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飯田橋の難関大学受験専門塾

飯田橋に誕生した難関大学受験専門塾の指導主任が贈るブログ

数学的思考(3)-問題点と解決策を見つける-

2008-12-01 16:35:40 | Weblog
※ この記事は前回の続編となりますので、じっくり読み進めたい方は前回の記事からご覧ください。





・(はじめの7項を調べてみたところ)4,4,2という値の循環が起こっていそう!
          ↓
・だから(多分)第2003項の1の位の数は4だ!


とは言え、この内容を根拠に「答えは4」としても、間違いなく○をもらえません。

と言うのも、上の記述で4,4,2の循環が起こっていることが確認できたのは第7項までですから、第2003項までずっとこの循環が続くかどうかは、今のところ分かりません。

ですから、上の内容を根拠に「答えは4」としても、○はもらえないのです。

そこで、
「② 解答への筋道を考え、実現可能な作業に落とし込む」が登場します。



先ほど「循環がずっと続くかどうかは分からない」とは書きましたが、
現実的に、循環がずっと続くということはほぼ確実です。
だったら、このことを証明してしまえば、すべてが解決となりますね。

「循環が本当に起こっていることを証明する」という行為こそ、
「② 解答への筋道を考え、実現可能な作業に落とし込む」の「解答への筋道」に他なりません。

では、どうやってこのことを証明するか?

例えば「三角形の合同証明」では「三角形の合同条件が満たされればよい」とか、
例えば「等式の証明」では「左辺-右辺の計算結果が0になればよい」とか、
例えば「すべての自然数nに関して~が成り立つことの証明」では「数学的帰納法を使う」とか、
定番の証明方法が知られているものに関しては、着眼点も決まってきます。

今回の場合は、何か基本的な証明に帰着できるでしょうか。



これで証明方法が分かりました。

帰納法による証明は非常に機械的ですから、
ここまで来れば、
実現可能な作業に完全に落とし込まれたと言ってよいでしょう。



~続く~

(次回の更新は12月2日です)

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数学専門塾ヘウレーカ
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数学的思考(2)-具体化で要点をつかむ-

2008-11-29 21:08:49 | Weblog


(2) の前半までは東大に限らず多くの大学で出題される、受験生にとっては基本的な内容ですから、解説は省きます。
ここでは、(2) の後半部分を考えてみます。

(2) では、 を素直に計算しようと思う人はいないでしょう。
「何か仕掛けがあるはず……」と探りを入れるのは当然かもしれません。

難問攻略において最初に重要なことは、その仕掛けを見抜くこと。
すなわち「① 問題の要点をつかむ」ということです。

「基礎はできるのに、入試問題になると解けなくなる」
「初めて見る問題は解ける気がしない」
と悩む生徒は、私の経験上、まずこの行為に苦手意識を持っていることが多いようです。

仕掛けを見抜く上で効果的な方法として第一に提示したいのは、
具体的な例で調べてみるということ。

実際にやってみましょう。





ここまで調べれば、1の位の数は4,4,2が循環し続けるのではないか、それなら、第2003項の1の位の数は4ではないか、という認識に至るでしょう。



ここまでの思考プロセスをまとめます。


・(はじめの7項を調べてみたところ)4,4,2という値の循環が起こっていそう!
          ↓
・だから(多分)第2003項の1の位の数は4だ!


これが、「① 要点をつかむ」という作業に当たります。



~続く~

(次回の更新は12月1日です)

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数学専門塾ヘウレーカ
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数学的思考(1)

2008-11-27 20:58:11 | Weblog
「基礎はできるのに、入試問題になると解けなくなる」
「初めて見る問題は解ける気がしない」

このようなことに悩む生徒は多いものです。

彼らに必要なものは、何なのでしょうか?

経験量?

問題に対する経験値は確かに大切ですが、経験値はあるのに定着しない生徒もたくさんいます。

努力がなかなか実らない彼らに必要もの。

それは『数学的思考』。

今回から複数に分けて、『数学的思考』についてお話します。


数学の問題において、解答にたどり着くまでのプロセスは、一貫して次のようになっています。
(面白いことに、数学では、問題の難易度に関わらず下のプロセスが当てはまります。)

① 問題の要点をつかむ

② 解答への筋道を考え、実現可能な作業に落とし込む

③ 作業を実行し、解答にたどり着く

何やらもっともらしく見えますが、以下の入試問題を用いて、
読者の方に①~③の実感を与えようと思います。






~続く~

(次回の更新は11月29日です)

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数学専門塾ヘウレーカ
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起源を知る(4)-まとめ-

