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一日の事を延々と君は話したがった
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2023年振り返り。(その3)

2024-02-09 11:05:39 | 君がいない窓に響く空しい「ひとりごと」
 「パソコンを出来る時に書いて更新」
 なんて言っていたら、まだ4冊しか書けてないのに(その3)になっててすみません。
 今回は、長くても沢山書こうと思います。(お時間あるときに読んで下さい)

 『ぼくは勉強ができない』(山田詠美さん)(文春文庫)
 (「新潮」1991年5月号初出/「新潮文庫」1996年3月/「文春文庫」2015年5月10日第1刷)

 タイトルは知っていたのだけれど、どんな物語かは全く知らなくて、きっかけは『2023年振り返り。(その1)』"にも書いた
 『ビリギャル』で、先生がさやかちゃんにオススメしていたので、読んでみたかったのです。

 BOOKOFFで探したとき、新潮版と文春版があって、こちらの方が版が新しかったので、こちらを選んだのですが、
 本編が始まる前に『四半世紀後の秀美くん』という山田さんの本編に対する感想と、秀美くん(本編の主人公)へのインタビュー(?)が書いているし、
 解説は、綿矢りささんの感想文(?)だったので、こちらを選んで正解だったなぁ~と思いました。
 (本編を読み終えた後、山田さんの文章を読み返したのは言うまでもありません。)

 読み始めた頃、電車の中で隣に座ったダンナさまがタイトルを見て、
 「ワタシ(ダンナの一人称)も持ってるよ。(引っ越しをするとき手放したカモ?)
 漢字が読めるなら、アツ(息子)が読んでもいいと思う。」
 と言ったのですが、年頃の男子にしては、そのテの話が苦手な息子には刺激があるかも…?

 でも、30年以上前の小説とは思えないほど、新しいし、おしゃれだし、色々と気付かされることがある文章でした。

 
 『天使の耳』(東野圭吾さん)(講談社文庫)
 (1992年1月実業之日本社より刊行された『交通警察の夜』を改題/1995年7月15日第1刷発行)

 去年の3月、BS4Kでドラマ化されていたもの(安田顕さんが出てました)を見て、
 「原作読んでみたいな!」と図書館で借りました。

 でも、読み始めるとドラマでは新人交通警察官(小芝風花さん)が、教育係の上司(安田さん)とバディを組んで事故の調査をしていく感じの話だったのですが、
 原作では1つ1つが別の主人公の短編で、犯人とか事情とかも全然違い…。

 ドラマHPのコメントで小芝さんが
 「(短編小説を読んだ後)ドラマの台本を読ませて頂いた時、あの短編小説をこうやって繋げたんだ!と感動しました。」
 って言った意味が解ったというか…。
 
 でも(見てないけど)『リバース』の改編よりは…。

 ただドラマで、私が安田さんの演技に思わずもらい泣きをしてしまった事件が、全く違う設定だったので残念でした。
 
 (少し内容の話を書きますが)
 『天使の耳』(「週刊小説」1990年3月16日号初出誌)だけ取ってみても、携帯のない時代で、
 公衆電話やビデオカメラが趣味の人がたまたま撮影して…というものを、
 ドラマでは携帯電話や、SNSで目撃者を捜していると知ったユーチューバーが
 「動画撮ってました!」
 と名乗り出て…と現代風に変わっていて、
 今に置き換えられるような設定なのがスゴイ!と思いました。

 解説を書かれている作家さんが
 (その方は東野さんと同じ年にとある賞を落選したことがあり、勝手に「同級生」という感覚を持っているそうなのですが)
 
 「近い将来、彼はもたもたしている『同級生』など置き去りにして、ビッグな看板を打ち立てるに違いない」

 と書いていて(おそらく文庫が出た1995年時点の話)、東野さんの経歴を調べたら、
 1996年に文学賞候補になりはじめて、私が初めて見た東野さんの作品『秘密』が1998年刊行、99年映画化でした。

 映像化されてタイトルを知っているものは多いのですが、小説は初めて読んで、ありきたりだけど面白かったです。


 『暗いところで待ち合わせ』(乙一さん)(幻冬舎文庫)
 (2002年4月25日初版発行)
 
