桜を見るという日本古来の良き風習にかこつけて、政権による私物化という極めて醜悪な状況を露呈している。
自民党の二階幹事長は、
「誰でも議員は選挙区の皆さんに機会あるごとにできるだけのことを呼び掛けて、ご参加いただくことに配慮するのは当然だ」と述べた。
しかも質問した記者をにらみつけての返事だから、これはある種の恫喝であろう、あるいは開き直りか。
国のために功労・功績のあった人を招待するのが本来の趣旨で、自民党の選挙に功労のあった人を呼ぶのは筋違いだ。
二階発言を評して、「火に油を注ぐ」ことわざに模して「二階からガソリンを注ぐ」と言われている。
またこの問題で勢いづく野党を牽制するつもりなのか、「野党の時もやっていただろう」という発言も目に付く。
しかしこれも的外れだ。
1952年から70回近く行われているが、民主党政権では鳩山内閣の時の1回だけだ。
菅政権は東日本大震災、野田政権は北朝鮮によるミサイル発射騒ぎなどで中止している。
「桜を見る会」への招待を嬉々としてブログに書いていた自民党議員が、この数日で先を争うように削除している。
二階幹事長の言うように「何の問題もない」のなら、なぜ削除するのか?
やはり問題と思っているからだ。その意味では正直だが「覆水盆に返らず」、後の祭りだ。
今国会の最重課題は、日米貿易協定の国会承認だが、政府側から議論のたたき台になるべき資料が一切出てきてない。
資料を出さないまま強行採決をするのならば、国民に対して極めて不誠実である。
資料は出さない。出しても黒塗り。都合が悪くなると廃棄する。
「桜を見る会」は国の公的行事に名を借りた自民党と安倍政権の選挙対策に成り下がってしまった。
公職選挙法に違反する行為が判明したら、安倍首相の辞任につながる大問題であろう。
明日ありと 思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは 親鸞