2008-11-25 18:34:56 | Weblog
「起源を知る」学習の効用は、

・定義、公式など、数学の「根本」に対する理解が深まる
・学問としての数学の「本質」を見抜く力がつく

といったところにありますが、
例を見れば分かるように、
「起源を知る」学習における主な収穫は、
実践力向上の先にある、数学に対する学問的な深みや美しさに対する純粋な喜びです。

ですから、
「起源を知る」学習が効果を発揮する生徒は、
既に一定以上の実践力を身に付けていて、しかも数学が好きな場合がほとんどです。

公式の知識と正当な運用がすべてではない……。

教科書にすべてが正しく書かれているとは限らない……。

これら、見て見ぬふりをしても支障ない問題であっても真実を追求し続ける姿勢にこそ、
「起源を知る」学習が大きな価値を与えてくれるのです。

いざ、問題を解くことの先にある領域へ……。

高い実践力を持ち合わせた上でこの領域まで来れば、
少なくとも受験数学においては怖いものなしと言えるでしょう。



その分、欠点として
まだ実践力を養う段階にある生徒が「起源を知る」ばかりやっていては
私たちの掲げる「実践力向上」から逆に遠ざかってしまいます。

このことから目を背けるわけにはいきません。

再び学習を水泳に例えるとすると、
「深く知る」が準備運動、
「知識の融合」が泳ぐという行為を指すならば、
「起源を知る」は、いかに美しく泳ぐかの追及、といったところでしょうか。

フォームの美しさばかり追求していても、速く泳げるようにはならないわけです。

そこで、今一度強調しておきます。

私たちが指導上もっとも大切にしているものは、やはり「実践力向上」。
「深く知る」「知識の融合」の方に大きな比重を設けています。



「起源を知る」は、あくまで日々の学習における一種の「隠し味」。
ですが、実践力を高めることで
「隠し味」の旨味を感じ取れるようになったら、数学は決まって楽しいものです。

ヘウレーカ
「深く知る」→「知識の融合」(ときどき「起源を知る」)によって
まずは実践力向上、そしてその先の領域へ、生徒の着実な成長を目指していきます。



(次回の更新は11月27日です)

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数学専門塾ヘウレーカ
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起源を知る(3)-eの本質的問題-

2008-11-24 10:54:03 | Weblog
前回の話には、ある根本的な問題が潜んでいます。
それは「果たしてeなどという数が本当にあるのか」ということです。

つまり、



は本当にある値に収束するのか、という問題が、未解決の状態であるということです。

確かに、エクセルなどを使えば、



が次第にある一定の値に近づくことは簡単に視認できます。

しかし、それが数学としての解決になどなるはずがありません。

「数学において正当性を保証された道具とロジックの組み合わせによって上の式の収束を説明できて初めて、真の問題解決と言える」というのが、
本来の数学の姿勢。

そのような意味では、eの「存在」を示す必要があるはずです。



ここで、次のように考えたとします。



①と②は正しい命題です。高校数学の知識だけで証明することが可能です。

しかし、③には主観が入り浸っていて、このままでは危険です。

例えば
「 ①,②が成り立つことから明らかに は収束する 」について、
「項番号が増すにつれ値が増え続け、同時に、上限値のある数列」は直感的には収束しそうです。

・「項番号が増すにつれ値が増え続け、同時に、上限値のある数列」は必ず収束する

もしこのことに論理的な証明を与えるとしたら、どうすべきでしょうか。

ここで重大な欠陥が見つかります。
「そもそも」収束するということについて、高校数学では、定義さえも直感に委ねられ、
論理的な説明を学んですらいなかったという欠陥が。

収束することを説明するためには、当然ながら収束するということの厳密な定義が必要ですから、
今のところ、これを証明する術は無いわけです。

そして実は、大学で学ぶ数学の第一歩は、
今問題となった「収束することの定義」から始まるのです。

このように、高校数学に現れる本質的かつ素朴な疑問の中には、高校数学で扱わない知識を必要とするものもあります。

というのも、教科書というのは整然とした体系を重視してつくられているので、
指導する側の指導面や、学習する側の表面的理解にとっては好都合ですが、
複雑な理屈を必要とする内容に関しては、
内容そのものをカットされていることもあります。
(極限の定義はまさしくこれに該当します。)

それらの存在を知ることで、数学の深みを垣間見ることも、
実践力の先を求める上では大切かもしれません。



~続く~

(次回の更新は11月25日です)

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数学専門塾ヘウレーカ
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起源を知る(2)-eの定義について-

