愛の詩集

あなたに元気を与える愛の言葉、愛の心、生きる希望、今何かで困っている方へ心に響くメッセージ

不思議なカガミ  「小さな絵本」

2007-03-01 20:24:02 | 小さな絵本 (物語)



あるところに、3年間、家に引きこもりきりの少年がいました。
母親は、いつもなげき悲しんでいました。

ある時、そこの家の前を通りかかったお婆さんが
「すまんが、わたしゃ、朝から何も食べていない。
 はらがへって死にそうじゃ。何か食べさせてほしい」

この家の母親は、このあわれなお婆さんが、かわいそうになり
温かいうどんを作って食べさせてあげました。

このお婆さんは、帰る時
「すっかりごちそうになった。お礼にこのカガミをあげよう」
と言うなり、出て行ってしまいました。

さてさて、このカガミは、とても不思議なカガミでした。
母親が、のぞいてみても何も変わらない普通のカガミなのに、
少年がそのカガミをのぞきこむと、カガミの中の少年は笑っているのです。

少年は、部屋の中で、そのカガミの自分に言いました。
「ぼくは、この3年間、1歩も外へ出ていない。外へ出てみたいけど
 出ることが出来ない、出る勇気がない」

カガミの中の少年が小さな声で
「ぼくのあとをついてきて」とニッコリ笑って言うのです。

「それが出来ないから悩んでいる。ぼくはみんなと同じように
 外へ出て、働いたり勉強したりしたいんだ。ぼくを助けてくれ」
少年は、カガミに向かって叫んでいた。

「ぼくのあとをついてきて」
と又、カガミの少年は、ニッコリ笑うのです。

少年は、思いっきり、本当に思いっきり、
カガミを持って外へ出てみました。
何も変わっていません。
3年前の外の風景とまったく同じで、何ひとつ変わっていません。

少年の中の心だけが、そのことにとらわれていたのです。
少年は少し勇気が出てきました。
一歩、ほんの一歩、前に歩いてみたら、
何だか、昔の自分に戻ってきたような気がしました。

3年間、家の中で引きこもっていたけれど
少しづつ自信がつき始めてきました。

3日後、いつものように机の上のカガミをみたら
普通のカガミに戻っていました。
少年は、公園で子犬とじゃれあっていました。 
   ・・・ by masako

※日本中で引きこもっているといわれている人は200万とも300万人とも
 いわれています。ほんのちょっとのきっかけで、外へ出ていけなくなったり
 又ちょっとしたきっかけで外出できるようになったりします。
 大切なことは、周りの人たちの支えや本人の気持ちを分かってあげることだと
 思います。
 そのようにして優しく見守っていくと、やがて、本人の中にかすかな自信が
 付きはじめ、回復へと向かっていきます。


※えっ、「この母親は、その後どうした?この婆さんはいったい何者?」だって?
  まぁ、ここではあまり深く考えないでくださいな 




マサコ