呑気に自分の趣味に走る。

個人的趣味に走りまくった日々や、適当に過ごした日々をしがなく綴っています^^

お仕事ちょーだい!! 3

2009-05-15 22:00:35 | 漫画ノベル化
それから少し経って後、彼女たちは柚呑家に集まっていた。
なんだか、騒がしい様子である。
「だっから!!」
その音源は彼女、乙羽だったようだ。
「お姉ちゃんが丐くんと組めばいいでしょうが!!問題ないよ!!」
甲高い声が皆の耳を貫く。特にその言葉を言われている張本人和琶には痛いほどしっかり届いているだろう。
「だからっ!!」
和琶も応戦するかのように、なるべく大きめに声を張り上げた。乙羽より、やや柔らかめな口調だったが。和琶は俯ききみに言葉を続ける。心なしか顔が赤い。
「な……なんで最近、私と丐坐を組ませるのかな……って思って……」
和琶が言葉をつむいだ瞬間、そこにいる賢斗以外の全員が「はい?」という表情をした。それもそのはずで、なんだかよくわからないが前に丐坐とは組みたくないという感じの物言いをしたのだ。「……やっぱりな」と思いつつ無言の弟一人。「そんなことかよ」と呆れる妹一人。「バブ――!?(なんでそんなに恥ずかしそうなのだ!?)」と愛する姉の態度に大ブーイングの赤ん坊一人。「よ、良かった……」と自分が嫌われているのではないかと言う疑念を抱き涙したが、実際そんなことだったのかと落ち着いた男一人。
この中で一番可哀想なのは、きっと丐坐だろう。和琶よ、いらぬ心配事をふっかけてやるな。
和琶の疑問を聞いた乙羽は極上の笑みを浮かべた。
「そりゃぁ♡」
そしてちらりと横をみやった。
「ね♡」
そこには安心して息を吐く丐坐とそれを気遣う賢斗、そして悲しみに埋もれ、だらけている火巳がいた。その中で乙羽の視線は和琶の思い人、丐坐に向いていたのだが、当の本人は気づかなかったようで、「へ?」と疑問符を出しながらきょとんとしていた。これにはさすがの乙羽でも鈍いと思わずにはいられなかった。わかっていたにはいたのだが、まさかここまで鈍感だとは、まさかである。
「だぁかぁら~」
困り気味で説明をしてやる乙羽。それを必死に理解しようとする和琶。
そして、その理解が終了した時だった。
「あっ」
和琶は白抜き状態になり、デフォルメ和琶になった。
「でかすぎ。……やっと、わかったわね」
そこに、妹・乙羽の的確な突っ込みが入った。
和琶は内心、「なんで乙羽知ってるの!?」アンビリーバボー状態で少女漫画化していた。乙羽は、今までにないキラキラと輝く目映い笑顔で和琶に優しく言う。
「協力するからさ♡」
その笑顔と言葉を聴いた瞬間、和琶は血の気が引くのを感じた。
和琶は首をもげそうな勢いで左右に振り、かつ涙目になっていた。そして、視界に入るのは、妹の恐怖の笑顔。
逆にコワイ、逆にコワイッ!!その笑顔がっ!?
もう、乙羽がうふふふふふふふと笑っているようにしか見えない。和琶は逃げたい気持ちでいっぱいになり、そして。
「そ……」
スタートダッシュ。
「そんなんじゃナイもん~~~~!!」
「あっ、待って……」
乙羽の制止も空しく、和琶は「イヤです」と記した紙だけ残し、姿を消した。