2008-11-22 20:33:49 | Weblog
「起源を知る」学習の一例を挙げようと思います。



数学Ⅲでは、√ と π に並ぶ重要な無理数として『 e 』を学びます。
e とは、次のように定義された数でした。



数学Ⅲを既に学んでいる方は、e の重要性に関しては身にしみて納得していることでしょう。

問題を解くことに追われている間は忘れがちですが、ほとんどの方が初めて上の定義を見た瞬間に得るのは「何だこれは?」という素朴な違和感だったろうと思います。

今回は、この素朴な違和感を解消することを目標とします。



議論は、次のような唐突な問題から始まります。



とても簡単な問題ですね。



といった具合に、x=0 における接線の傾きが 1 になる関数など、いくらでも見つかります。

では、次の問題はどうでしょうか。



下の図に示すように、関数 において、a=0 では接線の傾きは 0 で、この状態から a を徐々に増やしていけば、接線の傾きも徐々に増えていくことが見て取れます。



a を限りなく大きく取れば、接線は y軸とほとんど一致するほど鋭く立ち昇るでしょう。
ですから、接線の傾きが1になるような a が存在するであろうことは、感覚的には分かりますね。

ここでは、このような a を『 e 』と書くことにします。



上に定めた定義から、e のもつ性質を探っていきましょう。

の x=0 における接線の傾きは, 微分の知識を用いると



となります。
定義によれば、a=e のとき、この値は 1 になるわけですから、以下のような e の性質が判明します。



この性質は、公式として覚えている方も多いでしょう。
入試問題でも頻繁に用いる重要な性質です。

もはや、e の指数関数との関わりは見えづらくなってきました。
それだけ、e そのものが前面に押し出されてきたのです。

そして遂に、e そのものの正体が明らかになるときが来ました。

まず、次のように文字の置き換えを行います。



①を「 h = … 」の形に変形すると、次のようになります。



ここで①から、「 h → 0 のとき t → 0 である」…… ③ ことが分かります。

①~③をもとに、 を式変形していくと、次のようになります。



したがって、



となるので、左辺の分母の log の中(真数部分)は e に収束しなければ辻褄が合わなくなります。
これにより、e の正体がつかめました。



e の正体こそ、e に対する一般的定義に他なりません。

ここまでの議論を逆行すれば、諸性質が成り立つことを証明できるため、
こちらをeの定義としてしまっても差支えないわけです。

上の説明が歴史的な観点で正しいかどうかは私にも分かりかねますが、
e の定義へのスムーズな意味づけとしては、効果を発揮しているのではないでしょうか。

「なるほど」という腑に落ちた感覚の蓄積を大切にしてほしいと思います。


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~続く~

(次回の更新は11月24日です)

起源を知る(1)

2008-11-20 20:04:16 | Weblog
「深く知る」「知識の融合」……。
この2点に沿った学習でも、入試問題に幅広く対応できるだけの、実践力向上をのぞめます。

しかし、数学を自身の絶対的な強みにしたい人間にとっては、更なる上を目指す成長プロセスがあります。

それは「起源を知る」という学習。

この記事から数回にわたって、「起源を知る」について話していきたいと思います。



数学では最初に定義があり、そこから定理が生まれる。
運用に適した定理は公式と名をかえ、公式の存在が、様々な問題を解き進める原動力となる。

このように「定義 → 定理(公式)→ 問題を解く」という流れで数学の「体系」は成り立っています。

こうした「体系」立った順番で理解が進めば問題ありませんが、
見逃してはならない重要なポイントがひとつあります。

それは、人間の理解は「体系」通りにいかないこともよくある、ということです。

個々の小さな部品を調べてから自動車を買うような自動車初心者がいるでしょうか?
バットやグローブの材質を細かく調べてからプレーに入る野球初心者がいるでしょうか?

数学という世界においても、同じことが言えると私は思います。

・内容の全体像が見えてきてから「定義」に親近感がわく
・公式の運用性や効用を実感してから「公式の証明」に興味がわく

このようなことは日常茶飯事なのです。
「体系」立ってはいませんが、この順番が人間にとっては馴染みやすいのかもしれません。

「深く知る」「知識の融合」によって個々のほころびが埋まってきた生徒は、
こういった「いつも気にしないできたけど、これは結局どういうことなんだろう」という
「そもそも」の疑問に問題意識が強く向くようになります。

それは、「起源を知る」への合図。
それは、極みへの第一歩。

実践力を養う段階にある生徒が「起源を知る」ばかりやっていては
私たちの掲げる「実践力向上」から遠ざかってしまいます。
しかし、
一定以上の実践力が備わった生徒には、
「起源を知る」ことが実践力の究極の形を生み出すという確信が、私たちにはあります。



ですから私たちは
数学を自身の絶対的な強みにしたい人間にとっては、更なる上を目指す成長プロセスとして
「起源を知る」という学習を大切にしているのです。


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~続く~

(次回の更新は11月22日です)

知識の融合(6)-まとめ-

2008-11-18 16:21:31 | Weblog
「座標としてのサイン・コサイン」を例にとって説明してきましたが、
「知識の融合」について実感が得られたでしょうか?

