グリーン&オーガニック・ブログ

世界の緑の政治やオーガニックに関する情報を伝えます。

第1回全国有機農業モデルタウン会議

2009-08-31 00:49:00 | 行政関連

2009_005_37月21(火)、農水省の7階講堂で第1回「全国有機農業モデルタウン会議」が開催されました。農水省では、2006年12月に施行された有機農業推進法に基づいて、2008年度から有機農業総合支援対策を実施しています。その地域レベルの取り組みとして、有機農業の新規参入希望者に対する技術指導、販路開拓のためのマーケティング、消費者との交流、有機農業の広報(普及・啓発)、技術実証圃場の設置などの支援により、全国に有機農業の振興の核となる「モデルタウン」の育成に取り組んでいます。

Photo有機農業モデルタウンは、公募によって決められます。まず市町村や県などの行政機関、有機農家、農協などで地域で有機農業推進のための協議会を設立して、有機農業の振興計画を策定します。この計画が農水省に認められるとモデルタウンの指定を受けられます。指定協議会には、例えば有機農業の専門家を講師にした技術研修会、消費者との交流イベント、マーケティング活動の費用などが補助されます。またモデルタウンのうち2カ所には、有機種苗の生産や栽培研修の拠点となる技術支援センターも建設されることになっています。http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/model.html

Japanese_organic_model_town_map

2009年度は、全国47地区に加えて補正予算で追加された12ヶ所の計59ヶ所でモデルタウンの取り組みが行われています。この日は、全国でモデルタウン事業に関わっている有機農業者を中心に、地方農政局などの行政関係者や流通業者、有機農業団体など(登録参加者だけでも)262名もの関係者が集まり、農水省の広い講堂がいっぱいになりました。僕は今回、Radixの会(らでぃっしゅぼーや)として参加しました。
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/y_model_town/index.html

2009_040個人的には、ここ最近はIFOAMジャパン関連の打ち合わせなどで、有機農業推進法の担当部署の農業環境政策課がある農水省の2階に何度か行く機会がありました。また、15年近く有機農業の広報に関する仕事をしてきたので、農水省記者クラブのある3階にもよく来ていましたが、さすがに(きっと新入省員の入省式の訓示などをやるのであろう)7階の講堂には今まで入ったことがありませんでした。その講堂が、有機農業関係者でいっぱいになる日が来ようとは、まだ有機農業推進法が施行さていない3年前には誰も想像しなかっただろうなーと思うと、なかなか感慨深いものがありました。
http://blog.goo.ne.jp/masayakoriyama/d/20090716

2009_041奇しくも衆議院が(歴史的な政権交代に向けて)解散された当日に第1回目が開催された「全国有機農業モデルタウン会議」は、そのことにも触れた農水省生産局の本川局長のあいさつで始まりました。それに続いて、生産局農業環境対策課の別所課長から有機農業推進法に関するこれまでの経緯とモデルタウンを巡る全国の動きに関する報告がありました。事務局の資料を基に、有機農産物の生産量(有機JAS格付数量)は、2008年で53,446tになったこと。これは国内農産物生産量の0.18%に相当するとのこと。モデルタウン事業の効果で、基本的には慣行栽培から有機農業への転換者数、有機(JAS)の栽培面積、有機(JAS)農産物の収穫量、販売量ともに一定程度の増加傾向にあるという報告でした。そして、有機農産物の認定事業者数は約2000名になったことなどが報告されました。詳しい資料は以下のリンクからご覧いただけます。http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/pdf/4_1_model_town_meguji.pdf

【モデルタウン活動の事例報告】
2009_038その後、農業環境対策課の有機農業推進班、堀川班長の司会で全国5ヶ所の有機農業推進協議会から、以下のテーマでモデルタウン活動の先進的な事例報告がありました。各地での特色ある貴重な発表は、1人10分間の持ち時間ではなかなか十分に伝えきれないようでした。印象に残ったのは大雑把ですが以下のような内容でした。※詳しくは発表資料をそれぞれのリンクで見ていただけます。