お仕事ちょーだい!! 2

2009-05-06 23:06:57 | 漫画ノベル化
こんにちは……えっと、おはようございます。私は、柚呑和琶です。只今、必死に走っています。早くしないと学校に遅刻してしまうんですっ!私は妹の乙羽と、二人の弟の賢斗と火已と私の4人で……仕事屋やってます。どうゆう仕事かと言いますと、一言でいうと『何でも屋(万屋)』なのです。私たちの他にも沢山の仕事屋が存在しています。その中で、私たちの手伝いをしてくれる三人がいるの。
その3人とは―――。
笑顔の似合う可愛い顔の茶髪の男の子、橘丐坐(17)。綺麗な淡い紫の髪の女の子、梳王海空(17)。緩やかな金髪のウェービィーの怒ると恐い女の人、桜糀水満(20)。この3人。
丐坐と海空は、私と同じ『緑葉高校』2年生。2人はどこに行ってもモテまくりです。毎朝毎朝、学校には二人のファンクラブの人たちが待ち伏せしていて、二人をみて叫んでます。丐坐の場合は、「橘様」「橘先輩」「丐坐様」などです。海空の場合は、「海空ちゃん」「梳王様」「海空(主に行き過ぎた変態さん)」などです。
丐坐は口に出して嫌がるけど、海空は朝眠たいのもあって『完全無視』です。
今、学校に到着しました。頑張ったー……。あっ、海空、「ねむ……」とか呟いてる。毎日、こんな感じです。
私は、ファンの人たちがとっても、とーっても憎らしいのです……。丐坐の所為でもないのに、丐坐のおばかぁ~なんて思っちゃうくらい。だって私、丐坐のことが――好きなんです。
「和琶?どうかしたか?」
丐坐だっ。
私は、はっとして「あ」ともらしてから返事をした。
「な、な、何でもないよっ。何?」
考え事をしていた最中に急に声をかけられてつい焦ってしまって、無意識に手をブンブン振り回していた。
「…………」
丐坐は、軽くむっとした顔をした。少しドキッとする。
「お前ってさァ」
そうに始めて、私に射す矢を弓につがえる。
「モテんのに全然気づいてねェよな」
弓の弦を引く。
「ちょう鈍感だよな」
弦を弾いた。
ぐさっと何かが刺さるのを感じました……。あぅ……。
「本当に……人の気持ちにも気づかないで、サ」
丐坐が何か言ったようだけど、私の耳まで届かなかった。だけど、まったく…という呆れた感じの言葉が聞こえて、少し怖くなってしまった。
「え。何か言った?」
丐坐を振り返って、なるべく平気そうに見えるように言ってみた。
丐坐は少し口を尖らせて言う。
「別にっ。なんでもないっ」
私、バカだなぁ……。
鈍感て、なんかダメな気がする……。
そんな風に暗くなっていたら、突然。
ポン
肩に、手。
「ひ」
なにーー!?
すぐに笑い声が聞こえた。
「あははっ。私だよ私、乙羽だよん♪」
そう、私和琶を陥れた人物は実の妹乙羽だったのだ。「お、乙羽ぁ~びっくりするじゃないの~」
目の淵に雫を溜めて、私は訴えた。
「そ・れ・よ・り」
それよりじゃないでしょ、それよりじゃ……と、それは置いといて。
「お仕事の打ち合わせ☆」目をキラキラと輝かせて私の妹・乙羽さんは言い、それに続けながら直ぐさま駆け出した。
「放課後ウチ集合!!伝達よろしくね
「え……」
また!?
私はうろたえ気味に思った。いつものことと言えばそれまでだが、手伝ってくれる人が目の前にいる状態で言い逃げしないでほしい……というのも。自分から「ウチ来てね」なんていくら仕事だなんて思ってても恥ずかしくて言えないからだ。だけど、本人の目の前で言われてしまえば言うしかないだろう。私は久々にいらした災難に固まってしまった。
すると、横から声が聞こえた。
「おー。今日仕事かー。じゃ、和琶ンち寄らしてもらうぞ」
加えて、恐ろしー妹だなとか言って普通に発言した丐坐に対し、私はと言うと。
「えぇえ!?」
後退しながら叫ぶ私……我ながらかなり失礼だ。丐坐は呆れたような落ち込んだような顔で突っ込んだ。
「うぉい……落ち込むぞ……」
それから直ぐにぶすくれた顔になって続けた。
「なんだよ、ダメなのか?」
丐坐のいじけた顔はやけに私を慌てさせるようで、私はしどろもどろに「あぅ……そうじゃなくて……そのっ……」と弁解をしようとした。
と、突然。
「ぷっ」
「ぷっ?」
涙ぐみながら繰り返すと、横で丐坐が笑っていた。
「あははっ。和琶って相変わらず面白ぇな」
とびきりの笑顔で言われてしまい、少々不遜じゃないかと思いはしたが不覚にも、「カワイイ」などと思ってしまった。
ふと、丐坐が私の頭をぽんぽんと撫でた。
「さっきのは気にしなくていいぞ?」
「う……うん」
わかったから、その手を離して――!!
……マジで勘弁して下さい。
丐坐は上着を脱ぎながら続けた。
「それに」
「?」
「俺、楽しいし」
にやりと笑って丐坐は言って、動転している私を見てからくすっと笑った。
「さっ、和琶ンちへ、レッツラゴー!」
人を惑わせておいて簡単に話を変えてしったから、その意味については問えないまま私は頷いた。
でも、心の中ではほんの少しの期待に胸を踊らせていた。