今回の例では「三角比」と「三角関数」を横断して学んだわけです。

小手先のテクニックが通用せず、幅広いアプローチに対応できる力が必要不可欠となる昨今の入試問題を攻略する上で、このような学習方法は非常に大きな効果を発揮します。

難関大学受験に必要不可欠であること、そして生徒の独学での達成が難しいことから、
私たちの持つノウハウを存分に活用して、
「知識の融合」の効果を生徒に与えます。



しかし、「知識の融合」には難点がひとつあります。

それは「この学習法を取り入れるタイミング」です。

と言うのも、
実践力向上を水泳に例えるなら、
「深く知る」ことは、準備運動、フォームの練習であって、
「知識の融合」は、実際に泳ぐということです。

「このバタ足で大丈夫だろうか?」
「この足の動きで平泳ぎができるか?」
「クロールの息継ぎがスムーズにできているか?」
思案の末に泳いでよいと許可を下すタイミングの難しさ。
「知識の融合」に移行するタイミングの難しさは、これに似ています。

そして、私の経験上、
時期尚早の「知識の融合」を目指した学習への移行は、
生徒に一切の実践力向上を与えません。

現に、多くの進学校では、教科書に載っているような基本事項は軽い説明にとどめ、
ひとつの問題に対して多角的なアプローチを行うことに重点を置く、
まさしく「知識の融合」を重視した授業を実践しているところも少なくありません。
しかし、基本的な内容を既に習得できている生徒には問題ありませんが、
そうでない、いわゆる初学の段階でいきなりこのスタイルの授業を受けることで、逆に伸び悩んでしまう生徒が、驚くほど多くいるものです。

このような現象の原因こそ、まさしくタイミングの悪さにあります。

例えば、先の記事の中でも、
・2次不等式の解法
・不等式で与えられた領域
・円の接線の傾きの求め方
に関しては、基本的な内容であるという理由から、読者が既に習得できているものと仮定され、詳しい解説がなされていません。
これらの内容理解がまだおぼつかない状態で記事を読んでも曖昧な感覚が消えず、読んでいて疲れがたまる一方でしょう。

正しく泳ぐには、正しいフォームを身に付けていることが大前提。

「知識の融合」という学習を経て新たな発見を得るためには、
「深く知る」ことで、個々の分野の知識を深めておくことが大前提……。

この順番を間違えてしまうと、いくら勉強してもモヤモヤが消えず、成長を期待できません。

(当然と思う方も多いと存じますが、このことがボトル・ネックとなって成長できずにいる国公立・医学部志望の生徒が世の中にはたくさんいるので、あえて強調して言わせていただきます。)

ですから、私たちが「知識の融合」という学習を生徒に提案する際は、
生徒の定期テストの結果、模試の結果、モチベーションといった判断材料をもとに、慎重に決定します。

(移行のタイミングは生徒によって異なりますので、具体例を挙げづらいですが、成績的な観点で申し上げるとすれば、定期テストは正答率90%以上、基礎レベルの模試で正答率80%以上、一方で、難関レベルの模試で歯が立たないような状態が、移行タイミングとしては一般的です。)

「深く知る」という学習が十分になされていて、
かつモチベーション的にも良好であると判断できた状態で、
「知識の融合」を行う段階がくる。

得になるか、損になるか。
それがタイミング次第で決まるのなら、
タイミングを見極めるのは私たちの使命です。



では、
「知識の融合」により、各分野に知識融合が生じることでひとつの事物を様々な視点で捉えられるようになったら、どこに行きつくのか……?

