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ネコ20匹を世話するため、本を書いたりバイク乗ったり。見えない世界ととその狭間を見ながら日常を生活する一人の男の物語。

アトランティスの記憶 ⑤

2013-01-16 10:02:53 | 『日常』

この物語に入る素敵なイラストは、私ではありませんで。
「ディープキャットナップ」を書かれている方が書いてくださっております。
向こうの世界体験を漫画にされている「ディープキャットナップ」は見ているとその空間の感じがよくわかりますので。
オススメですよ。ちなみに ヒーリングサロン・ネコオルだけで販売しております。
同人誌的なものになりまして、部数少ないもので。

以下、アトランティスの話お楽しみを。
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実は、これは本当はしてはいけない事なのだが。僕らは夜にこっそり外で会っていたりするのだ。

建物の扉から外に出て、ヤーフルのいるデッキへと登っていく。
ここからは街の光が良く見えるので、二人で話をするときなんかには良くつかっている。
このときは、絶対にバンダナを巻いていてはいけない。
バンダナから情報粒子に僕らの位置が漏れてしまうからだ。

デッキには涼しい風が吹いていた。
街はぼんやりと薄く輝き。ギャロットの走る道が美しく輝いている。
中央の塔から出てくる粒子が、ぼんやりと霞のように見えるのは夜の時間だけだから。
それが見たくて僕は夜にここに来るようになった。
いつの間にか、ヤーフルも来るようになってしまったけどね。

中央の塔、そして霞む空。
周りを取り囲む運河にも光が写りこみ。

幾重にも輝く光のベールが街を覆っているように見える。

「この風景も、粒子が作っているんだね。」
とヤーフルが言った。
ちょっと、いつもの元気が無いような気がする。さっきのシェアの時も、なんだか急に考え込むような様子になったし。

「粒子って、本当に必要なのかな?」
街を眺めていたヤーフルは、僕に振り向いて言った。
青い光を写しこんだヤーフルの髪は美しく。僕はちょっとドキッとした。

「それは、この技術のおかげで僕らは今生活しているのだし。必要なんじゃないかな?」

「でも、粒子を使わなければ、長生きできるかもしれないでしょう?」

「そうかもしれない。としか言えないよ今は。誰も答えを言ってくれないのだから。ヒトヲメンバーの様子を見たりすると、そうとしか思えないけど。」

「ねえ、君はなんで生きている?」

「突然なに。難しい事聞くね。」
「だって、私達はいずれは死ぬのだし。じゃあ、なんで生きているのかな。なんて思わない?」
「肉体は滅ぶけど、その先にまだあるじゃないか。僕らは意識の情報となって塔に戻って、そこで新しい情報を構成して、またこっちに意識と肉体を持って出てくる。まだ僕らは繰り返すサイクルのなかで、生を得て死んで、そのなかで経験を積み重ねていくことが必要で。塔の情報を複雑に構築していく事で僕らはいまここに肉体をもって存在している意味があるのだし。
それによって今の僕らの世界は、宇宙は、この惑星は調和が取れていく。僕らはそのために生きているんだと思っているけど?」

「そんなことはわかっている。その先はその先であって。今の私達ではないし。私は、君と一緒にいる今が好きなんだから。」

「僕も、今が好きだよ。でも、その先に移行する事も大切なんだし。ステージを変えて行くことも僕らの経験には必要なことだよ。」
「でも、今がずっと続くのなら。君と美しいものを見て、そして暮らせるのならば。その先に行くのを延ばしても良いような気がする。」
「それができればみなやっているだろう。」

「粒子を使うのを止めたら?」

その言葉に、僕はハッとなった。
ヤーフルは本気だ。
緑の瞳が光を帯びる。

「ヒトヲメンバーみたいに、粒子を使わないようにしたら、もっと長く君との時間を過ごせるんじゃないか?」

僕は今回の事で、それほど深く考えてはいなかった。
なのに、ヤーフルはここまで考えていたなんて。

「ごめん、あの時僕があんなことを言わなければ良かったかも。」

「なんで謝る?」

「そのせいで、ヤーフルはこんなに考えているなんて知らなかったから。」
「君のせいじゃない! ただ、私がちょっと考え過ぎただけだ。」

しまった、僕がまた気を使わせてしまった。

しばしの沈黙。

「ねえ、君と私が初めて会った時、覚えている?」
「情報粒子使わないとちゃんと思い出せないけど。」
「ほら、すぐに粒子に頼っている。私はハッキリ覚えているよ。」
「いつだっけ、一次の家の時だったかな?」
「ブー、外れ。」
「その前に会ってたっけ?」
「粒子にばかり頼るから覚えていないんだ。君と私が初めて会ったのは、君の親と僕の親が、病院に行っている時だよ。」
「そんなの覚えてないな。」
「その時に、青い結晶を見た記憶があるんだ。とても深くて青い、それなのに、固くない。
それを君と見ていたんだよ。覚えてない?」

正直、覚えていない。そんな事があったのかな?
僕が考えていて、ヤーフルを傷つけづになんて言おうかと思っていると、ヤーフルは笑って、
「いいよ、無理しなくても。私だって、青い結晶のついでに、君と会った記憶があるくらいなんだから。
あの青い結晶が何だったのか。ずーっと思っていた。そして、今日それを見ることができた。」

