(1933年)作家・小林多喜二が拷問を伴う取り調べの末、死亡
『蟹工船』をはじめとするプロレタリア文学で有名な作家。
問題提議した作品の内容や特高警察による拷問死という悲惨な末路もあって、イデオロギー的側面から評価されがちだが、僕はもっと広い意味での理想家として彼を捉えるべきだと考える。
徒に「思想」や「時代」という枠に当てはめ、解釈するのは、彼の人生を矮小化しかねない。
近年、若者の間で『蟹工船』が再び脚光を浴びたが、あの風潮は自分には腹立たしく映った。
所詮生活苦への不満・反発を基にするに過ぎない社会批判と、人間としての最低限の尊厳も顧みられない極限状況を命を賭けて描いた、その怒りと哀しみの声を同次元で扱うなと言いたい。
(写真は自宅に運ばれた多喜二の遺体)