それは、難問との真剣勝負の世界。

そのときは、
難関大学の問題に触れる準備が整ったということ。
よりハイレベルな難問との出会いの中で、更なる実践力向上を目指します。

すべては生徒の実践力向上のために。

私たちは、段階的指導を基本姿勢とし、
生徒ひとりひとりの着実な成長を後押しします。

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(次回の更新は11月20日です)

知識の融合(5)-しめくくりの入試問題-

2008-11-17 21:20:24 | Weblog


さすが入試問題というだけあって、過去の2題よりもはるかに「つかみづらい」問題です。

試しに「 k=… 」の形に直してみると、次のようになります。



この問題に対するひとつの方法として、数Ⅲの微分を用いて



という関数の増減を調べるという戦略が考えられますが、計算の複雑さを考えると、これはあまりオススメできません。
「微分計算」「極値を与える θ を求めるための計算」「極値の計算」のすべてが疲労を生み、挙句の果てに答えが合わず、
嘆く生徒の疲れ切った顔が、私には容易に想像できてしまいます。

そこで私が紹介したいのは、やはり「サイン・コサインを座標と思うこと」です。

このように考え直すと、kは、点 ( 2 , 2 ) と、原点を中心とする半径1 の円周上の点 ( cosθ , sinθ ) を通る直線の傾きに他なりません。
ただし θ には という制限がついているので、( cosθ , sinθ ) は第1象限か第4象限内の点に限定されます。



k が最小になるとき

k が最小になるのは、図1のように点 ( 2 , 2 ) と円周上の点 ( 0 , 1 ) を結ぶときです。
この直線の傾きは 1/2 ですから、k の最小値は 1/2 であることが分かります。

k が最大になるとき

k が最大になるのは、図2のように点 ( 2 , 2 ) を通る直線が円周と接するときです。
この直線の傾きは ですから、k の最大値は であることが分かります。

※1「 k が最大になるのは点 ( 2 , 2 ) と点 ( 0 , -1 ) を結ぶとき」と早合点しやすいので注意しましょう。
※2 接線の傾きの求め方については、今回は省略します。

最後に、k が最大値と最小値の間の値をすべてとれることを(視覚的に)確認しておきましょう。

・まず、点 ( 0 , 1 ) で傾き 1/2 をとります。
・ここから円周上の点を時計回りにスライドしていくと、傾きは徐々に増えていきます。
・しかし、傾き を境にして、今度は徐々に減っていきます。
・そして、点 ( 0 , -1 ) での傾き 3/2 でフィニッシュとなります。

よって k の範囲は



であることが(視覚的に)分かるわけです。
これが、今回の問題の答えに他なりません。



「サイン・コサインを座標としてとらえる」という行為は、サイン・コサインの1次式に関する問題には
「円と直線」の問題に変換でき、特に効果的です。

今回の記事を参考にして、模試や入試に活用してみても良いかもしれませんね。



~続く~

(次回の更新は11月18日です)

知識の融合(4)-サインとコサインの1次不等式-

2008-11-14 16:18:58 | Weblog


1次方程式、2次方程式、3次方程式を比較すれば、その複雑さは次数に比例するでしょう。
しかし、サイン・コサインを含む方程式(不等式)では、そうとも限らないようです。

実際、この問題を生徒に解かせると、ある程度勉強している生徒ほど嫌そうな顔をします。



という未知数統一の常套手段を使いたいから両辺を2乗する → すると、正解が得られたり得られなかったりで、不快感が生徒を包みこむ……

そういった過去の不快な記憶が「嫌そうな顔」を作り上げているのでしょう。

このような経験をお持ちの方は、今回の記事で頭の中がスッキリするはずです。



それでは、本題に入りましょう。

まず、 を考えます。
変形すると、 となりますから、この不等式を満たす点 ( x , y ) は、直線 の上側にあることが分かります。

すると、-cosθ + √3sinθ > 1 の cosθ を x 座標、sinθ を y 座標とみれば、
この不等式を満たす点 ( cosθ , sinθ ) は、
原点を中心とする半径1の円周上にあり(この領域は図1の赤線部分に相当)、
かつ直線 の上側にあることが分かります(この領域は図1の青斜線部分に相当)。




よって、-cosθ + √3sinθ > 1 を満たすのは、図2の赤線部分であることが分かります。

両端点を図2のように A , B とすると、
・半径OA の x軸とのなす角は 180°
・半径OB の x軸とのなす角は 60°(直線と x軸とのなす角が 30°であることから分かります)

ですから、不等式の解は 60°<θ<180°であると結論されます。



長々と書きましたが、結論すると、サインとコサインの1次式で表現された不等式は、
「原点を中心とした半径1の円周上の点で、コサインをx、サインをyに置き換えた不等式の表す領域に含まれるもの」
を確認すればよいわけです。

※ 「合成」を使って解くのが一般的ですが、人に解かせるために作られた問題では、上の解法の方が簡便に解けるケースがほとんどです。



いかがでしょうか。
「座標としてのサイン・コサイン」という切り口が頭になじんできましたか?

締めくくりとして、以下の問題を紹介します。
今までの2問以上に複雑な問題ですが、ここまでの流れを踏まえて、挑戦してみてください。




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~続く~

(次回の更新は11月17日です)