
ナポリもモデナも20年ほど前に訪れたのでそれだけでもこの映画は懐かしいのだ。
戦後の貧窮したナポリで母一人男の子一人の親子がモデナに共産党を介して子供を預ける。この母親は愛情は溢れるほどあるのだがうまく表現ができない。
モデナでは里親になってくれた女性を少年は慕う。少年は当初の予定通り小麦が実る頃にナポリに帰ってくるが母親とうまくやっていけない。少年はバイオリンを質屋に預けられたことで列車に飛び乗りモデナに行く。
母は辛い感情を押し殺して子供がモデナに帰っていくままに任せ迎えに行かない。「望むなら引き取って」と代筆で手紙を送る手紙は切ない。
モデナで一流のバイオリストになったその後の少年は母親の死で故郷のナポリに帰るが手製のバイオリンは母親が金を作って質屋から受け取っていてベッドの下に置いてあるのを発見し、その中にあった質屋の50リラのレシートを見て号泣する。
まあ、鉄板の親子もの、故郷回帰談であるが、わかっていてもしかし涙腺は確実に緩む。
わたしも戦後の貧窮の中を母親や姉と暮らした。似たような体験をしたわけではないが似たような感情が理解できる。それで涙腺が緩むのだろう。