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飯田橋の難関大学受験専門塾

飯田橋に誕生した難関大学受験専門塾の指導主任が贈るブログ

起源を知る(2)-eの定義について-

2008-11-22 20:33:49 | Weblog
「起源を知る」学習の一例を挙げようと思います。



数学Ⅲでは、√ と π に並ぶ重要な無理数として『 e 』を学びます。
e とは、次のように定義された数でした。



数学Ⅲを既に学んでいる方は、e の重要性に関しては身にしみて納得していることでしょう。

問題を解くことに追われている間は忘れがちですが、ほとんどの方が初めて上の定義を見た瞬間に得るのは「何だこれは?」という素朴な違和感だったろうと思います。

今回は、この素朴な違和感を解消することを目標とします。



議論は、次のような唐突な問題から始まります。



とても簡単な問題ですね。



といった具合に、x=0 における接線の傾きが 1 になる関数など、いくらでも見つかります。

では、次の問題はどうでしょうか。



下の図に示すように、関数 において、a=0 では接線の傾きは 0 で、この状態から a を徐々に増やしていけば、接線の傾きも徐々に増えていくことが見て取れます。



a を限りなく大きく取れば、接線は y軸とほとんど一致するほど鋭く立ち昇るでしょう。
ですから、接線の傾きが1になるような a が存在するであろうことは、感覚的には分かりますね。

ここでは、このような a を『 e 』と書くことにします。



上に定めた定義から、e のもつ性質を探っていきましょう。

の x=0 における接線の傾きは, 微分の知識を用いると



となります。
定義によれば、a=e のとき、この値は 1 になるわけですから、以下のような e の性質が判明します。



この性質は、公式として覚えている方も多いでしょう。
入試問題でも頻繁に用いる重要な性質です。

もはや、e の指数関数との関わりは見えづらくなってきました。
それだけ、e そのものが前面に押し出されてきたのです。

そして遂に、e そのものの正体が明らかになるときが来ました。

まず、次のように文字の置き換えを行います。



①を「 h = … 」の形に変形すると、次のようになります。



ここで①から、「 h → 0 のとき t → 0 である」…… ③ ことが分かります。

①~③をもとに、 を式変形していくと、次のようになります。



したがって、



となるので、左辺の分母の log の中(真数部分)は e に収束しなければ辻褄が合わなくなります。
これにより、e の正体がつかめました。



e の正体こそ、e に対する一般的定義に他なりません。

ここまでの議論を逆行すれば、諸性質が成り立つことを証明できるため、
こちらをeの定義としてしまっても差支えないわけです。

上の説明が歴史的な観点で正しいかどうかは私にも分かりかねますが、
e の定義へのスムーズな意味づけとしては、効果を発揮しているのではないでしょうか。

「なるほど」という腑に落ちた感覚の蓄積を大切にしてほしいと思います。


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数学専門塾ヘウレーカ
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~続く~

(次回の更新は11月24日です)


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