2009_008山形県鶴岡市有機農業推進協議会会長、志藤正一さん(庄内協同ファーム代表)
からは、水稲(お米の)有機栽培に加えて、その種子栽培も有機でやろうとしていることが報告されました。他に印象的だった報告は、「一番大事なのは隣人(村人)たちの(有機農業に対する)理解」であるということ。また、「学校給食では、大規模調理場向けに大きさや形状の揃った有機農産物を大量に調達する必要があるが、これはなかなか難しい。」「有機野菜の値段が慣行栽培の野菜に比べて高いため、給食費の値上げにつながる可能性があるから保護者の理解を得る必要がある。」という現実的な話がありました。

2009_014JAとして1988年に有機部会を作った千葉の山武農協。それをベースに2005年に設立された「さんぶ野菜ネットワーク」。すでにベテランではなく若手の担当者が発表しているこの団体がテーマにしたのが後継者の問題です。「新規就農者に半年の長期研修をさせて独立を支援しているが、独身の新規就農者は住居(や資金)を確保することが難しいこと。」「仕事も家事もやらなければならないことから、人手が足りなくて苦労している。」以上のことから、行政の支援が必要であることを報告していました。

2009_015兵庫県のコウノトリ共生推進協議会からは、コウノトリをシンボルにした環境保全型農業で栽培したお米のブランディング「コウノトリの舞」のお話が印象的でした。これは、有機農業と環境保全型農業による生物多様性の確保というテーマの具体的な事例としてとても面白い取り組みだと思いました。小学生に田んぼの生き物調査への参加も推進しているそうです。

2009_0171983年から学校給食に有機野菜を導入してきた愛媛の今治市。有機農業推進協議会事務局の渡辺敬子さん(今治市農林振興課地産地消推進室)からは、2005年に市議会が“食料自給率の向上と必要以上の農薬や化学肥料や抗生物質や家畜医療品の使用を抑えて、有機農業による地産地消を推進する”「食料の安全性と安定供給体制を確立する都市宣言」を採択したことや、子供たちへの食育という観点も含めて、学校給食への有機野菜の導入を積極的に推進していることが報告されました。

「新たな技術開発について」鶴岡市推進協議会(山形市)
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/pdf/5_1_turuoka.pdf

「新規就農者の問題」山武市推進協議会(千葉県)
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/pdf/5_3_sanbusi.pdf
「消費者との交流」喜多方市推進協議会(福島県)
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/pdf/5_2_kitakata.pdf

「米を中心に」コウノトリ共生推進協議会(兵庫県)
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/pdf/5_4_toyooka.pdf
「学校給食への導入」今治市推進協議会(愛媛県)http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/pdf/5_4_imabari.pdf

Photo_3今回の会議は、たまたま会場で会った金沢で有機小麦や有機大豆、有機米の大規模生産(とその加工)に取り組んでいる第一人者である㈱金沢大地の井村辰二郎さんと隣に座れたので、各地からの報告を聞きながら、わからないことがあると井村さんに詳しく教えていただくことができて理解が進みました。http://www.k-daichi.com/

【全国モデルタウン20ヶ所の課題と意見】
2009_022その後、「モデルタウン事業の課題と問題点」として全国20ヶ所からの発表がありましたが、こちらは持ち時間がそれぞれ3分間しかなかったので、活動の概要報告が精一杯という感じでした。でも、個人的には「東京にいながらにして全国の皆さんの活動の一端に触れることができるとても貴重な機会だ」と思いました。意見として出ていたことから、一部をピックアップすると以下のような内容でした。

2009_035「最初は後ろ向きだった人たちが、だんだん熱心になって町全体が燃えてきた。」(北海道)「消費者の関心が高まってきているが生産者の方がいまひとつだ。」(岩手県)「壁にぶち当たっている。有機JAS米はダブついている。転換中はプレミアがない。販促につながらない。でも参加者は増えている。点から面を目指したい。」(宮城県)「有機農業は初めてという人が集ってくれた。」(茨城県)「若い市長さんが引っ張っている。有機JAS取得農家が増えている。」(神奈川県)「“無農薬”と言えないのが辛い。有機野菜の良さを伝えるのが難しい。(お茶はダブついているので)慣行栽培と同じ値段でもやれるように頑張る。まだ技術が安定していない。カナダなどへの輸出も考えている。」(静岡県)

