
1次方程式、2次方程式、3次方程式を比較すれば、その複雑さは次数に比例するでしょう。
しかし、サイン・コサインを含む方程式(不等式)では、そうとも限らないようです。
実際、この問題を生徒に解かせると、ある程度勉強している生徒ほど嫌そうな顔をします。

という未知数統一の常套手段を使いたいから両辺を2乗する → すると、正解が得られたり得られなかったりで、不快感が生徒を包みこむ……
そういった過去の不快な記憶が「嫌そうな顔」を作り上げているのでしょう。
このような経験をお持ちの方は、今回の記事で頭の中がスッキリするはずです。
それでは、本題に入りましょう。
まず、

変形すると、


すると、-cosθ + √3sinθ > 1 の cosθ を x 座標、sinθ を y 座標とみれば、
この不等式を満たす点 ( cosθ , sinθ ) は、
原点を中心とする半径1の円周上にあり(この領域は図1の赤線部分に相当)、
かつ直線


よって、-cosθ + √3sinθ > 1 を満たすのは、図2の赤線部分であることが分かります。
両端点を図2のように A , B とすると、
・半径OA の x軸とのなす角は 180°
・半径OB の x軸とのなす角は 60°(直線と x軸とのなす角が 30°であることから分かります)
ですから、不等式の解は 60°<θ<180°であると結論されます。
長々と書きましたが、結論すると、サインとコサインの1次式で表現された不等式は、
「原点を中心とした半径1の円周上の点で、コサインをx、サインをyに置き換えた不等式の表す領域に含まれるもの」
を確認すればよいわけです。
※ 「合成」を使って解くのが一般的ですが、人に解かせるために作られた問題では、上の解法の方が簡便に解けるケースがほとんどです。
いかがでしょうか。
「座標としてのサイン・コサイン」という切り口が頭になじんできましたか?
締めくくりとして、以下の問題を紹介します。
今までの2問以上に複雑な問題ですが、ここまでの流れを踏まえて、挑戦してみてください。

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~続く~
(次回の更新は11月17日です)