行雲流水の如くに

積極的平和主義を考える―――平和ボケで何が悪いのか

ロシアによるウクライナ侵略、中国による台湾への威嚇などにより日本では軍備増強論が盛り上がっている。

しかしそれらの議論は冷静さを欠き「脊髄反射的」(膝を金づちで叩くと無意識に膝が反応するように)である。

少しずれているなと思ったのが、自民党の右派議員による中国が台湾侵攻した時のシュミィレーションである。

防衛大臣経験者の小野寺五典氏がリーダーだという。

しかしこんなものは防衛省内部でしっかり行っているのではないのか?

公開してテレビドラマのように見せるものとは違うだろう。

 

それともっと問題なのが、中国が台湾に侵攻した時に日本は当然の如くアメリカと一体で動くシナリオが前提だ。

アメリカは台湾と軍事同盟は結んでいない。日本も同じだ。

たとえ軍事同盟を結んでいてもアメリカが動くかどうかわからない。それが大前提だ。

ただわが国は何もせず拱手傍観は許されないということは考えておく必要がある。

 

その上で社会学者ヨハン・ガルトゥングの提言をよく研究しておきたい。

政治家が、日ごろ隣国との関係改善の努力をせず、何か起こると急に強硬な姿勢を見せるのも、あるいは軍事力強化が必要だと説くのも、代替案を知らないからである。

だが間違えてはならない。力頼みの安全保障によって平和を得ることはできない。平和によって安全保障が得られるのだ。

 

もっとも彼の主張もロシアによるウクライナ侵略により揺らいでいるように見える。

彼の唱える「積極的平和主義」は信頼と協調の関係がある状態を言う。

だが、今のような危険な状況だからこそ「信頼と協調」を取り戻すべきだろう。

日本は戦後一度も他国と戦火を交えていない。それは憲法9条を守って平和を維持しようとしてきたからだ。

それを称して「平和ボケ」というのなら「勝手に言わせておけ」である。

 

いずれにしてもアメリカの核に守られて外交努力を怠っているならば、それこそが「弱い吠える犬」だ。

いたずらにキャンキャン吠えるがいざとなったらからっきしだらしがないのだ。

わが国は国力においても軍事力においても弱小国ではない。

アメリカとの協調は必要だが、アメリカの手先のようになって前面に出ることは控えたほうが良いのだ。

自分の国は自分たちで守る覚悟がなければならない。


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