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グリーン&オーガニック・ブログ

世界の緑の政治やオーガニックに関する情報を伝えます。

国連持続可能な開発会議『リオ+20地球サミット』のテーマ「グリーン経済」の未来は?

2014-05-06 19:50:10 | 国際会議

1619604_657246321008191_921344503_n 今年の2月15日に、明治学院大学でカナダから来日した環境運動家セヴァン・スズキの『Love is the Movement!「もっと経済成長?もっと消費?」から「しる・つながる・つくる」でユカイな未来へ』が開催されました。主催はナマケモノ倶楽部。通訳は、明学教授で『スローイズビティフル』の著者でもある辻真一さん。司会は前緑の党共同代表の高坂勝さんが務めました(photo by Hideaki Sato)。セヴァンさんは、1992年にブラジルのリオデジャネイロで初めて開催された国連の「地球サミット」で、子供たちの環境団体「Eco」を代表して環境問題に関する“伝説のスピーチ”をしたことで有名です。いまや2児の母親となった素敵な女性として「愛こそが地球を、次世代を担う子供たちを救う!」と訴えています。ゼヴァンさんとは、「リオ+20地球サミット(2012)」で初めて会いました。もう2年前になりますが、以下に参加したリオサミットの様子を報告します。http://www.sloth.gr.jp/events/sev0215/
Riodejaniero_earthtalkrio20Rio20_logo_fvl_22012年6月20日~22日、ブラジルのリオデジャネイロにおいて「国連持続可能な開発会議(「リオ+20」地球サミット)」が開催されました。会場はリオ市街から約30kmほど離れたリオセントロです。会議のテーマは①「持続可能な開発及び貧困根絶の文脈におけるグリーン経済」②「持続可能な開発のための制度的枠組み」でした。会議の重要課題は「雇用・エネルギー・都市・食料・水・海洋・災害」。合意を目指した成果文書のタイトルは「私たちが望む未来(The future we want)」です。http://www.geoc.jp/rio20/about

