3月のはじめ、池上本門寺の近くを通ったら河津桜が咲いていた。こちらに住んで20年以上になるのに、満開の河津桜を
観るのは初めてのことだった。
ソメイヨシノがまだ寒々とした枝を震わせているとき、華やかに孤独に咲き誇る河津桜。本門寺が美しいソメイヨシノに
覆われている今は、もう誰も河津桜の木を見上げたりはしない。春の露払いは役目を終えて静かに立っているだろう。
日本には桜の木がとてもたくさんあるから、そんなに遠出しなくても十分に盛りの花を楽しむことが出来る。ウチの傍にだって
なかなかきれいな桜並木がある。それなのに電車やバスに乗って桜の名所に出かけて行くのは何故だろう...桜だけでなく
ウンザリするほど人を見なくてはならないのに。
とか言いながら今年は、井の頭公園と深大寺、そして東海道線の二宮にも足をのばした。
3月24日。渋谷から井の頭線に乗る。吉祥寺までは急行でたった17分。ふだんは急行が通過する井の頭公園駅に電車が止まった。
花の季節の粋な計らいに、私鉄のぬくもりを感じる。
公園の入り口を入ると、すぐに池が見えてくる。桜に囲まれた池は、ボートでいっぱい。人、人、人...。
でもウンザリはしなかった。花より団子の宴会グループは殆ど無くて、花を愛でに来た2~3人連れが多いせいだろう。池のほとりに
座って、夫と缶ビールを開ける。こんな風に、静かに飲みながら花を観るのも良いものだ。花の枝は水に向かって伸びている。
それからバスに乗って深大寺へ。去年の秋、高校時代の友人たちと来た場所だから、方向音痴の私でも道案内ができる。
このお蕎麦屋さんが美味しかった、この水車館(資料館)に寄った...などと得意げに話しながら桜の道を歩く。
本堂の前には、しだれ桜が咲いている。思っていたより小さいが、花の色が濃くてきれいだったからたくさん写真を撮った。
去年と同じ「湧水」というお蕎麦屋さんで遅い昼食をとる。名物9割蕎麦を注文してみた。しっかりとした歯ごたえ、お蕎麦の香り。
そば汁もちょうど良い味付けだ。そば湯の香ばしさも好ましい。なんてね。確か昨年の5月に「お蕎麦は苦手」とこのブログに書いた私。
でも最近はお蕎麦が美味しいと感じるようになった。
9割蕎麦 この店の、蕎麦ようかんもサッパリしておいしい。
このあたりは「はけ」と呼ばれる層になった地形で、水を通す「関東ローム層」で濾過された雨水が、水を通しにくい「武蔵野礫層」の
ところで湧き水となって溢れてくるのだそうだ。なるほど。お蕎麦屋さんの名前「湧水」は、ここから来ている。
昔は豊かな湧き水で蕎麦の産地だった深大寺周辺だけれど、今は殆ど作られていないらしい。だから深大寺蕎麦とは名ばかりで、
日本各地から取り寄せた蕎麦粉が使われている。なーんだ、でも美味しいから許す。
漫画家の水木しげるさんが50年以上住んでいることでも有名な調布市。深大寺には「鬼太郎茶屋」もある。
武蔵野の桜を楽しんだ翌日は、東海道線の二宮で素晴らしい桜を観た。駅からすぐの吾妻山公園は、今、菜の花と桜の両方が楽しめる。
晴れていたら海も富士山も見えただろう。これからはツツジの花が美しいらしい。また来たい。
晴れていたら海と富士山が見える
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
東京の桜はまだ持ちこたえている。次の日曜は大学のOB仲間と夜桜を観る。
大学に入学した春、桜の花びらが舞い散るキャンパスで、クラシックギター愛好会に入会した。あれから長い年月が過ぎ、また彼らと桜を
観ることになった。だから、もう少し咲いていて。
