8/15に実家に帰省したものの、娘が原因不明の高熱を断続的に出していて外出もままならず。実家では母姉妻がついてくれているので、思い立ったように「鉾ヶ岳(ほこがたけ)行ってくる」と決めました。これが午前10時くらいの話。
おにぎりなど用意してもらい、支度をして柵口(ませぐち)の登山口まで送ってもらいました。下山口は島道(しまみち)になるので、また迎えにきてもらいました。
鉾ヶ岳に登ってきたのは、実に25年ぶりくらいです。

柵口の集落からしばらく車で登ってもらったので、登山口は2合目です。登山者名簿に記名するとともに、緊急連絡の番号を写真に収めておきました。
駐車場からおもむろに急登となります。では。
出発したのがほとんど正午。暑い昼間から急に心拍を上げました。脱水症にならないよう、Tシャツの重ねとか、汗の出る量に注意を払いました。「ここでひと休み」とあるので、案内に従いひと休みです。3合目くらいでしょうか。
権現岳のルートは、こんなガレ場が続きます。
しばらくすると、鎖場の上に大きな岩が現れます。ルートは岩の右?左? いえいえ、真ん中です。
「胎内くぐり」という名所で、岩の洞窟をくぐり抜けます。ほんの10m程度なんですが、コウモリなどもいて、一時の涼がとれるのは良いものの、居心地のいいところではありません。
標高が上がり、名立との境の山々を超え、米山まで見渡せました。
権現岳はどんどんガレてきて、ルートもこんなところが多くなります。落ちると200mくらい止まらないでしょう。
「天狗屋敷」に着きました。大ケヤキがあるとともに、大岩がゴロゴロした稜線で、まさに天狗の庭に来たなという雰囲気です。
正面のぴょこんと突き出たのは「金冠(きんかむり)」という尾根です。今日はあちらには行きません。左の高いところが鉾ヶ岳の山頂になります。
「はさみ岩」という名所です。
幅60cmくらいでしょうか。ぎりぎりなんです。太っちょさんは通れないかもしれません。
尾根からの眺望。このあたりから雪崩れて、ふもとの集落まで流れていきます。
集落の上には、巨大な「はさ木」のような、雪崩現勢柵があります。はさ木よりはずっと巨大で、高さ20mくらいあります。
権現白山(だったかな?)のほこら。ここまでで急登はおおむね終わりです。
尾根伝いにしばらく歩くと、権現岳の山頂です。案内板が埋めてありました。
山頂にはケータイのアンテナが建ててあるので、ここではバリ3で通話できます。実家にTELし、権現岳までの到着を報告しました。ここまでで70分くらいでした。
本日の装備。リュックサックは35年くらい前のものです。水、おにぎり、お菓子、電話、着替え、手袋、絆創膏、くらいです。シューズはターサー。さすがにちょっと柔らかいですね。
権現岳山頂から鉾ヶ岳まで、まずは稜線伝いに歩きます。がれ場の屏風のようなところです。前方から草刈り機の音が聞こえました。登山道の草刈りをしてくれている方がいました。
草刈りの方の先に出てしまったのですから、登山道は草木が茂ってやぶになっていました。こんな断崖の上で足下がおぼつかないというのは、空恐ろしいです。
「のぞかずの窓」という名所です。左右とも断崖、そしてころげたら数100mは転がり続ける斜面です。覗くなというのは分かる気がします。
しばらく歩くと、低木の森といったルートになりました。ここから山頂までは土の、こういった低木の中を延々と歩きます。足下が不安でないのはいいですが、景色も見えずちょっと寂しい時間です。
林を抜けると、ぽかんと山頂にたどり着きました。
ここでお昼にしました。おにぎりとパンをたべ、水を飲みます。
私の汗にウシアブが寄ってきてうっとうしいので、そろそろ撃墜してやろうかと思っていた矢先、影が目の前を通り過ぎました。
「?」
オニヤンマでした。ヤンマがウシアブを捕獲したのです。
「ほほう、どうもヤンマは普段から人の周りをうろうろするような気がしていたけれども、人に寄って来たアブを狙っていたのだな。」
長年の疑問がひとつ解けました。