Rio20officialphotowit007このサミットには、世界188カ国から首脳や閣僚などのリーダーや国会議員、政府関係者、国際機関や国際NGO、企業関係者など5万人が一堂に集まって、どうやってアフリカや南米など第3世界の貧困問題を解決し、社会的公正を実現して、環境保全を確保していくかを議論しました。僕は、このサミットに2008年から2011年まで国際理事を務めた国連社会経済理事会(ECOSOC)の公式な諮問資格をもつNGO「IFOAM(アイフォーム:国際有機農業運動連盟)」の代表団メンバーとして初めて参加しました。また、日本から参加した「リオ+20地球サミット連絡会」(事務局:環境パートナーシップ会議)の皆さんとも一緒に参加することができて、得るものの多い貴重な経験でした。
http://www.epc.or.jp/summit.item.12/yobikake.html
Rio20_2_050_2 【コパカバーナ・ビーチ】サミットの期間中は、あのリオのカーニバルでも有名なコパカバーナ・ビーチから歩いて5分ぐらいの好立地のベッド&ブレックファースの宿に泊まっていました。会場までは、毎朝専用のリムジンバスで約1時間程かけて通いました。リオのホテルはサミット特需で軒並み価格が暴騰。そして、数万人の参加者が一度に来たことから部屋がなかなか予約できない状況でした。でも、幸運なことに「リオ+20地球サミット連絡会」の事務局が押さえていた部屋を借りることができました。地元の小さい子供のいる家族が経営するB&Bはアットホームで、新聞には載らない地元住民ならではの現地情報や(ゴシップを含めた)国内政治の情報などが聞けて、面白かったです。
Rio20_6_126【「リオ+20」の成果と課題】「リオ+20」の目的は、「持続可能な開発に関する新たな政治的コミットメントを確保すること」。また「1992年から20年間の進展と成果を確認し、積み残された課題を検証すること」。そして「新しく顕在化しつつある課題を扱うこと」でした。①の「グリーン経済」に関しては、地球規模のグローバルな課題として、(経済/財政問題、食糧問題、エネルギー/燃料、気候変動、生物多様性の損失、砂漠化、水問題、災害の多発/災害振興、不平等、貧困の削減)などの問題をどう解決するかが話し合われました。特に気候変動の問題は、いくつもの課題の原因にもなっている深刻な問題です(写真は本会議で演説をするフランスのオランド大統領)。
Rio20_6_068 【「持続可能な開発目標(SDGs)」については合意】会議では、開発途上国側の「グリーン経済」に対する懐疑的な見方が強く、最後まで先進国側との議論は噛み合いませんでした。議長国のブラジルは「グリーン経済」について、「持続可能な開発を進めることで貧困撲滅を実現する」経済として提案しました。でも「共通だが差異のある責任」を主張する開発途上国側は、「グリーン経済」に対する警戒心が強く、この環境と経済の好循環を実現する政策を議論するために、「グリーン経済への移行のための技術移転と投資と費用」を誰が負担するのか?その「指標の開発と有優良事例の提示」が必要であるなどと訴えました。この点では、欧州連合(EU)が金融危機のまっただ中で対応に苦しんでいたタイミングでもあり、先進国側から途上国へ十分な資金援助は確約されませんでした。②の「制度的な枠組み」については、「UNEP(国連環境計画)の強化」や「新しい組織の設置(世界環境機構)」などが議論されました。成果としては、「ハイレベル政治フォーラム」の設立(2013年)や環境保全や貧困根絶などの新しい目標として、「持続可能な開発目標(SDGs)」の政府間交渉のプロセスに入ることが確認されました。SDGsは、2015年以降の国連開発アジェンダに統合することが合意されました。
http://geforum.net/archives/452
Rio1992【最初の地球サミットから20年目】 「リオ+20」は、ブラジル政府が1992年にリオで開催された「国連環境開発会議(地球サミット)」 から20周年を迎える機会に同会議のフォローアップ会合をリオで行うことを提案したことを受けて、第64回国連総会(2009年)で決定されました。ブラジルのリオデジャネイロで初めて行われた1992年の地球サミットには、世界172カ国から約4万人以上が参加し「環境と開発に関するリオ宣言」や「アジェンダ21」が採択されて、「気候変動(地球温暖化)」や「生物多様性」などがその後に世界中で市民によって地球環境問題として取り組まれる端緒となり、各国政府による「気候変動枠組条約(UNFCCC)」と「生物多様性条約(CBD)」「国連砂漠化対処条約(UNCCD)」への署名も開始されるなど大きな成果を生みました。これらの条約が京都議定書、カルタヘナ議定書、名古屋議定書とつながりました。また、会議には世界各国の首脳や政府関係者に加えて世界中から多くの開発援助団体や環境NGOなど「市民社会セクター」が初めて参加。「地球市民(Global Citizen)の誕生」、「地球市民社会(Global Civil Society)の出現」という新たな時代の幕開けを感じさせました。
http://blog.goo.ne.jp/masayakoriyama/d/20090915
061000【12歳の少女による伝説のスピーチ】 1992年の地球サミットでは、12歳の少女が伝説のスピーチをしました。冒頭にご紹介した有名なカナダの環境学者、デビッド・スズキ教授の娘でもあるセヴァン・スズキです。当時の世界のリーダーたちに「海や山などの環境を破壊して、それを元に戻せないなら、もう壊さないでください」というシンプルだけど真理を突いた本気のメッセージは、世界中に強い印象を残しました。そのゼヴァンさんも、2児の母です。セヴァンさんは、20年後に同じリオで開催された「リオ+20」にも参加。カナダの環境NGOが開催したサイドイベント「We Canada!」に登場しました。僕は、会場で有機農業と食の安全の問題(遺伝子組み換え作物)や緑の党などによるセヴァンさんの環境政治への関わりについて質問しました。(Photo by Think the Earth!)※セヴァン・カリス=スズキ/リオサミット「伝説のスピーチ(1992年)」
https://www.youtube.com/watch?v=N0GsScywvx0
