっとポケットには葉っぱの切符が入っているんだわ。
ばれるもんですか！改札口はピンポーンってなる前に抜け出せるわよ！
キツネなんですもん・・とか考えているうちに
前の席が空いたので座るついでにおじさんを確認したの。

そしたら！おじさんはすでにアタシをニコニコ観察していた。
アタシがおじさんの正体を知ったのを知ってたんだわ！さすがキツネ！
こぢんまりしたかわいらしいおぢさん・・本当にキツネだったらどうしよう！
上から下まで茶色っぽいし・・・こころなしかふかふかして見える・・・
はぁ～心拍数があがるぅうう♪

ところでおぢさん・・なにしに電車乗っているんだろう・・・
・・そりゃ手袋買いにきたんだよね・・・。
・・靴下も買うといいよ・・・・

ひっそりと降りていったおぢさんの後姿に心の中でつぶやいた冬の出来事・・本当のお話・・・