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『夜は短し歩けよ乙女』著:森見登美彦

2010-01-02 17:50:06 | 本の足跡。
私がこの本を見つけたのは、私が所属する文芸部の一冊の本について語り合う読書会の本の選定をするためにインターネットを使って本を調べていた時だった。一番に題名に惹かれ、二番に本の紹介文より内容に惹かれた。残念ながら、その読書会では読まれなかったのだが、後々個人的に読んでこれこそ読書会にはふさわしかったのではないかと思った。それは、この話が「妙ちきりん」だったからである。夏目漱石の『夢十夜』とまではいかないが、突っ込みどころ満載であるからにして、有意義な読書会になったのではないかと思う。ぜひとも次回は森見さんの著書を扱いたいと強く思う。
ところで、いきさつばかりで当の本の内容にほとんど触れていなかったが、彼の本の魅力はやはり「妙ちきりん」なところであると断言しよう。彼の描く登場人物たちは何かにつけてユニークで、この『夜は短し歩けよ乙女』の「乙女」にあたる先輩が恋い焦がれる後輩の天真爛漫、純真無垢なこと!彼女はたんにおかしいだけではない。純真すぎてありえないのだ。だが、そんな彼女がいるからこそ安らぐ人物たちが数多く存在するのがこの本なのだ。彼女を軸に「妙ちきりん」な人々が読者を誘うのである。私もその誘われた一人であるわけだが、個人的に言わせてもらうならば古本市の神様を名乗る少年の言った古本市のつながりに痛く感動した。ある一人の女性の持っている本、先輩が目に止めた本、その他の様々な人々が手にしている本についてのつながりを見事と言わざるを得ない知識でつまびらかにしていくのだ。著者も考えたものである。話を作ることを好む私にとっては、著者の下調べの綿密さがわかるものは更に感動してしまうのだ。他にこの作品について述べるならば、先輩
の不憫さについてだろうか。いや、もしくは酒豪の李白さんについてであろうか。いやしかし、自称天狗の樋口くんも実に捨て難い。この本の中には無数の変人が住んでいるものだから何について語ればいいのやらと悩んでしまう。兎にも角にも、不思議すぎて変な彼等はひどく魅力的であると言えよう。そして、著者の森見登美彦さんの文体、これもかなり引き付けられるものがある。彼の人物の描き方、それこそがこの本の最大のミソであるのだと私は勝手に思い込もうと思う。
モリミーワールドと言われる、彼の作品はどれもユニークかつ痛快だ。ぜひとも、彼の著書を一読してくれる方が増えることを切に願おう。この本を読まないのはある意味損である。



----高校二年の松波の切羽詰まった読書感想文より。

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