Rio20_8_026_1 【20年後のサミットでの提案】セヴァンさんは、「リオ+20地球サミット」や冒頭に紹介した日本のイベントで以下のように話しました。「12歳の私は政治のリーダーに環境を壊さないでくれと伝えれば、きっと世界は変わると思っていました。でも、この20年間で世界の実質的な権力は政府から多国籍企業(コーポレーション)へと移りました。」「政治のリーダーも経済成長の呪縛から逃れて自由に動くことができなくなってしまいました(グローバル化した金融システムや貿易のルールなど)。世界のアジェンダを決めているのは多国籍企業です。だから変化は、政府や政治からは起こりません。それを起こせるのは、いまや私たち普通の市民です。」「人類に与えられた最強のツールは世代間を超えた愛の力です!」。20年の時を経て母親となったセヴァンさんのスピーチは、若者たちを鼓舞する魅力とパワーに溢れた素敵なメッセージでした。
「Love is the Movement ~セヴァンからのメッセージ(2014.2.11)」
https://www.youtube.com/watch?v=NofUzszUiIs
Rio20_2_017Ifoamrio【IFOAM(国際有機農業運動連盟)の代表団メンバーとして参加】IFOAMは、世界117カ国に約800団体のメンバーを持つ有機農業に関する唯一の国際統括組織(NGO)です。このサミットには、総勢20名を超す代表団を組んで「(持続可能な開発における)有機農業のメインストリーム化」というミッションを持ってアドボカシー(政策提案)活動を展開しました。キャッチコピーは「私たちが望む未来はオーガニック(有機農業):The future we want is organic」。以下は、40ページにおよぶ10日間のアドボカシー活動の一覧表です。「ifoam_activities_in_rio20_working_plan.pdf」をダウンロード
Rio20_3_072アフリカや南米、インドなどでは、高い農薬や遺伝子組み換え作物の種子などの代金が払えず、自殺に追い込まれる農家が後を絶ちません。また、自分や家族の食糧を自給できず貧困に苦しむ農家が数億人もいます。有機農業は、高価な農薬や化学肥料、遺伝子組み換え作物の種子や苗を(大企業のモンサント社などから)購入する必要がありません。地域の生態系を活かす有機肥料を作り、肥沃な土壌を作り、天敵を使って病害虫を防ぎ、種を取って収穫します。写真は、インドの環境活動家ヴァンダナ・シヴァさんや開発援助団体の理事、有機農業を研究する農学者たち(有機農業でも高収量!)によるサイドイベントです。以下は「FAO(国連食糧農業機構)」で天然資源管理と環境部門の高官を務めるナディア・シアラバさんやヴァンダナ・シヴァさんたちのビデオメッセージです。
Messages to RIO+20 from organic stakeholders at BioFach 2012
https://www.youtube.com/watch?v=7R5_n0Epjtc
Rio20_6_130 【The taste of change】IFOAMは、政府関係ではUSDA(アメリカ農務省)の持続可能性担当部長、EU(欧州委員会)の国際局副局長兼農村開発局副局長、UNCTAD(国連貿易開発会議)の副事務局長、ブータンの首相や農水大臣などハイレベルなゲストを招いて、関連のNGOと協力して様々なサイドイベントを開催。有機農業が「グリーン経済(持続可能な開発と貧困の撲滅)」の優良事例のひとつであることを、参加した国際機関や各国政府の高官などにアピールしました。本会議が開催された初日の夜には、各国の政府関係者や国際機関、企業やNGO、農業の関係者を招待して、スイス政府と共催の「ハイレベルオーガニックディナー “The taste of change”」を開催。国連事務総長の「食料安全保障と栄養に関する特別代表」デビッド・ナヴァッロ氏や、アフリカ各国の農水大臣を招待。「リオ+20地球サミット」の事務局長の下で実務を取り仕切ったNo.2でエクゼクティブコーディネーターのエリザベス・トンプソンさんには、サミットの成果文書をまとめるに当たっての苦労などを聞きつつ、有機農業の有効性を訴えました。(写真は、歓迎のあいさつをする英国エマーソンカレッジの大先輩で、イギリスを代表する有機農業団体ソイルアソシエーションの理事長を長く務めたパトリック・ホールデン氏)
http://www.biovision.ch/en/services/medien/taste-of-change/ 
Hansrudolfherren_biovision_1このディナーのホストを務めたバイオビジョンのハンス・ヘレン氏は、世界の食糧の質・量・供給力の向上に大きな業績を残した人に贈られる世界食糧賞の受賞者で、農業界の「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)」に相当する国際的な科学者の会議「IAASTD(開発のための国際農業技術評価)」の共同議長でもあります。彼は、アフリカで(高価で環境を破壊する農薬に依存せず)生態系を活かす天敵農薬を普及させることで数千万人が飢餓や貧困に陥ることを防ぎました。今回、多くの参加者や開発・環境系のNGOからは、「成果が少なかった」と言われたこのサミットですが、ハンスはこのオーガニックディナーやいくつものサイドベントで話をした各国政府の要人やグローバルなフードチェーンの関係者たちが「持続可能な農業(有機農業)が、気候変動を含めた地球環境を破壊することなく、世界の人たちに食糧を供給できる農業であることを推奨した」重要なステップだと語りました。また、ハンスは「リオ+20」サミット終了後に「最終的な決議文(The Fututre we want)」に、「持続可能な農業(Sustainable Agriculture)」という言葉が入ったことにとても意味がある」とも話していました。自然の循環を活かして(農薬や化学肥料・遺伝子組み換え技術に依存せず)生産性も上げることができる「有機農業」が最も環境に優しく、途上国の小規模農家にとっても持続可能な農業だからです。
http://www.biovision.ch/fileadmin/pdf/BV_MM7_Intvu_HH_EN_28.6.12.pdf