年に一度、必ずやってくる桜の季節。この季節になると私たちは来し方を想わずにいられない。
観るのは初めてのことだった。
ソメイヨシノがまだ寒々とした枝を震わせているとき、華やかに孤独に咲き誇る河津桜。本門寺が美しいソメイヨシノに
覆われている今は、もう誰も河津桜の木を見上げたりはしない。春の露払いは役目を終えて静かに立っているだろう。
日本には桜の木がとてもたくさんあるから、そんなに遠出しなくても十分に盛りの花を楽しむことが出来る。ウチの傍にだって
なかなかきれいな桜並木がある。それなのに電車やバスに乗って桜の名所に出かけて行くのは何故だろう...桜だけでなく
ウンザリするほど人を見なくてはならないのに。
とか言いながら今年は、井の頭公園と深大寺、そして東海道線の二宮にも足をのばした。
3月24日。渋谷から井の頭線に乗る。吉祥寺までは急行でたった17分。ふだんは急行が通過する井の頭公園駅に電車が止まった。
花の季節の粋な計らいに、私鉄のぬくもりを感じる。
公園の入り口を入ると、すぐに池が見えてくる。桜に囲まれた池は、ボートでいっぱい。人、人、人...。
でもウンザリはしなかった。花より団子の宴会グループは殆ど無くて、花を愛でに来た2~3人連れが多いせいだろう。池のほとりに
座って、夫と缶ビールを開ける。こんな風に、静かに飲みながら花を観るのも良いものだ。花の枝は水に向かって伸びている。
それからバスに乗って深大寺へ。去年の秋、高校時代の友人たちと来た場所だから、方向音痴の私でも道案内ができる。
このお蕎麦屋さんが美味しかった、この水車館(資料館)に寄った...などと得意げに話しながら桜の道を歩く。
本堂の前には、しだれ桜が咲いている。思っていたより小さいが、花の色が濃くてきれいだったからたくさん写真を撮った。
去年と同じ「湧水」というお蕎麦屋さんで遅い昼食をとる。名物9割蕎麦を注文してみた。しっかりとした歯ごたえ、お蕎麦の香り。
そば汁もちょうど良い味付けだ。そば湯の香ばしさも好ましい。なんてね。確か昨年の5月に「お蕎麦は苦手」とこのブログに書いた私。
でも最近はお蕎麦が美味しいと感じるようになった。
9割蕎麦 この店の、蕎麦ようかんもサッパリしておいしい。
このあたりは「はけ」と呼ばれる層になった地形で、水を通す「関東ローム層」で濾過された雨水が、水を通しにくい「武蔵野礫層」の
ところで湧き水となって溢れてくるのだそうだ。なるほど。お蕎麦屋さんの名前「湧水」は、ここから来ている。
昔は豊かな湧き水で蕎麦の産地だった深大寺周辺だけれど、今は殆ど作られていないらしい。だから深大寺蕎麦とは名ばかりで、
日本各地から取り寄せた蕎麦粉が使われている。なーんだ、でも美味しいから許す。
漫画家の水木しげるさんが50年以上住んでいることでも有名な調布市。深大寺には「鬼太郎茶屋」もある。
武蔵野の桜を楽しんだ翌日は、東海道線の二宮で素晴らしい桜を観た。駅からすぐの吾妻山公園は、今、菜の花と桜の両方が楽しめる。
晴れていたら海も富士山も見えただろう。これからはツツジの花が美しいらしい。また来たい。
晴れていたら海と富士山が見える
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
東京の桜はまだ持ちこたえている。次の日曜は大学のOB仲間と夜桜を観る。
大学に入学した春、桜の花びらが舞い散るキャンパスで、クラシックギター愛好会に入会した。あれから長い年月が過ぎ、また彼らと桜を
観ることになった。だから、もう少し咲いていて。
年に一度、必ずやってくる桜の季節。この季節になると私たちは来し方を想わずにいられない。