グリーン&オーガニック・ブログ

世界の緑の政治やオーガニックに関する情報を伝えます。

「エコとオーガニックが大集合!」グリーンEXPO2009

2009-08-27 01:03:05 | 展示会

2009_green_expo_021少し前の話になりますが、7月4日(土)と5(日)の2日間、パシフィコ横浜で第1回“エコとオーガニックが大集合!”「グリーンEXPO2009」が開催されました。主催はグリーンEXPO実行委員会。主催協力は、NPO法人オーガニック協会、ロハスビジネスアライアンス(LBA)、日本オーガニックコットン協会、カーボンオフセット協会、それにサステナです。http://greenexpo.jp/

2009_green_expo_055展示会の目的は「オーガニック製品の普及と啓蒙」「グリーン&エコ商品の普及と啓蒙」「グリーンな低炭素社会での豊かで健康なライフスタイル提案」。グリーンEXPOは、このコンセプトに基づいて企画された環境配慮型の製品やサービスを提供する企業やオーガニックな取り組みを行う生産者が一同に会する、グリーンでロハスな消費者とのコミュニケーションの場です。2日間の来場者数は、オーガニックやエコに対する関心の高まりを反映して、同時開催のフリーマーケットへの来場者約1万人を含めて3万6千人を超えました。

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Organic_festa2009logo このイベントは、NPO法人オーガニック協会が2004年から東京の晴海トリトンスクエアで毎年開催してきた“ヨーロッパの街角や広場で毎週行われるマルシェ”をイメージした「オーガニックフェスタ」をベースに企画されました。http://www.organicfesta.com/001/
オーガニック協会は、2001年からヨーロッパを中心とした世界のオーガニックに関する最新の情報を常時メルマガで発信しています。IFOAM関連のプレスリリースやオーガニックマーケットインフォからのニュースなど、欧米のオーガニックを知るには外せない情報源からのマーケット情報や政策動向、国際会議、イベント情報などをタイムリーに日本語で提供してくれる貴重なメルマガです。個人的にはこのメルマガに大変お世話になっています。http://www.euofa.jp/

2009_green_expo_024 通常はオーガニック食品が8割を超えるオーガニックフェスタに、今回は日本各地の国産食材、オーガニックコットンやコスメなどのファッション、環境に優しいリビング、そしてカーボンオフセットなどの出展が加わり、「衣・食・住」の各分野で“グリーン(エコ)でオーガニックなライフスタイル全般”を提案する場となりました。そのせいか、来場者は大学生からOLさんや若い女性たち、小さい子供を連れた家族連れなど、比較的若い人が多かったように感じました。もちろん食の安全に興味のあるご年配の参加者も来場されていました。

【衣・食・住にわたるエコでオーガニックな提案】
2009_green_expo_056広い会場は、テーマごとにいくつかのゾーンにデザインされていました。会場の右手の入り口付近にはGREENZや『ソトコト』などのエコな①「グリーンメディアゾーン」があり、早速会いたいと思っていた“環境とCSRのビジネス情報誌”『オルタナ』編集長の森摂さんに会って話すことができました。オーガニック食品や無・低農薬の食材、伝統的な製法で作られた調味料など、安心・安全にこだわる全国の生産者(食の学校)が大集合した②「食とおいしい暮らしゾーン」は中央と一番奥にありました。

2009_green_expo_011 ここではオーガニック協会の代表理事でオーガニックワインの専門家でもある田村安さんや、創業200年の伝統的な製法を守る岩手のお醤油屋さん、八木澤商店の河野光枝さんなどにも会って話を聞くことができました。河野さんの、参加した消費者の反応がとてもいいという言葉が印象的でした2009_green_expo_043

2009_green_expo_020_2オーガニックコットンや竹布、エコ素材などで作られたおしゃれな衣類を紹介し、フェアトレード、生産現場の児童労働や農薬問題などを意識したエシカルな選択を紹介する③「グリーンファッションゾーン」。普通、オーガニックコットンというと生成りのベージュの色を連想しますが、驚いたのは繊細できれいでカラフルな商品が展示されていたこと。この業界も確実に進化しています!

2009_green_expo_027オーガニック&ナチュラルコスメや、心も体もリラックスできるアロマテラピーなどの④「グリーンビューティーゾーン」は女性でいっぱいでした。この分野はヨーロッパやアメリカでも急成長しています。自然素材を使ったエコリフォームや家づくりを提案する⑤「グリーンリビングゾーン」や家庭で排出したCO2を相殺するカーボンオフセットや低炭素社会への取り組みや情報を紹介する⑥「ローカーボンゾーン」は、あまりオーガニック関連のイベントでもお目にかかれない貴重な出展だと思いました。

Green_business30代でなかなか正社員として就職できない世代(ロストジェネレーション)が社会的な問題になっていますが、そんな彼らに遣り甲斐のあるエコな働き方を提案する⑦「グリーンビジネスゾーン」。オーガニックというと食品というイメージがあるので、なかなか若い男性は足が向かないのですが、こういう企画があるとグリーンメディアと併せてオーガニックやエコを仕事にしようという男子も興味を持つだろうと思いました。

総合的には、有機野菜やオーガニック食品だけでなく、コットンやコスメにワイン、それにフェアトレード商品やエコなハウジングやカーボンオフセットまで、生活全般に関して時代を先取るセンスのいい商品やサービス、セミナーや楽しい企画などが大集合した、オーガニックの新しい時代を感じられるいい展示会だなーと思いました。