Rio20_5_017【ブータンの首相が「100%有機農業」を宣言!】今回、IFOAMが主催したサイドイベントのひとつにブータン首相のジグミ・ティンレイ氏を基調講演者として招きました。ブータンは、「GNP(国民総生産)」ではなく「GHH(国民総幸福度)」を国が目指す指標にしたことで注目されている国です。IFOAMはこれまで、ブータン政府と共催で開発途上国の持続可能な開発に有機農業が貢献できることを紹介する国際会議を開催してきました。写真はブータン首相とIFOAM理事長のアンドレ・ロイ、事務局長のマルコス・アーベントらです。「※山岳生態系における有機農業とエコロジー農業に関する国際会議」
http://www.ifoam.org/sites/default/files/bhutan_conference_program.pdf
そしてこの日、ブータン首相が国として持続可能な開発のためのアプローチとして「有機農業(オーガニック)100%宣言」を力強く宣言してくれました!このリオサミットでもオーガニックを主要なテーマにするべきだとも言ってくれて、有機農業の素晴らしいスポークスマンが誕生したと興奮してしまいました。Rio20_6_082

少なくとも僕の20年間の経験から、有機農業によるオーガニック市場へのアクセスを通じた開発途上国における「持続可能な開発」は(農薬や化学肥料や遺伝子組み換え作物(GMO)の使用を減らせるという意味で)、まさに「グリーン経済」だし、小規模農家の生計も改善されて貧困が削減されるといえます。このことは、一緒に3年間IFOAMの世界理事を務めたウガンダ有機農業連盟を率いた同僚、モーゼス・ムワンガが実際に証明しています。また、地域の有機資材を活用して地域の市場や自給用にも有機農業を導入することで、貧困を減らすことができると「FAO(国連農業食糧機構)」も認めています。そのことを、更にこの地球サミットで「貧困を減らすための持続可能な開発」の文脈でアピールできたことは、大きな成果だったと思っています。そんな「世界の食糧安全保障」と「グローバルな農業政策」の決定過程にIFOAMの一員として関われたことは、とてもうれしく誇らしい経験でした。写真は、一緒に本会議に参加した理事長のアンドレ・ロイとロバート・ジョルダン(アドボカシー担当)です。以下のリンクは、その詳細をまとめたパワーポイント(※英語)です。アンドレとロバートは、「リオ+20」のサイドイベントで、この内容を発表しました。IFOAM Advocacy for Climate Change and for RIO+20 (Power Point)https://www.soilassociation.org/LinkClick.aspx?fileticket=CDhBCo8wmJw%3D&tabid=17Rio20_2_132 91
Rio20_4_069【緑の党世界大会@地球サミット(グローバルグリーンズ@リオ+20)】僕は、大学卒業後3年ほど外資系企業で働いた後、1992年に環境団体「日本リサイクル運動市民の会(Nipon Ecology Network:NEN)」に入りました。各地でリサイクル情報の提供やフリーマーケットの開催、海外での環境問題への取り組みや環境NGO情報などを紹介する雑誌を発行するなど当時の環境団体としては、先端の活動(有機野菜などの宅配会社らでぃっしゅぼーやの運営も)をしていました。その「NEN」からも、(僕が入社する直前の)リオの地球サミットにスタッフを派遣しました。参加した同僚たちからは、世界中から参加した環境NGOなど市民たちが、政府関係者たちと同等な立場で環境政策の決定過程に関わっていたことを聞いていたので、それから20年後に開催された「リオ+20」にはどうしても参加したいと思っていました(写真はブラジル緑の党党首で下院議員のホセ・ルイス・ペンナ、緑の党国際局の足立力也氏らと)。
http://blogednamartins.blogspot.jp/2012/06/verdes-do-mundo-encaminham-propostas-de.html
Rio20_4_133 2012年2月に西アフリカのセネガルで開催された「緑の党世界大会@ダカール」に日本の緑の党国際担当として参加しました。この大会には76カ国から600人が参加しました。併設された「Rio+20フォーラム」(ハインリッヒ・ベル財団協賛)では、アジア地域の緑の党を代表して、「持続可能な開発に有機農業(オーガニック産業)が世界中で貢献している」現状について(IFOAMの元世界理事としての経験から)講演しました。これを聞いたフォーラムの司会者でブラジル緑の党の元環境省次官、リオデジャネイロ州議会議員(次期州知事候補)のアスパシア・カマルゴさんから「是非、ブラジルでも同じ話をして欲しい!」と言ってもらったことも、今回「リオ+20」に参加するきっかけになりました。1992年に環境団体に入ったばかりの新人が、環境NGOでも地球環境政策(国際政治)に関れるんだと知ってから20年。憧れていた伝説のリオサミットに参加できたことは感無量でした。「第3回緑の党世界大会@ダカール2012」http://blog.goo.ne.jp/masayakoriyama/d/20120430
7398624932_bb302f1ab9_oブラジル緑の党が主催したサイドイベント 『緑の党世界大会@地球サミット(グローバルグリーンズ@リオ+20)』は、歴史あるリオ州議会議事堂(以前の国会議事堂)で開催されました。36カ国から100人近くが集まった会議では、先の4月にダカールで長い議論の末に採択された「リオ+20 サミットに関する決議」が改めて確認されました。会議では、参加国のグリーンズを代表して発言したフランス、豪州、NZ、ブラジル、アルゼンチンなどの国会議員に並んで僕も発言させてもらいました。檀上から「(野田首相による)日本の原発再稼働の問題と、それを政治的に阻止するためにも2012年7月に緑の党を設立します」とスピーチすると、うれしいことに参加者たちから大きな賛同の拍手をもらいました!ダカールで決議されたグローバルグリーンズの「グリーン経済」に関する決議案の策定過程には僕も関わらせてもらいましたが、南米やアフリカなど開発途上国の公正で持続可能な開発につながるものです。初めて参加した地球サミットに、そんな緑の党のメンバーとしても参加できたことをとてもうれしく思いました。写真は、豪州の上院議員ラリッサ・ウォーターズさんとニュージーランドのマックスウェル・ケネディ上院議員と)。※第3 回緑の党世界大会(ダカール2012)の「リオ+20 サミット(グリーン経済)に関する決議」http://midorinotable.sakura.ne.jp/pdf/%5bGG%5dRio+20.PDF
Rio20_2_095 【「脱原発」を主張した日本からの参加者たち】このサミットは、2011年に起こった東日本大震災と福島原発事故の翌年に開催されました。環境NGOなど市民社会セクターから参加者の多くは、この「持続可能な開発」をテーマに世界中の首脳が集まって議論する場で原発のことが大きな課題になることを期待していました。ところが、とても残念なことに結果的には原発のことはこのサミットの交渉課題には乗りませんでした。でもNGO関係者はサイドイベントなどで原発に関する多くの議論を行いました。日本からは、「福島県有機農業ネットワーク」の菅野正寿さんと高橋久夫さんがサミットに参加。福島原発事故の農業に対する影響や、それを受けた福島の農業の現状をジャパンパビリオンなどで本会合の参加者に報告していました。
http://www.farm-n.jp/yuuki/pdf/rio1.pdf
P11【ビア・カンペシーナとも交流】菅野さんたちは、ピープルズサミットでも、地元の国際的な小規模農家グループ(ビア・カンペシーナ)とも交流しました。また「国連生物多様性の10年市民ネットワーク(UNDB市民ネット)」は、原発事故後に苦悩を抱えながらも有機農業を通じて地域の再


地域がささえる食と農 神戸大会(産消提携国際シンポ)

2010-03-09 01:18:22 | 国際会議

2010_ugenci_0052010年2月20日(土)~21日(日)の2日間にわたって、地域における有機農業の生産者と消費者、流通の連携の可能性について考える国際会議「地域がささえる食と農 神戸大会」(産消提携国際シンポジウム)が開催されました。http://kobe2010.net/jp/index.html