Photo_2「協議会ができたことで、いろんな団体が集れた。でも若い人は自分のことしか考えていない。」(山梨)「消費者の有機農業に対する啓蒙(普及・啓発)は県や国にお願いしたい。」(兵庫県)「事務局を農家がやっているのに事務経費がでない。金が出るのが遅い。」(和歌山県)「有機認証の負担が大きい。」(島根県)「古い有機農家は若い農家と同じ言葉を持っていない。」(徳島県)「技術的なギャップをどう埋めるかが課題。資材の使い方も含めたマニュアルが必要。」(福岡県)「生協などは有機JASも減農薬野菜も同じに扱う。ユーロGAPもやっていく。有機農業の導入時の5年間を環境直接支払いで支えて欲しい。」(熊本県)

各地の報告で共通するのは、「有機農業への過程としての環境保全型農業の技術向上などにも取り組んでいる。」「地域の生物多様性を意識している。」「行政が熱心なところはうまく行っている。」ということではないかと感じました。以下のリンクで現在までに活動している全国47の有機農業モデルタウンの概要を見ることができます。http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/pdf/6_model_town_dayori.pdf

【会場との質疑応答】
2009_044その後の質疑応答では、ある関係者からは有機農業をやっていると受けられない助成制度があることや、(これはモデルタウン事業だけのことではありませんが)「行政からの補助金が後払いであること(立て替える資金がない)」に対して、強い調子で改善を要請する一幕もありました。会場からは、日本有機農業研究会理事の魚住道郎さんが、有機農業における堆肥作りの重要さについて紹介されていました。

2009_045有機農業技術会議代表の西村和雄さんは、研修先の受け入れ調査のお願いなどをされていました。最後は、日本有機農業学会会長で全国有機農業推進委員会会長でもある茨城大学農学部の中島紀一教授が講評とまとめをされました。

【次回の会議に向けて】
いずれにしても今回は第1回目の開催でした。全国各地でモデルタウン事業に取り組む関係者が一同に集って、「他の地域でどんな活動がされていて、どんな悩みを持っているのか、何がうまくいっているのか」などの情報を共有できただけでも意味があったと思います。でも、せっかく全国から交通費をかけて(多くは泊まりで)集っているのだから、次回は集った協議会の関係者同士でお互いに話し合う時間をとって、情報交換や交流が図れる時間もあるといいのではないかと思いました。個人的には、会議の後、小雨の降る霞ヶ関から近くの虎ノ門の居酒屋までの道を傘もささずに歩いて、北海道や和歌山、埼玉、鹿児島など全国各地から参加したお馴染みの生産者の皆さんとしっかり飲みに行って、情報交換に花を咲かせました。

【有機農業モデルタウン事業のメリット?】
Photoまず第1に、これまでは地域で孤立しがちだった有機農業の生産者が、行政が関わる有機農業推進協議会(モデルタウン)ができたことで、いろいろな立場の関係者と同じテーブルにつくことができたのはいいことだという意見を少なくない関係者に聞きました。同時に、長い経験のある有機農業者が推進協議会に加わることは、栽培技術の面からも地域における有機農業の発展にとっても大きなメリットがあると思います。また、若手の新規就農者の共通の悩みとして、住居や農地、運転資金が借りられないという問題があります。そして、なんとか就農できたとしても売り先がなかなか見つからないことも悩みの種です。各地域の有機農業推進協議会はこういう問題の受け皿になりつつあるという話も聞きました。もちろん、まだ始まったばかりでいろいろ問題もあると思いますが、この仕組みをできるだけ前向きに活用していけるといいのではないかと思います。