ヤーフルは僕をじっと見て。

「そして、一緒に君と長くいたいと思ったんだよ。」

僕は何も言えなかった。
粒子の恩恵にあずかりっぱなしで生きてきた僕には、ヤーフルのような「宇宙の書庫」にアクセスする力を失ってしまっているのかもしれない。
ヤーフルは技術に疎い女の子だと思っていたけど。実は僕なんかよりも、もっと世界とつながっているのかもしれない。

僕はどうしたらいいのだろう。

ヤーフルとここで会う事で、僕はさらに悩む事になった。

粒子が光輝く
そんな風景を背後に背負うヤーフルの姿は、まるで透明な羽を持つように見えて。
僕にはとても美しく感じた。

創世記の伝説にある、光の翼を持つ者たちのような・・・。





【第2章<創世記>】


私、は目が覚めた。

視界には透明のフィルターがかかったような。そんな世界が見える。
向こうに見えるのは青い柱と。水色の壁。

岩のような、クリスタルのような。固い光を放っている。

どうして私はここにいるのか。

起き上がろうと手を動かすと、それが固い空間に触れた。
私は透明のカプセルで包まれているようだ。

体をひねって、自分の背中側を見てみる。
私は空中に浮かんでいるようだ。

思い切って、カプセルごと振り向いてみる。
すると、地面と平行に浮かんでいる私に気付いた。

地面に降りたいと思ったら。
地面へとカプセルは近づいてきた。

どうやら、思うだけで、カプセルのまま移動できるようだ。
地面と垂直に立ってみる。

まるいカプセルの中に、私は浮かんでいる状態。

地面の感触も、外の空気も分からない。

とりあえず、移動できるので壁際を移動してみたり。空中を飛んでみたり。

柱の周りをぐるっとめぐってみたり。

だんだん、慣れてきた。
カプセルは自分の体のように、思うように動かせるみたいだ。

ここは広いけれど、区切られた場所。

どこにも外に出る場所はないみたいだ。

外?

そういえば、外ってなんだろう。
なんでこの場所の外があるっておもったんだろう?

そんな事を考えていると、その場所の壁が一か所動いた。
突然、ぽっかりと穴があく。

その奥から、ヒトが現れた。

2人のヒトがそこに現れたのだ。
銀色の服を着て。

二人共同じ青い目と水色の髪をしている。
背の高いヒトと背の低いヒトと

私が浮かんでいると、そこに近づいてきた。

「やあ、調子はどうだい?」

そのうちの、背の低い方のヒトが私に話しかけてきた。
誰?このヒト。

私はじっとそのヒト達を見ていた。

私は、その声をかけてきた人のほうへ近づいてみた。

カプセルは私の意識通り、スムーズに移動する。

そして、その人が手を伸ばしても私に触ることができないくらい。それくらいまで近づいてみた。

その人は小さく見えたけど、私に比べるとずっと背が高くて。少し浮かんだ状態で、やっと目線が同じになるくらい。

でも、私はその人が良い人か悪い人か分からなかったから。少し上から見降ろすようにしてみた。

その人は私を見上げて、ニコニコと笑っている。

「どうだい? そのカプセルにはもう慣れたかな?」

なんでこの人は、私がカプセルに慣れていなかった事を知っているのだろう?私の記憶は、カプセルの中で目が覚めったところからしか無いのだし。
それが当然なんじゃないの?

私がそう思って首をかしげていると、隣の背の高いほうが、

「言葉は理解しているのか?」

と聞いている。私はその言葉が私をバカにしているように思えた。

「ほら、今君の言葉で起源を損ねたみたいだぞ。ちゃんと理解しているさ。なあ、・・・・えーと名前なんだっけ?」

背の低いほうがそう言った。

「ナマエヲキクナラ。ソッチカラサキニイウノガレイギ。」

私はつい答えていた。
すると、二人とも驚いたように顔を見合せ背の低い方は嬉しそうに笑った。

「ほら、どうだい! ちゃんと人間の時の記憶もあるみたいだ。成功だよ、これは。」
「いや、驚いた。」

二人はそんな事を言っている。
何が成功なんだろう?何に驚く事なんだろう。
私は当然のことを言っただけだけど。

「そうだな。確かにレイギというものがある。
こちらから名乗ろう。 僕はチリェス」
背の低い方が言った。すると、せの高い方も。
「私はトリョウ」

と名乗った。

そう言われると、私も言わないわけにはいかない。

「ワタシハ、スーベロス。」

それを聞くと、背の高い方、トリョウが驚いたような顔をした。
背の低い方、チェリスは当然のような顔をしている。

そういえば、なんで私は自分の名前を知っているんだろう。

そこまで話をしたら、二人はまた奥に戻っていった。
「じゃあ、また来るからもう少し一人で居てよ。」

とチェリスが言った。

私はまた、一人になった。

なんだか、カプセルの中の色が、さっきよりも赤みがかっている気がする。

ちょっと疲れてきたから。
また眠ろう。

そういえば、私の背中には透明の羽があったのに。
さっきの人達には羽が無かったなぁ。
なんでだろう?

羽の色がピンクになっていたから、カプセルの色が赤っぽくなっていたのね。

なんで色が変わるのだろう?

まあ、いいわ。
とりあえず眠ろう。




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