旅の途中で

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さいきん読んだ本

2013年02月20日 22時34分34秒 | 
 禁断の魔術 東野圭吾 著

ガリレオシリーズも8作目になりました。

長編も好きですが、「禁断の魔術」のように短編集になると、初期のガリレオを思い出すのでこれはこれで好きです。

ガリレオ7の「虚像の道化師」が、わりとあっさり読み終わったのに対して、「禁断の魔術」の方は、一作一作のドラマが濃くなっていると思いました。

湯川先生は相変わらずクールですが、最後の「猛射つ(うつ)」では、大切な教え子のために罪を犯すかどうかというところまでいきます。

でも、意外ではないんですよね~。
理系でクールな湯川先生が罪を犯したとしても、なんだかすんなり納得してしまえるくらいには、読者も湯川先生を理解していると思います。

それにしても、草薙刑事は回を重ねるごとに敏腕刑事になっていくなぁ~
初期の頼りなさはどこいった~?
と、ちょっと寂しく思ったりして(笑)



 東京プリズン 赤坂真理 著

これは、読み終わった瞬間に「すごい本を読んでしまった!!」と思った作品です。

「東京プリズン」は、「東京裁判」の事を指しています。
戦争がとっくに終わった1980年代、16歳のマリが留学先のアメリカの授業で「東京裁判」を擬似体験することになります。

日本人でありながら、全然知らなかった日本の戦中・戦後の歴史を学んでいくうちに、マリの心は混乱していきます。

しかも物語は唐突に現実世界から離れて、未来と過去を行き来し、架空の生き物達が出てきたりして、自由に漂っていきます。
この浮遊感がなんとも魅力的でした。

正直、途中までは作者の意図がよくわからないというか、どういう視点で日本の歴史を語っているんだろうと思っていました。
(池澤夏樹さんが好意的な書評を書いているくらいだから、おかしな方向には行かないだろうとは思っていましたが)

でも、その疑問はラストの数ページで一気にクリアになりました。

「どう負けるのかを自分達で定義しなかった事が、私達の本当の負けだった」

この言葉がずっしりと胸に響きます。
その通りだと思うし、とても重い言葉です。
(自分達で定義して再生したのがドイツ・・・という事ですね~)


ところで、本の中にベトナム人の双子が出てきます。
2人は枯葉剤の影響で、生まれながらに腰の部分で結合しているのですが、一人は美しい美青年だけれど知性に欠陥があり、もう一人は老人のように弱っているけれど知性があるという風に描かれています。

この描写を読んだとき、萩尾望都さんの名作「半神」を思い出しました。
もしかしたら、赤坂さんは萩尾さんのファンなのかも?と思ったり
(「半神」は名作です!機会があればぜひ・・・とおススメしたいくらい)



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