松坂に勝った。阪神・桧山進次郎外野手(35)が、ひと振りで仕留めた。二回、右中間へ特大の先制3号2ラン。怪物の剛速球を、完ぺきに振り抜いた。高校時代、春夏連覇を達成するなど甲子園では不敗を誇った松坂だが、プロでは大きな顔はさせん。ここはタイガースの聖地や!
一直線に伸びた打球に、夢が乗せられた。勝負を決めたこん身の一振り。雨の上がった甲子園に、満開の黄色い花が咲き乱れ、祝福の嵐が桧山の体を包み込む。見たか、これが猛虎の魂だ。松坂に見舞った強烈な先制パンチは、勝利を呼び込む2ランアーチとなった。
「(松坂は)パ・リーグだけでなく、球界を代表するピッチャー。何とか自分も良い思い出を作りたいし、ファンの方にも感動を与えたかったです。(ファンの声援は)非常にありがたいです」
劇弾が生まれたのは、二回だ。一死一塁から巡ってきた打席。「気持ちですけど」と、ほんの少しバットを短く握る。「いい真っすぐがあるので、負けないようにしようと思った」。勝負師のカンが吉と出た。初球、真ん中にきた149キロの直球。力強くはじき返した白球は、闇夜を切り裂き、バックスクリーン右の沸き立つ人波へと消えた。
猛虎の前に“不敗伝説”は存在しない。高校時代、甲子園で負けなかった松坂に、「土」を付けた一撃。「ファーストストライクから、どんどん振っていこうと思っていた」。それは、タテジマ一筋14年目となる、桧山の執念でもあった。
必ず、こういう日が来ると信じていた。出場機会が減った今季。外野の守備練習を終えた後、何度もショートの位置に立っていた。誰に指図を受けたわけではない。ひたすら、フリー打撃の打球を追っていた。
「打球は速いし、これが目慣らしになるからね。回転とかも全部違ってくるし。バッティング練習だけだと分からないし、鈍らないようにね」
バッターボックスに生きる男が、そこに生きがいを見つけるため―。
オフの自主トレ中には、携帯電話の動画で、自分のバッティングを撮影したこともあった。「小さいけど、肩の動きとか分かるから」。ひっそりと、それでも重い汗を流す。華やかな世界に身を置きながら、地道に踏みしめる一歩を忘れない。この信念が、マンモスを揺るがした。
「落ちるところまで落ちてるので、開き直ってるというか、これ以上はないでしょうし」と桧山。どん底から、いかにはい上がり、そこに何を生み出すのか。まずは今宵(こよい)の一発。ドラマは、幕を開けたばかりだ。
一直線に伸びた打球に、夢が乗せられた。勝負を決めたこん身の一振り。雨の上がった甲子園に、満開の黄色い花が咲き乱れ、祝福の嵐が桧山の体を包み込む。見たか、これが猛虎の魂だ。松坂に見舞った強烈な先制パンチは、勝利を呼び込む2ランアーチとなった。
「(松坂は)パ・リーグだけでなく、球界を代表するピッチャー。何とか自分も良い思い出を作りたいし、ファンの方にも感動を与えたかったです。(ファンの声援は)非常にありがたいです」
劇弾が生まれたのは、二回だ。一死一塁から巡ってきた打席。「気持ちですけど」と、ほんの少しバットを短く握る。「いい真っすぐがあるので、負けないようにしようと思った」。勝負師のカンが吉と出た。初球、真ん中にきた149キロの直球。力強くはじき返した白球は、闇夜を切り裂き、バックスクリーン右の沸き立つ人波へと消えた。
猛虎の前に“不敗伝説”は存在しない。高校時代、甲子園で負けなかった松坂に、「土」を付けた一撃。「ファーストストライクから、どんどん振っていこうと思っていた」。それは、タテジマ一筋14年目となる、桧山の執念でもあった。
必ず、こういう日が来ると信じていた。出場機会が減った今季。外野の守備練習を終えた後、何度もショートの位置に立っていた。誰に指図を受けたわけではない。ひたすら、フリー打撃の打球を追っていた。
「打球は速いし、これが目慣らしになるからね。回転とかも全部違ってくるし。バッティング練習だけだと分からないし、鈍らないようにね」
バッターボックスに生きる男が、そこに生きがいを見つけるため―。
オフの自主トレ中には、携帯電話の動画で、自分のバッティングを撮影したこともあった。「小さいけど、肩の動きとか分かるから」。ひっそりと、それでも重い汗を流す。華やかな世界に身を置きながら、地道に踏みしめる一歩を忘れない。この信念が、マンモスを揺るがした。
「落ちるところまで落ちてるので、開き直ってるというか、これ以上はないでしょうし」と桧山。どん底から、いかにはい上がり、そこに何を生み出すのか。まずは今宵(こよい)の一発。ドラマは、幕を開けたばかりだ。