031これまで有機農業は技術的に体系だった研究が国でも自治体でもなされてきませんでした。ヨーロッパ(EU)では、1992年に環境保全型農業や有機農業を財政的に支援する「農業環境政策(環境直接支払い)」を導入しました。それに加えて、環境保全につながる有機農業の栽培技術、農法や肥料に関する調査研究に一定の予算をつけて情報を蓄積してきましたが、これがEUの平均で4%という有機農業の発展に貢献してきました。翻って日本の有機農業推進法でも、2009年から5年間、有機農業の研究開発費として 毎年2億1千万円を予算化しました。

Photo_3今回の有機農業モデルタウン会議に参加して、有機農業推進法の関連で活動を続ける消費者への普及啓発を担う「NPO法人 全国有機農業推進協議会」、有機農業の技術開発・体系化・普及に取り組む「NPO法人 有機農業技術会議」、それに全国各地の地域に根ざして新規参入希望者に対する技術指導・販路開拓のためのマーケティング支援等を担う「有機農業モデルタウン事業」がうまく噛み合って動いていけば、時間はかかるかもしれませんが日本の有機農業の発展も夢ではないかもしれないと思いました。
「NPO法人 全国有機農業推進協議会」
http://www.yuki-hirogaru.net/
「NPO法人有機農業技術会議」
http://www.ofrc.net/


「エコとオーガニックが大集合!」グリーンEXPO2009

2009-08-27 01:03:05 | 展示会

2009_green_expo_021少し前の話になりますが、7月4日(土)と5(日)の2日間、パシフィコ横浜で第1回“エコとオーガニックが大集合!”「グリーンEXPO2009」が開催されました。主催はグリーンEXPO実行委員会。主催協力は、NPO法人オーガニック協会、ロハスビジネスアライアンス(LBA)、日本オーガニックコットン協会、カーボンオフセット協会、それにサステナです。http://greenexpo.jp/

2009_green_expo_055展示会の目的は「オーガニック製品の普及と啓蒙」「グリーン&エコ商品の普及と啓蒙」「グリーンな低炭素社会での豊かで健康なライフスタイル提案」。グリーンEXPOは、このコンセプトに基づいて企画された環境配慮型の製品やサービスを提供する企業やオーガニックな取り組みを行う生産者が一同に会する、グリーンでロハスな消費者とのコミュニケーションの場です。2日間の来場者数は、オーガニックやエコに対する関心の高まりを反映して、同時開催のフリーマーケットへの来場者約1万人を含めて3万6千人を超えました。

2009_green_expo_019

Organic_festa2009logo このイベントは、NPO法人オーガニック協会が2004年から東京の晴海トリトンスクエアで毎年開催してきた“ヨーロッパの街角や広場で毎週行われるマルシェ”をイメージした「オーガニックフェスタ」をベースに企画されました。http://www.organicfesta.com/001/
オーガニック協会は、2001年からヨーロッパを中心とした世界のオーガニックに関する最新の情報を常時メルマガで発信しています。IFOAM関連のプレスリリースやオーガニックマーケットインフォからのニュースなど、欧米のオーガニックを知るには外せない情報源からのマーケット情報や政策動向、国際会議、イベント情報などをタイムリーに日本語で提供してくれる貴重なメルマガです。個人的にはこのメルマガに大変お世話になっています。http://www.euofa.jp/

2009_green_expo_024 通常はオーガニック食品が8割を超えるオーガニックフェスタに、今回は日本各地の国産食材、オーガニックコットンやコスメなどのファッション、環境に優しいリビング、そしてカーボンオフセットなどの出展が加わり、「衣・食・住」の各分野で“グリーン(エコ)でオーガニックなライフスタイル全般”を提案する場となりました。そのせいか、来場者は大学生からOLさんや若い女性たち、小さい子供を連れた家族連れなど、比較的若い人が多かったように感じました。もちろん食の安全に興味のあるご年配の参加者も来場されていました。

【衣・食・住にわたるエコでオーガニックな提案】
2009_green_expo_056広い会場は、テーマごとにいくつかのゾーンにデザインされていました。会場の右手の入り口付近にはGREENZや『ソトコト』などのエコな①「グリーンメディアゾーン」があり、早速会いたいと思っていた“環境とCSRのビジネス情報誌”『オルタナ』編集長の森摂さんに会って話すことができました。オーガニック食品や無・低農薬の食材、伝統的な製法で作られた調味料など、安心・安全にこだわる全国の生産者(食の学校)が大集合した②「食とおいしい暮らしゾーン」は中央と一番奥にありました。