お仕事ちょーだい!! 1

2009-04-27 21:30:15 | 漫画ノベル化
小鳥がさずり、町の屋根たちが明るく照らされる。
朝がやってきたのだ。
「おねーちゃん!」
そんな静かな朝に一つ大声が響いた。それに「朝だよー」と分かり切ったことが付け足された。その声に反応して、呼ばれたおねえちゃんは飛び起きた。
「はひっ!?」
変な言葉を発して。
そんな風に動転していたら、起きた途端に何かが飛んできたりした。
ヒュンッ
寝呆け眼はより刺激され、すっきり眼に変わり、見事にそれを受け取った。それを見計らってか、妹にあたる人物が何かを告げた。
「依頼料だよ、それ。きっかり五万円、安いよねー」
服を探しながら、あっさりと『五万円を安い』などと言う女、お前いくつだ。
おねえちゃんはびっくり顔で、「うっそ!?こんなに!?五万てイー方じゃん!!」
だが、妹は先程通りのがめつさで、「何言ってんの!?バカ!?」とかなり強く切り返したのだ。「こんなんじゃ……」
そして、次は反対に目に涙をため、震え声で始めた。だが、すぐにそのトーンは破られた。
「ブランド物とか買い漁れないじゃないっっ!!服~~バックゥ~~ヒール~~サンダル~~」
やっぱり、それか……。
おねえちゃんは、ズルッと転けて頭が下、足が上の変といえる体勢に変化した。最終的に大の字。ちなみに、ぴよこのパジャマを着用。
「うわーん!!」
いきなり、妹が強烈に泣き出した。なんて奴だ……。そして、姉が困り顔で「ごめんねー」を連発して宥めるのだった。
これは、朝の時間がどうでもいいことに使われている一つの例である。

********

「行ってきまーす!」
溌剌とした声とともに二人の女の子が爽やかな風合いの家から出てきた。
一人は短髪気味の襟足が少しばかり跳ねている茶髪のおねえちゃん。もう一人は、胸の高さほどの黒と金の色調の髪の妹だ。
結構簡単に宥め終わったらしい。
「乙羽っ、走るよ!」
おねえちゃんが言った。
どうやら長引いたらしい。
妹は乙羽と言う名だと判明。乙羽が、うんっと頷いて、二人は走り出した。

お仕事ちょーだい!! -プロローグ-

2009-04-26 22:00:00 | 漫画ノベル化
夜闇の中、蠢く影二つ。
その正体は、
『約束の金だ』
闇の静けさをなんとも俗世らしい言葉で打ち破る男と、
『確認いたします』
と平然と受け答えする女だった。
女は、先程男が言うと同時に投げ落とした封筒を拾うと中身の枚数を違えないように慎重に数えだした。
男はただ、それをじっと見つめいていた。まるで、その枚数が自分の命運を握っているかのように、じっと瞬きすらせずに。
『約束通りの金額です。明日の夜決行しますわ』
『あぁ、頼むぜ』
『わかっています。しっかりやりますわ』
念を押すように繰り返した男の態度が自分の力量を低く見られたようで気に障ったのか、女は少々苛立たしげに答えた。
それから、いつの間にか二つの影は消え、闇が深くなっていった。