【IFOAMのオーガニック原則とグリーンEXPO】2009_ifoam_emerson_067

Ifoamimages 1972 年から世界中でオーガニックの推進を支援してきた「アイフォーム(IFOAM:国際有機農業運動連盟)」は、世界108カ国750団体の有機農業関係者(メンバー)で構成されている国際オーガニックNGOです。http://organic.no-blog.jp/weblog/2008/09/index.html

IFOAMは、市民社会による環境運動として始まった有機農業が(大手資本による)ビジネスの原理だけに引きずられすぎないよう2005年に「オーガニックの4原則」というものを作りました。オーガニックとはただ単に農薬と化学肥料を使わない農業というだけでなく「健康(自然と人間)・エコロジー(生態系)・(社会的)公正・配慮(予防原則)」に配慮すべきだという考えです。
http://www.ifoam.org/about_ifoam/pdfs/POA_folder_japanese.pdf

これは、「オーガニックとは(上記のようなものを好んで選ぶ)エコロジカルで持続可能なライフスタイルだ」というグリーンEXPOの考え方とも基本的には共通しているのではないかと感じました。グリーンEXPOでは、今後このイベントの全国展開も検討しているとのこと。展示会を通じて、こういう価値観が広がっていくという意味でもかなり楽しみな話だと感じています。

【オーガニック食品と国産食材】2009_green_expo_003
2009_green_expo_027自分が関わっているオーガニック食品や有機農業・環境保全型農業の関連で言えば、「オーガニック」は基本的に法律で規制されている表現なので、オーガニック認証のある商品とそうでない商品(環境保全型農業による国産の低農薬や特別栽培に当たるもの)を、分かりやすく区別できるようにしてもよかったかのかなーと思いました。

2009_green_expo_044_2どちらも大事で貴重な取り組み(商品)なので、両方の違いがいい意味で消費者に理解されて、双方とも支持されるような状況を作れれば一番いいのではな いかと思いました。個人的には地元の鹿児島「えこふぁーむ」の放牧している豚の生ハムなども出ていたので「おーっ」と思いました。確か、ミスチルや坂本龍一さんたちの「APバンク」も支援していますよね。らでぃっしゅぼーやでは、1990年から放牧豚を手掛けてきただけに、こういう広がりはうれしいものです。
http://www.radishbo-ya.co.jp/20th.html

【グリーンライフスタイル提言】
2009_green_expo_069最後に、面白いなーと思ったのが「ダイアログカフェ」。これは実行委員の皆さんがファシリテーターになり、イベントに関わった関係者が対等で率直な意見を交わし、アイデアをまとめる草の根の合意形成の場。“日本のグリーン消費と環境ビジネスをリードする出展者が一堂に会するグリーンEXPO”で「買い手と作り手が対等に出会う機会に、自発性と多様性を重んじる市民による政策提言『グリーンライフスタイル提言』を発表しよう」という野心的な取り組みです。

2009_green_expo_071司会はサステナのマエキタミヤコさん。パネリストは、グリーンEXPO実行委員で会場の各ゾーンのプロデューサーの皆さん(井手敏和さん、渡邊智恵子さん、大和田順子さん、田村安さん、生駒芳子さん、南清貴さん、小松和子さん)というなんとも豪華な顔ぶれです。さすがに論客揃いで、短い時間で結論を出すの大変そうでしたが、こういう現場でビジネスを通じた環境(社会)貢献に取り組んでいる民間(市民)サイドから、具体的な政策提案をしていくことはとても大事なことだと思いました。※有機農業の業界では市民サイドと議員連盟がタッグを組んで「有機農業推進法(2006年12月)」を成立させることができました。
http://blog.goo.ne.jp/masayakoriyama/d/20090716

【グリーンとロハスとオーガニック】
2009_green_expo_073パネルの後に、グリーンリビングゾーンのプロデューサーであり、ロハスビジネスの専門家でもある大和田順子さんとお話させていただきました。最近、農水省関連の有機農業の普及啓発活動にも関わっていただいている大和田さんからは「有機農業や有機野菜は、ロハスの基本中の基本だと思っている。」「アメリカのロハスの聖地、ボルダーでも、LOHASはオーガニック関係者が始めた活動だ。」といううれしい話を聞くことができました。※LOHAS (Lifestyles Of Health And Sustainability) - 健康や環境問題(持続可能性)に関心の高い人々のライフスタイル-
http://www.owadajunko.com/
2009_green_expo_061正直、ロハスという言葉には数年前に商標の問題などがあって少し抵抗感があったのですが、元々は今回のグリーンEXPOに来てくれたような「エコやオーガニックに対して意識の高い消費者のライフスタイル」を表す言葉だということを思い出して、今後は素直に前向きに考えていきたいと思いました。

Green_expo1最後に「グリーンEXPO」を開催したことによって、約110トンのCO2が排出されたとのこと。この分の二酸化炭素(温暖化効果ガス)は、 カーボンオフセットプロバイダー11社によりオフセットされたそうです。このことよって「グリーンEXPO」はカーボンニュートラルなイベントとなりました。これからは、(当然ですが)イベント自体の地球温暖化を含めた環境インパクトまで考えなければいけない時代なんだなーと再認識させてもらいました。http://gconscious.jp/