長野でロハス生活

モダンと古きよきものを大切にした生活を自然に囲まれ送りたい。オースティンの小説のような生活に憧れる日々。

加藤周一との出会い

2006年08月19日 | study
この夏、私にとって深く心に残る出来事があるとすれば
それは、今日という日に他ならない。

旅行でもなく、お稽古事でもなく、
仕事上の研修における研究でもなく(それは相当興味深かったが)
ただ、今日の一日の中のほんの数時間という時間、
それがかけがえなく心に響く。

加藤周一、その人の名を目にしたのは高校生。
現代文の問題だったか、受験問題にその人の評論が
載っていて問題と文章に格闘した記憶がある。
梅原猛との対談の本も読んだ気がする。

このような片田舎の地元に、その加藤周一が来る事を知って
狂喜して出掛けたのは、単なる私の文学・哲学者好き故である。

加藤周一は、東大理三を出た医学博士であるが
それ以上に、文学者でもあり、評論家でもある。
今日の講演のお題は「社会と医療の未来」であったが、
彼の語ろうとする事は、もっと本質的な人間存在に
関わるものであったと思う。

何故、こんなに心が震えたのか分からない。
このような経験をすることは少ない。
しかし、確かにそこに戦前・戦争中・戦後の日本を
生きた偉大な知識人の「人間という存在への問いかけ」が
私に「生の意味」をひしひしと感じさせた。
また、私に高校時代・大学時代に哲学や批評を主とする先生や教授達と
対話した充実した空間を思い出させ、
今回の講演の最後に話された「Le médecin de campagne 」
という概念はフランスでの大学時代を思い出させた。

こうした空間が持てれば、
それは何よりも幸福な時間になる。
加藤氏の話を聴いて、サルトルではないが
engagementという姿勢を自己の内に持とうと思った。

近頃、Times等新聞にレバノン国民の酷く傷ついた姿の写真が載る度に
胸が痛んでいたので、平和の何たるかを考える大切さを
講演の向こうに垣間見せる加藤氏に感銘した。

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2 コメント

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加藤周一 (パパゲーノ)
2006-08-19 23:44:03
加藤周一のミクシーからこちらにきました。

私も8月15日に東京で加藤周一さんのお話を聞きました。とても、深い感銘を受けました。

長野は加藤さんが終戦直後に過ごした土地ですが

その事のお話はありましたでしょうか。
こんにちは (charlotte)
2006-08-20 13:12:24
そうだったのですか。

加藤さんの本に長野での記事が

あり、もしや、と思いましたが

長野で過ごされていたのですね。



今回はそのお話はありませんでしたが、

「佐久の草、後ろから読んでも佐久の草、

美しい響きですね。何処か物悲しい響きで

中国の古歌に似ている。」と話して

おられました。



私もまた、是非、お話を聞きに行きたい

と思いますので宜しければ情報を教えて

くださいませ。