18792494会場となったのは神戸学院大学ポートアイランドキャンパス。主催は「地域がささえる食と農 神戸大会 実行委員会」です。実行委員会形式による、1年以上の準備期間を経て開催された神戸大会の事務局は、兵庫県有機農業研究会が中心となって担いました。実行委員会の構成団体は以下の18団体です(以下は大会全体のプログラム)。http://kobe2010.net/jp/program/index.html

Ugenci【実行委員団体】URGENCI国際ネットワーク、(特活)兵庫県有機農業研究会、(特活)IFOAM(アイフォーム)・ジャパン、農を変えたい!全国集会関西地域ネットワーク、(特活)全国有機農業推進協議会、(特活)日本有機農業研究会、(特活)秀明自然農法ネットワーク、(特活)秀明インターナショナル、港区立エコプラザ、大地を守る会、(株)アファス認証センター 、(株)CDCインターナショナル、(特活)生物多様性農業支援センター、(株)ビオ・マーケット、(財)自然農法国際研究開発センター、らでぃっしゅぼーや(株)、生活協同組合連合会 コープ自然派事業連合、自給をすすめる百姓たち

2010_ugenci_001写真は、開会のあいさつをされる全国有機農業推進協議会の理事長で埼玉の霜里農場代表の金子美登(よしのり)さんです。メイン会場となった神戸学院大学ポートアイランドキャンパスの600人が入れる大教室は、満員のため座りきれずに立ち見の参加者も出るほどの盛況ぶりでした。主催者によると、来場者は海外15カ国から50名の参加者と関係者を含む約800名でした(以下は産消提携国際シンポジウムにて発表された神戸大会宣言です)。http://kobe2010.net/jp/sengen/index.html

※1月5日(火)に放映されたNHK「プロフェッショナル-仕事の流儀-」では、金子美登さんの40年間にわたる農場での取り組みが紹介されました。
http://blog.goo.ne.jp/masayakoriyama/d/20100107

2010_ugenci_014 【シンポジウムの開催趣旨】
1970年代、消費者と生産者の「顔の見える関係」を基軸とする「提携運動」が日本で生まれました。「つくり手と消費者が互いにその役割を理解しあい、リスクを共有し、相互の連携を図ろう」という“提携の理念”は、多様性に富み持続可能で健康な社会をめざす世界の人々に支持され「CSA(地域が支える農業)」や「AMAP(家族農業を守る会)」、「ファーマーズマーケット」など様々な形で実践が広がっています。世界の食と農は今までコスト削減が重要視され、化学肥料・農薬・食品添加物の使用が慣行化してきました。また、つくり手である生産地と消費地の距離が大きくなることで、消費者の食べものとその背後に存在する自然環境や生物多様性などに対する興味や理解・参加意識が急速に失われてきました。

2010_ugenci_087 この様な流れのなかで、農業・農村も様変わりし、中小規模の家族経営農家が衰退し、里山や生物多様性が失われつつあります。すべての人にとって食べものはいのちの源です。安全で安心かつ持続可能な農業には、消費者の理解と支援が必要不可欠です。今こそ、自分自身や大切な人の口に入る食べものをもう一度見直し、「なぜ地域(=自分自身)が食と農とをささえなければならないのか」「自分は、どのように食と農をささえていくことができるのか」を考え直す時であると考え、本大会を開催することにいたしました(写真は会場となった神戸学院大学ポートアイランドキャンパスの校舎)。

2010_ugenci_052【地域がささえる食と農 神戸大会の概要】初日の20日(土)は全国交流集会「第5回農こそ!コミュニティー」が開催されました。メインテーマは地域に根ざした「産消提携」など日本と世界のローカルフードシステムに関する取り組みの歴史と今後の方向性についてです。主催は、NPO法人 全国有機農業推進協議会と「農を変えたい! 全国運動」関西地域ネットワーク。二日目のBandeau_visite_palmela※URGENCI(ウージャンシー)とは:Urban - Rural Network: Generating new forms of Exchange between Citizens の略。2004年に結成された、地域連帯を基盤にした生産者と消費者のパートナーシップの国際ネットワークです。本部はフランスにあります。「家族(小規模)農業を維持・発展させる」「世界の地域(コミュニティー)の食料主権を確保する」「適切な食を通じて飢餓や栄養失調を克服し、人々の健康を促進する」「生産者と消費者、農村と都会の市民間社会的連帯ネットワークを発展させる」「環境および市民責任に関する教育を行う」「農村住民と都市住民の連帯を通じ、社会的弱者や貧困を解消する」ことを目的に掲げ、国際レベルでの情報交換や研修、生物多様性や責任ある消費活動への取り組み等を実践しています(以下は英語)。
http://www.urgenci.net/index.php?lang=en

2010_ugenci_105【地域がささえる生産者と消費者の連携】このシンポジウムでは、1970年代から各地域の生産者と消費者を有機農業で結ぶ「提携運動」を続けてきた日本を代表する有機農家や消費者団体、1980年代から広がった有機野菜などの「宅配事業」「ファーマーズマーケット」や「CSA(地域が支える農業)」などの取り組みについて、世界各国で実践を続ける第一人者が、神戸に一堂に会して語り合いました。写真は二日目のまとめセッション「つながる地域の食と農、そして共に生きる世界へ-Think globally, eat locally-」の様子。司会は、IFOAMジャパン理事長でURGNECI前代表の村山勝茂氏。パネラーは、㈱農林中金総合研究所の蔦谷栄一氏。槌田劭氏(使い捨て時代を考える会)。魚住道郎氏(日本有機農業研究会)。クリスティン・グレヂング氏(英国土壌協会)。サミュエル・ペイロット氏(前URGENCI代表)です。なお、二日間のプログラムは以下のリンクで確認できます。http://kobe2010.net/jp/program/program.html

