国会が閉まった後、安倍晋三首相の影が薄い。
まさに「雲隠れ晋三」状態である。気力・体力に何か問題を抱えているのかもしれない。
殿の乱調に乗じる格好で、極めて鼻息の荒いのが家老職の菅義偉だ。
裏技得意な戦略武将二階俊博と誼を結び、政権内の実権を握ったようだ。
政府高官によれば、「もはや実質的に菅政権だ」と言われている。
安倍の殿はボンボン大名の岸田文雄に禅譲するつもりだったが、岸田のあまりの無能さに見放したようだ。
しかし外様大名の石破茂には何としても政権を渡したくない。
そこで浮上したのが菅義偉へのワンポイントリリーフだという。
コロナ過に苦しむ国民の意向を無視したような政権内の争いはいい加減にして欲しいものだ。
このところの菅官房長官の発言には、驕りが見られる。
「GOTOキャンペーン」のごり押し。--小池百合子憎しの東京外し
沖縄いじめーー辺野古の恨みを晴らすつもりかーーー感染者用ホテルを確保していないと不快感をしめす。
夜の街(キャバクラやホストクラブ)に風営法に基づき警察官を投入する強権措置に言及
ここで注目しておきたいニュースは、アメリカのシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)の調査報告書についてだ。
安倍政権を媚中へと向かわせているもっとも影響力のある人物として、二階幹事長の名前を挙げる。
(媚中というのはすこし言い過ぎかもしれない。二階の政治の師は田中角栄だ。角栄がともした日中友好の灯を消したくないという思いがあるのだろう)
他に名指しで批判されている人物は、首相補佐官で経産官僚出身の今井尚哉だ。
日本の安全保障戦略の一環として経済問題を提起してきた。
(今井尚哉の目指す方法があながち間違っているとも思わない。すでに日本と中国との貿易量は、輸出も輸入も3割前後ある。これは相互が暴発できないという抑止力にもなっているのだ)
CSISの報告書の狙いは、明らかに日本をアメリカ陣営に引き込むことだろう。
同盟関係にあまり重きを置かないトランプ大統領の意向というよりは、アメリカの共和党系の意向であろう。
この辺のところは右顧左眄せずじっくり見ておくことが必要だ。
いずれにしても今後1年間、日本の政局は流動含みになる。
どの方向に進めば日本としての自立自尊の道を歩めるか、じっくりと考えることが求められる。
明治の元勲大隈重信の言葉、
日本も、将来永遠に欧米の先進諸国と轡(くつわ)を並べて角逐しようというのであれば、なお不断の努力と向上の精神を要する。であるから、軽々しく支那を笑うことは、過(あやま)りもはなはだしいというべきだろう。