2009_green_expo_011 ここではオーガニック協会の代表理事でオーガニックワインの専門家でもある田村安さんや、創業200年の伝統的な製法を守る岩手のお醤油屋さん、八木澤商店の河野光枝さんなどにも会って話を聞くことができました。河野さんの、参加した消費者の反応がとてもいいという言葉が印象的でした2009_green_expo_043

2009_green_expo_020_2オーガニックコットンや竹布、エコ素材などで作られたおしゃれな衣類を紹介し、フェアトレード、生産現場の児童労働や農薬問題などを意識したエシカルな選択を紹介する③「グリーンファッションゾーン」。普通、オーガニックコットンというと生成りのベージュの色を連想しますが、驚いたのは繊細できれいでカラフルな商品が展示されていたこと。この業界も確実に進化しています!

2009_green_expo_027オーガニック&ナチュラルコスメや、心も体もリラックスできるアロマテラピーなどの④「グリーンビューティーゾーン」は女性でいっぱいでした。この分野はヨーロッパやアメリカでも急成長しています。自然素材を使ったエコリフォームや家づくりを提案する⑤「グリーンリビングゾーン」や家庭で排出したCO2を相殺するカーボンオフセットや低炭素社会への取り組みや情報を紹介する⑥「ローカーボンゾーン」は、あまりオーガニック関連のイベントでもお目にかかれない貴重な出展だと思いました。

Green_business30代でなかなか正社員として就職できない世代(ロストジェネレーション)が社会的な問題になっていますが、そんな彼らに遣り甲斐のあるエコな働き方を提案する⑦「グリーンビジネスゾーン」。オーガニックというと食品というイメージがあるので、なかなか若い男性は足が向かないのですが、こういう企画があるとグリーンメディアと併せてオーガニックやエコを仕事にしようという男子も興味を持つだろうと思いました。

総合的には、有機野菜やオーガニック食品だけでなく、コットンやコスメにワイン、それにフェアトレード商品やエコなハウジングやカーボンオフセットまで、生活全般に関して時代を先取るセンスのいい商品やサービス、セミナーや楽しい企画などが大集合した、オーガニックの新しい時代を感じられるいい展示会だなーと思いました。

【IFOAMのオーガニック原則とグリーンEXPO】2009_ifoam_emerson_067

Ifoamimages 1972 年から世界中でオーガニックの推進を支援してきた「アイフォーム(IFOAM:国際有機農業運動連盟)」は、世界108カ国750団体の有機農業関係者(メンバー)で構成されている国際オーガニックNGOです。http://organic.no-blog.jp/weblog/2008/09/index.html

IFOAMは、市民社会による環境運動として始まった有機農業が(大手資本による)ビジネスの原理だけに引きずられすぎないよう2005年に「オーガニックの4原則」というものを作りました。オーガニックとはただ単に農薬と化学肥料を使わない農業というだけでなく「健康(自然と人間)・エコロジー(生態系)・(社会的)公正・配慮(予防原則)」に配慮すべきだという考えです。
http://www.ifoam.org/about_ifoam/pdfs/POA_folder_japanese.pdf

これは、「オーガニックとは(上記のようなものを好んで選ぶ)エコロジカルで持続可能なライフスタイルだ」というグリーンEXPOの考え方とも基本的には共通しているのではないかと感じました。グリーンEXPOでは、今後このイベントの全国展開も検討しているとのこと。展示会を通じて、こういう価値観が広がっていくという意味でもかなり楽しみな話だと感じています。

【オーガニック食品と国産食材】2009_green_expo_003
2009_green_expo_027自分が関わっているオーガニック食品や有機農業・環境保全型農業の関連で言えば、「オーガニック」は基本的に法律で規制されている表現なので、オーガニック認証のある商品とそうでない商品(環境保全型農業による国産の低農薬や特別栽培に当たるもの)を、分かりやすく区別できるようにしてもよかったかのかなーと思いました。