Dottenfelder4日本の有機農業は、地域の「生産者と消費者」が直接「提携」して、時には農作業を手伝うなど「お互いの顔と顔が見える」信頼関係のなかで「提携運動」として始まり、1980年代からは有機農産物の「宅配事業」なども広がりました。このような取り組みはいま欧米でも急速に広がっているといいます。アメリカでは「CSA(地域がささえる農業)」「ファーマーズマーケット」。フランスでは「AMAP(家族農業を守る会)」、箱詰めの有機野菜を届ける仕組み(宅配)は「ボックス・スキーム」(英)と呼ばれています。(以下のリンクは、シンポジウムの基調講演者であるエリザベス・ヘンダーソン氏が2002年に日本に提携農家を訪問した時の記事です)http://newfarm.rodaleinstitute.org/japan/features/200404/200404084JOAA/SJ_JOAA.shtml

2010_ugenci_095このように、様々な形態で世界各地で取り組まれてきた有機農業には、自然や環境など“いのち”を優先する考え方があり、行き過ぎた市場経済の下で疲弊した地域を再建するための重要な実践が含まれています。これらの経験を元に、有機農業を核として地域の環境破壊を食い止め、生物多様性を守り、自給経済を回復し、持続可能な仕事を創り出し、協同に基づいて地域をつくることを考えて行動している世界の有機農業に取り組む仲間たちと議論を深めたいと考えました。http://kobe2010.net/jp/int/index.html

2010_ugenci_015

Koube_1 20日(土)の全国交流集会「第5回農こそ!コミュニティー」では、神戸大学名誉教授の保田茂氏による「有機農業の歩みと到達点」についての講演で始まりました。日本有機農業研究会を創設された「提携運動の父」である一楽照雄先生に師事されて、1970年代の農薬や化学肥料を扱うのは当たり前の世の中で、奇人変人扱いされながらも農協の講演で「農薬が危ない」話をされるなど想像を絶するご苦労があったと思います。でも、さすがに関西の先生は冗談もうまくて、苦難に満ちた日本の有機農業の歴史を聞きながらも、教室を埋めた聴衆からは何度も笑いが起きていました(以下とくしま有機農業サポートセンターによる講演メモ)。http://doragon-project.cocolog-nifty.com/yasai/2010/03/post-5889.html

2010_ugenci_009それに続いて今回の総会で新たにURGENCI理事長に選ばれたアンドレア・カローリ氏による「イタリアの事例紹介:市民と自治体の協働で広めささえる食と農」の基調講演です。アンドレアは、イタリアのミラノで「(社会に)責任を持つ消費者(Responsible Consumer)」による有機農産物や環境に優しい製品の共同購入団体「GAS」の活動を推進しています。「GAS」は有機農業の生産者、加工業者をネットワーク化し、消費者会員がボランティアで支える仕組みです。“責任ある消費者”による地域や環境への影響を配慮した持続可能な消費行動への変化が、社会の矛盾や環境問題を解決し得ると考えて「GAS」運動をイタリアに広げています。
http://kobe2010.net/jp/data/20_3.pdf (講演内容:英文資料)

Dh000112個人的には国際スローフード協会が、2年毎にトリノで開催している国際展示会「サローネ・デル・グスト」には何度か参加したことがありましたが、ファッションの街、ミラノでもこのような取り組みが進んでいるとは知りませんでした。ところでアンドレアとは、この日の夜に懇親会の二次会で一緒に飲みました。他のフランスから来たURGENCIの仲間と彼らが初めて入った三ノ宮の「おでん屋」で、お箸でおでんを突きながら、大地を守る会やらでぃっしゅぼーやのことなどを話したら、すごく興味を持ってくれて話がとても盛り上がりました。

2010_ugenci_011この後に「オーガニックで高める農の価値と社会貢献度-2020年に向けた有機農業ロードマップ-」というタイトルで中京短期大学准教授の小林富雄氏から報告がありました。

Kaneko_openday01_3「シンボリック事例発表」として、全国有機農業推進協議会理事長の金子美登氏から、 「“参加する”食と農:地域のささえ方提案」についての講演がありました。金子氏自らが40年をかけて創りあげてきた埼玉県小川町にある霜里農場を核とした「地域自給圏」モデルを、農商工連携、環境とエネルギーをキーワードに紹介しながら、これからの食と農を考える消費者への具体的な提案がなされました。それに続いて 三重大学教授の波夛野豪氏からは、自らの産消提携に関わる経験、そして調査研究の結果を踏まえて今後に向けた「地域がささえる食と農」と有機農業の展望を語りました。「有機の里、埼玉県小川町の霜里農場(大和田順子氏)」http://www.owadajunko.com/archives/2009/10/post_112.html

2010_ugenci_019午後には、国内外の多彩なゲストとともに、地域で実践する食と農について様々な視点で7つの分科会が開催されました。テーマは、①「地域連携(農商工の食べ物ネットワーク)」、②「食農教育(有機農業と子供たち)」、③「地域の担い手たちの挑戦(食と農の可能性)」、④「生物多様性を育む有機農業」、⑤「オーガニックマーケットにおける提携・PGS・認証」、⑥「種をめぐる自立(種子を農民の手に)」、⑦「パートナーシップ(生産者と消費者の連帯:提携・CSA・AMAP)」の7つです。この多様なテーマについて、海外のゲストも交えて議論を深めました。ゲストからは、インドやブラジルなどの開発途上国で広がっている小規模農家による「参加型の有機認証制度(PGS)」や、日本でも広がってきている「田んぼの生き物調査」の韓国における活動報告などもありました(以下は分科会の詳細)。http://kobe2010.net/jp/program/program.html#bunkakai