 ダンナさまに、
 「面白いよ!」
 と薦められて、
 「でも、この人怖いの書く人でしょ?」
 「これは怖くないから!」
 と言われて読むことに…。

 読み始めると、ヒロインが目が見えない人で、点字のこととか、白状とか…etc.
 色々と詳しく書いてあって、本筋と関係ないところで勉強になりました。
 実はウサギさん(義兄)が目が見えない人(視覚障碍者という言い方が嫌なのでこの書き方)なのですが、
 ウサギさんは小さい頃からなので、知り合った時からなんでも出来ていたので、
 ヒロインは事故で中途失明(太陽の光がボンヤリ見える程度)なので、1人で外出もままならず、
 そんな人が勝手知ったる家とはいえ、1人暮らしするのって大変だろうなぁ~と思いながら読んでました。

 本編の話に戻ると…最初に思っていたイメージが、残り100ページくらいでひっくり返されて、
 それを読んでいたときバスの中だったのですが、思わず声が出そうになり
 (前の方に戻って読み返した。)

 何気なく出てきていた伏線がKeyになって、納得の行く結末でした。

 あとがきを読んだら、(「怖い小説書いてる人!」という印象だったのに)
 意外にも明るくて若いお兄さんな内容(「ダイエットにダンスダンスレボリューションやった!」等)に、
 「え?いくつなの!?」
 と思ったのですが、2002年現在24才になる23才(1978年生まれ)で、小説自体が昔の物と感じさせなかったことにビックリしました。
 (ここでは最初に発行年を書いていますが、小説読むときは一番最後に見るので…)

 乙一さんのイメージは変わったけど、怖いのが苦手なので他の作品は…。

 
 『我が家の問題』(奥田英朗さん)(集英社文庫)
 (2011年7月単行本刊行/2014年6月30日第1刷)
 
 去年の夏、奥田さんの『コメンテーター』(伊良部シリーズ最新作)が発売され、買おうかどうしようかと迷ったのですが、
 今までの3冊を文庫で買っているので、文庫化(きっとあるハズ!)まで待つことにして、
 図書館で奥田さんの本を借りてきたのですが、その前に読んでいたのが、東野圭吾さんだったり、乙一さんだったりしたので、
 久しぶりのやわらかい文章に高低差を感じました。(笑)

 それぞれの家族に起こる、ささやかだけれど悩ましい『我が家の問題』。
 人間ドラマの名手が贈る、くすりと笑えて、ホロリと泣ける平成の家族小説。
(裏表紙の解説より)

 とあるように、6篇からなる短編集で、夫の立場(視点)/妻の立場(視点)から描かれているのが大半なのですが、
 私が一番面白い!と思ったのは、唯一子どもの視点から書かれている『絵里のエイプリル』という話。

 主人公の絵里は、ある4月の日曜日、母方の祖母がかけてきた電話で、自分と母の声を間違えた祖母から、
 両親が離婚したがっていることを知ってしまう…。

 というお話なのですが、実はずっと絵里が何かと勘違いしてるんじゃないか?と思いながら読んでいて……。
 
 私の周りでも離婚した人は何人か居るのですが、離婚=親1人って大変だと思うんですよね。
 簡単に言うと、相談相手が居ないというか…。
 でも、離婚をする人には、それなりに事情があるんでしょうね。
 
 その頃、ちょうど見ていたドラマで「夫という形に縛りたくないから離婚する!」みたいな話もあって、
 色々と考えてしまいました。

 おそらく一番自分に遠いお話だから、楽しめたのかも。

 奥田さんの本は、伊良部シリーズしか読んだことがなかったので気付かなかったのですが、
 (トンデモ精神科医伊良部一郎と違い)日常を描いているせいか
 「この言い回しは、方言なのかな?」
 というのがいくつかありました。

 「納豆、君も食べる?」
 「うん、食べる。二個分、かいて」
(『ハズバンド』p.98)
 
 という風に、感想ノートを書くときこれしか見つけられなかったのですが、
 「納豆をかく」って検索かけても出てこない言い方なんですよね~。
 奥田さんは岐阜出身なので、その辺りの言い方なのかな???

 (かく言う私も、仙台出身のハハが、フトモモのことを「ももた」というのが仙台弁だと気付かず大人になった人)

 
 とりあえず4冊書いて、区切りが良いので更新します。
 ここまで読んで戴き、ありがとぅございました。


 以下、『2022年振り返り。(その3)』のブログ

 
2022年振り返り。(その3)

 2022年一年間で読んだ本の振り返り、第3回目です。 誰かに向けて…というより備忘録に近いかもしれません。 長くなるので、お時間ある方だけ読んで下さい。 『小説 ......

 

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