そして、オニヤンマがうろうろしていると、ウシアブはすっかりいなくなりました。これは嬉しいですね。まさにヒーロー登場!という感じでした。
昼食を終え、これから下山となります。山頂からは登ってきた柵口ルートと、島道ルート、早川ルートがあります。感覚的にこっちかな、と思う方向へ進もうと思ったところ、石に「早川→」と書いてありました。おっと、さっそく間違えるところでしたね。私は島道へ向かうのですから、もうひとつの道へ向かいました。
少し下ると、金冠ルートと島道ルートの分岐になりました。能生谷が一望できます。実家は左端のほうになります。
こちらは早川の谷。画面右端中央付近から、正面中央の山の向こう側を通り、左の早川へと向かう山道が見えます。これは「こえど越え」ルートで、グランフォンド糸魚川ではみなさんご存知の、赤い悪魔さんの出る辛い辛い峠道です。
以後、こちら側の斜面は、ガレ石がちらほらと混ざる土の斜面で、グリップが甘いです。ターサーでは話になりませんorz。あちこちにロープが張ってあり、急な斜面はロープを使って降りますが、このロープが非常に的確で、長さも張ってある場所もぴたり、なのです。
序盤は踏ん張りすぎて脚を疲労させましたが、その後は斜面の歩き方にも慣れてきました。道の両側の樹木やロープを巧みに使い、滑らないよう、慎重に下山していきます。路面をずりずり足を引きずっていっても良いのですが、下山部はそれは「かっこ悪い」こととします。道を壊して歩いても意味ないですからね。なるべく破壊せずに、それでも安全に下山します。実際、石ころ1つ転がしてしまうと、30mも40mも転がっていきます。前方に誰かがいたら大変なことになります。
下山が続き、気温が上がってきました。山頂付近では晴れ雲の中に入り、直射日光を浴びずに歩けて快適でした。標高からくる涼しさもありました。しかしだんだん下界に近づくにつれ、また蒸し暑くなってきました。雲も切れ、日光も当たります。「水が必要だ」と思い、休憩を取りました。
その後すぐ、谷川に出ました。雪解け水が流れてきており、冷たく気持ちよい水でした。
ここにもう一人の登山者がいました。しっかりした装備なので、一泊してきたのか、どこかからの縦走でしょうか。
その後はいくつか谷川を渡りました。
「三重(みえ)の滝」という名所です。滝が三筋、綺麗に見えました。
いいですね。オーバーヒート気味な体なので、滝に打たれたら気持ちよかろうなぁ、と思いました。
その後家族からTELが来たりして、里はもう近いと確信しました。25年ぶりのこの山ですが、ルートの概要はだいたい記憶にあり、違っていませんでした。それは唯一、このちょっと強引な山行の、強みだったと思います。
島道登山道にたどりつきました。3時半くらいだったと思います。登り始めが11時半くらいですから、4時間くらいで下山できました。
登山口にある案内板です。ここには島道鉱泉があります。汗びっしょりになりましたから、早く湯に浸かりたいですね。
島道鉱泉では、神戸ナンバーの大学生がロッククライミングの用具を整理していました。三重の滝あたりでクライミングをやっているようです。
母に迎えにきてもらい、湯に浸かって帰宅しました。
無事下山完了です。
たしか最初に下山したのが小学5年、次が中学2年くらいで、それきりだったと思います。25年前の記憶をたどって歩いた一日だったともいえます。不思議なもので、当時の様子はかなり濃厚に覚えているんですよね。それを思い出しつつ歩くのも楽しかったです。
◯まとめ
・ちゃんとした登山靴がいいです。
・上下とも長袖がいいです。(肌は露出しないのが吉。ツツガムシとかもいるので。)手袋必須です。アイウェアもあったほうがいいです。
・一人では行かない方がいいです。滑落します。
・水は緊急用として常用+2L持ちましょう。
翌日の今日(8/17)、上腕と太ももの前面が筋肉痛です。全身の体力を使ってきたなぁと思います。
今度はアランさんらとトライしてみたいですね。
おまけ
下山部のブログで登山というカテゴリはどうなんだと小一時間(略。