2009_green_expo_044_2どちらも大事で貴重な取り組み(商品)なので、両方の違いがいい意味で消費者に理解されて、双方とも支持されるような状況を作れれば一番いいのではな いかと思いました。個人的には地元の鹿児島「えこふぁーむ」の放牧している豚の生ハムなども出ていたので「おーっ」と思いました。確か、ミスチルや坂本龍一さんたちの「APバンク」も支援していますよね。らでぃっしゅぼーやでは、1990年から放牧豚を手掛けてきただけに、こういう広がりはうれしいものです。
http://www.radishbo-ya.co.jp/20th.html

【グリーンライフスタイル提言】
2009_green_expo_069最後に、面白いなーと思ったのが「ダイアログカフェ」。これは実行委員の皆さんがファシリテーターになり、イベントに関わった関係者が対等で率直な意見を交わし、アイデアをまとめる草の根の合意形成の場。“日本のグリーン消費と環境ビジネスをリードする出展者が一堂に会するグリーンEXPO”で「買い手と作り手が対等に出会う機会に、自発性と多様性を重んじる市民による政策提言『グリーンライフスタイル提言』を発表しよう」という野心的な取り組みです。

2009_green_expo_071司会はサステナのマエキタミヤコさん。パネリストは、グリーンEXPO実行委員で会場の各ゾーンのプロデューサーの皆さん(井手敏和さん、渡邊智恵子さん、大和田順子さん、田村安さん、生駒芳子さん、南清貴さん、小松和子さん)というなんとも豪華な顔ぶれです。さすがに論客揃いで、短い時間で結論を出すの大変そうでしたが、こういう現場でビジネスを通じた環境(社会)貢献に取り組んでいる民間(市民)サイドから、具体的な政策提案をしていくことはとても大事なことだと思いました。※有機農業の業界では市民サイドと議員連盟がタッグを組んで「有機農業推進法(2006年12月)」を成立させることができました。
http://blog.goo.ne.jp/masayakoriyama/d/20090716

【グリーンとロハスとオーガニック】
2009_green_expo_073パネルの後に、グリーンリビングゾーンのプロデューサーであり、ロハスビジネスの専門家でもある大和田順子さんとお話させていただきました。最近、農水省関連の有機農業の普及啓発活動にも関わっていただいている大和田さんからは「有機農業や有機野菜は、ロハスの基本中の基本だと思っている。」「アメリカのロハスの聖地、ボルダーでも、LOHASはオーガニック関係者が始めた活動だ。」といううれしい話を聞くことができました。※LOHAS (Lifestyles Of Health And Sustainability) - 健康や環境問題(持続可能性)に関心の高い人々のライフスタイル-
http://www.owadajunko.com/
2009_green_expo_061正直、ロハスという言葉には数年前に商標の問題などがあって少し抵抗感があったのですが、元々は今回のグリーンEXPOに来てくれたような「エコやオーガニックに対して意識の高い消費者のライフスタイル」を表す言葉だということを思い出して、今後は素直に前向きに考えていきたいと思いました。

Green_expo1最後に「グリーンEXPO」を開催したことによって、約110トンのCO2が排出されたとのこと。この分の二酸化炭素(温暖化効果ガス)は、 カーボンオフセットプロバイダー11社によりオフセットされたそうです。このことよって「グリーンEXPO」はカーボンニュートラルなイベントとなりました。これからは、(当然ですが)イベント自体の地球温暖化を含めた環境インパクトまで考えなければいけない時代なんだなーと再認識させてもらいました。http://gconscious.jp/


東京タワー打ち水大作戦2009

2009-08-23 23:45:09 | 環境イベント

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8月7日(金)の13時から、東京タワーの足元、正面玄関前特設会場で「東京タワー打ち水大作戦2009」が開催されました。主催は「みなと環境にやさしい事業者会議(mecc)」と2006年3月のmecc設立当時からの幹事メンバーでもある有機野菜の宅配会社らでぃっしゅぼーや、打ち水大作戦本部です。東京タワーが協力、地元の港区が後援しています。http://eco-plaza.net/mecc/