【⑤オーガニック市場における有機認証・提携・PGS(参加型認証制度)】
2010_ugenci_035僕も「オーガニック市場における認証・提携・PGS」の分科会でパネリストとして参加させてもらいました。個人的にはとても重要なテーマの分科会だったと思っています。進行役は日本有機農業研究会の久保田裕子さん(国学院大学)。参加者は、千葉で長年にわたって提携に取り組む生産者の山田勝巳氏がその経験を報告されました。また若島礼子氏(安全な食べ物をつくって食べる会 元代表)がそれをささえる消費者として、これまでの提携運動の実践について報告されました。http://kobe2010.net/jp/program/program.html#bunkakai5

2010_ugenci_024有機JAS認定協会に所属し、有機認証団体「アファス認証センター(AFAS)」を運営されている渡邊義明氏は、ご自身の提携から有機認証へと取り組みを進めた経緯について報告されました。アメリカで「提携(CSA)」に取り組むエリザベス・ヘンダーソン氏は、アメリカでの実例を紹介しながら「有機農業における社会的公正」というテーマで報告しました。世界的な経済不況の影響を受けているアメリカでは、CSAの取り組みのなかで、有機農産物への支払いが厳しい世帯が収入に応じて払う金額を調整する仕組みが検討されているそうです。

Pgsそして貧しい小規模農家でも参加できる「参加型認証制度(PGS)」については、インドで急速に広がっている実践例を統合農村開発研究所の事務局長、ジョイ・ダニエル氏が発表しました。簡潔でシンプルなオーガニック基準に基づいて、それを守ることを誓約するPGSでは、生産者は第三者認証にかかる費用と手間が要らないため、貧しい農家も参加できて収入が増えること。また地元の消費者が買える値段で有機農産物が販売できるとなどの成果が報告されました。Urgenci_seminer_2 これに対して、これまで世界の有機食品市場の発展に大きな影響を与えてきた「有機認証制度」とEUのオーガニック市場の発展について、その基礎となる民間のオーガニック基準を1980年に作ったIFOAM(国際有機農業運動連盟)の活動について、私、郡山昌也が発表しました。http://blog.goo.ne.jp/masayakoriyama/d/20080907

2008_062_2 【オーガニック市場と提携・PGS・有機認証】
地域に根ざした生産者と消費者が「提携」し、お互いの「顔と顔が見える信頼関係」で結ばれた「提携システム」や「有機農産物の宅配事業」、「CSA(地域がささえる農業)」などの“クローズドマーケット”には、第三者による有機認証制度は特に必要ありません。その分、生産者は有機認証にかかる手間やコストを省くことができます。このことは結果的に有機農産物の価格を市況よりも安くできることができるので消費者の利益にもつながります。

Photoその一方で、有機認証制度は有機食品に対する消費者の信頼を得るために独自の有機基準を作った民間認証団体によって1980年代に欧州を中心に広がりました。その後、オーガニック市場の発展に伴い自然食品店や朝市、スーパーなど“オープンマーケット”での販売の際に発生した「有機食品の偽装問題」から消費者(と生産者)を守るために、第三者による「有機認証制度」が広がり、その後EU各国で法律で定められた制度になっていきました。1993年にはEUによるヨーロッパの有機認証制度が始まり、1999年には政府間機関の「コーデックス(国際食品規格)委員会」による「オーガニックガイドライン」が策定されました。日本では有機JAS法による有機認証制度が2001年から実施され、アメリカでもNOP(ナショナル・オーガニック・プログラム)が2002年に始まりました。その後、世界のオーガニック市場は大きく成長していきました(以下の地図は広がる世界各国のPGSの取り組み)。

Mapworldwide_jka20090922_2この実績からも、有機認証はオーガニック市場の発展には不可欠な制度だと言えると思います。しかし、それと同時に検査認証にかかる手間や有機認証料はインドを含むアジアやアフリカ・南米などの小規模生産者には負担が大きすぎて、その仕組みに参加できないという問題が起きていました。その対応として、最近注目されているのが「参加型認証制度(PGS)」です。分科会では、インドでの現場の実践が報告されましたが、IFOAMも世界各地で広がるPGSの発展に対して、各国の政府や国際機関に働きかけるなど積極的に支援しています。http://www.ifoam.org/about_ifoam/standards/pgs_projects/pgs_projects/index.php

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2010_ugenci_1122日目の「産消提携国際シンポジウム」では、フランス・イタリア・イギリスなどヨーロッパ各国やアメリカでもここ最近、急速に広がっているという「提携」と共通の理念を持つ「CSA(地域が支える農業)」の展開について海外ゲストによる多彩な事例などが紹介されま した。フランスに本部のあるURGENCIからは前代表のサミュエルが、イギリスを代表する有機認証団体でもあるソイルアソシエーション(英国土壌協会)からはクリスティンが、ヨーロッパで広がるCSAや家族農業の現状について報告してくれました。イギリスではソイルアソシエーションが「地域を耕す」プロジェクトとして、アメリカの取り組みに近い形のCSAを立ち上げて支援もしているそうです。フランスでは、AMAP(農民農業を守る会)が1000軒以上も設立されて、カナダのケベックでは約3万世帯の会員を擁する団体もでてきているそうです。また、このような取り組みは先進国だけでなく、南米(ブラジル)、アジア(インド)、南アフリカなどにも広がってきているといいます。http://kobe2010.net/jp/program/program.html#guest

