雪の
おもしろう降りたりし朝〈あした〉
人のがり(人のもとへ)
言ふべきことありて 文をやるとて
雪のこと なにとも言はざりし返事〈かへりごと〉に
「この雪いかが見る・・・」とのみありて
「この子いかがしはべる・・・」と 一筆のたまはせぬほどの人のおほせらるる事
聞き入るべきかは・・・・(ーー;)
返す返す 口をしき御心なり
継母なる人は 別の人のもとに渡りて 今は去りぬ・・・
かほどの理〈ことわり〉
誰かは思ひよらざらんなれども
折りからの 思ひかけぬ心地して 胸にあたりけるにや?
人 木石にあらねば 時にとりて 物に感ずる事 なきにあらず・・・(ーー)
雲は 二つながら 行き別れ
棚引きて 末は見えず・・・
♪・・・しもとゆふ かづらき山に降る雪の まなく 時なく 思ほゆるかな・・・♪(古今1070)
(注)しもと;若い細枝・ゆふ(結ふ)