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2009_015_2この日は、朝から強い日差しに猛烈な暑さの一日。今年の夏は天候が不順で、九州北部や山口地方で集中豪雨による甚大な水害などが起きています。また梅雨がないはずの北海道でも雨が多く、東北でも日照時間が足りずに、農作物への影響が心配されています。高温多湿の日本の気候では、有機農業を行うのが難しいと言われていますが、昨今の地球温暖化による気候変動、不順で不安定な天候は農薬や化学肥料をできるだけ使わない環境保全型農業にも大きな影響を及ぼしています。でもこの日の東京都心は最高気温が36℃。そんな心配をしばし忘れさせてくれるぐらいの猛暑日でした。江戸の知恵である「打ち水」で涼をとるには絶好の打ち水日和です。2009_025

今年の打ち水大作戦は、江戸の暦で“大暑”の7月23日から“処暑”の8月23日まで全国で行われました。処暑は、この日をもって暑さが和らぐとされる夏の最後の日です。東京では、あのガンダムもいる「お台場打ち水大作戦」で今年最後の打ち水が行われました。

2009_0142003年に始まった「打ち水大作戦」は、身の回りの二次利用水(お風呂の残り湯など)を使って、決められた時間にみんなでいっせいに水を撒いて「打ち水」することによって、真夏の気温を2℃下げるという、手軽で、楽しい地球温暖化対策につながる環境イベントです。打ち水はその昔、江戸時代の人々が洗濯や炊事で使った水を朝夕に涼をとるために家や店の前にまいていた水のこと。この夏の風物詩となったエコイベントは、全国各地で多くの個人、企業、自治体が賛同して大規模な参加者を得て行われるようになっています。http://www.uchimizu.jp/09/index.html

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今年で4回目になる「東京タワー打ち水大作戦2009」に参加したのは、夏休みで東京タワーに遊びに来た家族連れの子供たちや、海外からの観光客、それに主催のらでぃっしゅぼーやの若手スタッフたち。そして、打ち水に使われたのは、港区の地中化された電線などがまとめられた汐留の電線共同溝で貯水された雨水や湧水、そしてらでぃっしゅぼーやの社員が自宅などで貯めた二次利用水でした。

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港区長さんの「手軽にできるヒートアイランド対策として有効な打ち水を是非ここで体験してみて下さい。」というあいさつに続いて、いよいよお待ちかねの打ち水タイム!国産の木材で作られた木桶を使って、最後にはお互いに水の掛け合いになってびしょ濡れで大はしゃぎの子供たちや、それに負けないぐらいに楽しそうに打ち水をする浴衣姿の大人たち。こういう生活の知恵というか、日本の伝統を子供たちと一緒に楽しみながら地球温暖化について考えてみることは、大事なことではないかと感じました。打ち水の後には、いつものように涼しい爽やかな風が東京タワーの下を吹き抜けていきました。2009_030

【打ち水大作戦とは?】

「日時を決めて残り湯などの二次利用水をつかって、
みんなでいっせいに打ち水をする。
たったそれだけののこと。

たったそれだけのことで、真夏の気温を下げられる。
たったそれだけのことで、ヒートアイランド対策に効果をあげる。
たったそれだけのことで、真夏の電力エネルギーの節約になる。
たったそれだけのことで、地球にやさしい人になれる。
たったそれだけのことで、体も気持ちも爽やかになれる。
たったそれだけのことで、コミュニティがひとつになれる。
たったそれだけのことで、みんながハッピーになれる。

打ち水大作戦は、決められた時間にみんなでいっせいに水をまくことで、伝統的な「打ち水」の効果を科学的に検証しようとする、前代未聞の社会実験です。

※らでぃっしゅぼーやは打ち水大作戦本部の池田正昭さん(港区エコプラザ)とのご縁で2004年から打ち水大作戦に参加しています。http://www.uchimizu.jp/05/05report05081103.html
http://www.radishbo-ya.co.jp/20th_02.html
http://www.eco-plaza.net/