2010_ugenci_0572日目のプログラムは、アメリカを代表する「提携」実践有機農家、「CSA(地域がささえる農業)市民ガイド」の著者であるエリザベス・ヘンダーソン氏を招いた基調講演「世界のCommunity Supported Agriculture(CSA)」から始まりました。彼女は、1988年にアメリカのニューヨーク州ローチェスター郊外に「ジェネシー・バリー・オーガニックCSA」を立ち上げました。30年近くCSAを通じた有機農業の普及活動に取り組み、『CSA地域支援型農業の可能性-アメリカの地産地消の成果』(家の光協会)の著者でもあります。日本の提携運動をモデルにしたといわれるアメリカの「CSA」は、1985年に東海岸から始まって、今や生産者と消費者が連帯したCSA農場が全米に1700存在しており、10万人の消費者が関わっているといわれています。その多彩な実践の事例を豊富な写真と共に紹介してくれました。http://kobe2010.net/jp/data/21_2.pdf (日本語の要旨)
http://www.chelseagreen.com/content/elizabeth-henderson-the-world-of-c


ボンとドバイとマレーシア

2008-10-27 02:45:17 | 国際会議

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明日から連続で3つのオーガニックの会議や展示会に参加してきます。ひとつはアジア・環太平洋地域のオーガニックの未来を作っていくための「オーガニック・アジア」会議。会場はマレーシアのサラワクです。インドや中国、台湾や韓国、フィリピン、タイ、ラオス、ベトナム、マレーシア、インドネシア、オーストラリア、アメリカ、スイス、イタリアなどの国からも参加します。経済的にも発展を続けるアジア地域は、ヨーロッパ、アメリカに続いてオーガニック産業の発展が期待されている地域です。いま、オーガニックの波はアジアに来ています。この会議は、サラワク州政府、UNCTAD、FAO(ITF)、それにIFOAMの後援です。この時期はまだ海で泳げる?とのことなどで、余裕があればボルネオ島の自然も楽しんできたいと思います。 http://www.ifoam.org/events/ifoam_conferences/Sarawak.html

Ifoam_history_35_2 一週間後には帰国しますが、そのすぐ後にドイツのIFOAM本部(ボン)で開催されるIFOAM世界理事会議に初めて参加してきます。世界中のオーガニックセクターの代表者たちから選ばれた世界理事(World Board)たちによる、世界のオーガニックムーブメントの方向性を作っていく重要な会議です。実は、昨年の今頃もIFOAM本部でメディアフェローとして広報関連の仕事をしていたので、またあの仲間たちの待つ場所に帰れてうれしいです。2度目のボンでの誕生日は、オーガニックなケーキでお祝いしてもらえるのでしょうか? それともオーガニックワインとビール?

40_jahre_dotti_klein 会議の後には少し日程があくので、10年前に研修させてもらったフランクフルトのオーガニック農場に遊びに行ってきます!当時いた人たちもまだいるみたいで、10年ぶりの里帰りがとても楽しみです。「デメター(豊穣の女神)」の認証マークで知られるバイオダイナミック農業のセンターでもあるドッテンフェルダー農場。今年で40周年を迎える歴史あるオーガニック農場です。僕のオーガニックの旅は、1997年の秋にここから始まりました。
http://html.dottenfelderhof.de/

Menoplogo_2 そして、最後は世界の富が集まるというアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催されるオーガニックEXPO。ヨーロッパでは観光地としても知られる、最先端の建築物がすごいというドバイに初挑戦です。オーガニックに国境はない?オイルマネーによる好景気に沸く彼の国で、世界各地でエコビジネスとしても成長を続けているオーガニックビジネスの息吹を感じてきます。
http://www.globallinksdubai.com/

【地球温暖化と有機農業】
Logo_iaastd現在、ヨーロッパではオーガニックが環境問題のなかでも気候変動に貢献できることがかなり広く議論されています。しかも世界銀行、UNEPなどの国連機関がスポンサーで、「農業界のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)」と言われる「IAASTD(開発のための農業科学技術の国際的評価機関)」は、この4月の会議で環境汚染の原因となる農薬や化学肥料、遺伝子組み換え作物(GMO)に依存する慣行農法よりも、有機農業のほうが環境負荷の削減や、アフリカなど小規模の自給農家にとって経営効率的にも有効であるという画期的な評価を下しました。http://www.ifoam.org/press/press/2008/IAASTD_plenary_meeting_20080409.php

2008_organic_asia_sarawak_014このことは、モンサントやカーギル社などの多国籍農薬・GMO企業に、有機農業団体や環境NGOが勝利した歴史的な決定と言われています。2006年にはFAOも有機農業の有効性を認めています。ちなにみオーガニック・アジアには、UNCTAD(国連貿易開発会議)の気候変動担当者とIPCCの前会長でもあるIAASTD事務局長Robert Watson教授も参加します。 http://www.organic-asia.blogspot.com/

せっかく海外に行くので、日本ではまだあまり知られていない事実や情報にたくさん触れてきたいと思います。見てきたものは、またご報告します。それでは行って来ます!