昨日☆今日☆明日~金曜日のピュ

私の毎日と心に浮かんだこと

2013年、桜のとき

2013-03-29 02:58:46 | 今日~日記
3月のはじめ、池上本門寺の近くを通ったら河津桜が咲いていた。こちらに住んで20年以上になるのに、満開の河津桜を
観るのは初めてのことだった。

ソメイヨシノがまだ寒々とした枝を震わせているとき、華やかに孤独に咲き誇る河津桜。本門寺が美しいソメイヨシノに
覆われている今は、もう誰も河津桜の木を見上げたりはしない。春の露払いは役目を終えて静かに立っているだろう。


日本には桜の木がとてもたくさんあるから、そんなに遠出しなくても十分に盛りの花を楽しむことが出来る。ウチの傍にだって
なかなかきれいな桜並木がある。それなのに電車やバスに乗って桜の名所に出かけて行くのは何故だろう...桜だけでなく
ウンザリするほど人を見なくてはならないのに。
とか言いながら今年は、井の頭公園と深大寺、そして東海道線の二宮にも足をのばした。


3月24日。渋谷から井の頭線に乗る。吉祥寺までは急行でたった17分。ふだんは急行が通過する井の頭公園駅に電車が止まった。
花の季節の粋な計らいに、私鉄のぬくもりを感じる。
公園の入り口を入ると、すぐに池が見えてくる。桜に囲まれた池は、ボートでいっぱい。人、人、人...。

でもウンザリはしなかった。花より団子の宴会グループは殆ど無くて、花を愛でに来た2~3人連れが多いせいだろう。池のほとりに
座って、夫と缶ビールを開ける。こんな風に、静かに飲みながら花を観るのも良いものだ。花の枝は水に向かって伸びている。


それからバスに乗って深大寺へ。去年の秋、高校時代の友人たちと来た場所だから、方向音痴の私でも道案内ができる。
このお蕎麦屋さんが美味しかった、この水車館(資料館)に寄った...などと得意げに話しながら桜の道を歩く。
本堂の前には、しだれ桜が咲いている。思っていたより小さいが、花の色が濃くてきれいだったからたくさん写真を撮った。



去年と同じ「湧水」というお蕎麦屋さんで遅い昼食をとる。名物9割蕎麦を注文してみた。しっかりとした歯ごたえ、お蕎麦の香り。
そば汁もちょうど良い味付けだ。そば湯の香ばしさも好ましい。なんてね。確か昨年の5月に「お蕎麦は苦手」とこのブログに書いた私。
でも最近はお蕎麦が美味しいと感じるようになった。
 9割蕎麦   この店の、蕎麦ようかんもサッパリしておいしい。


このあたりは「はけ」と呼ばれる層になった地形で、水を通す「関東ローム層」で濾過された雨水が、水を通しにくい「武蔵野礫層」の
ところで湧き水となって溢れてくるのだそうだ。なるほど。お蕎麦屋さんの名前「湧水」は、ここから来ている。
昔は豊かな湧き水で蕎麦の産地だった深大寺周辺だけれど、今は殆ど作られていないらしい。だから深大寺蕎麦とは名ばかりで、
日本各地から取り寄せた蕎麦粉が使われている。なーんだ、でも美味しいから許す。
漫画家の水木しげるさんが50年以上住んでいることでも有名な調布市。深大寺には「鬼太郎茶屋」もある。




武蔵野の桜を楽しんだ翌日は、東海道線の二宮で素晴らしい桜を観た。駅からすぐの吾妻山公園は、今、菜の花と桜の両方が楽しめる。
晴れていたら海も富士山も見えただろう。これからはツツジの花が美しいらしい。また来たい。
  晴れていたら海と富士山が見える


☆ ☆ ☆ ☆ ☆

東京の桜はまだ持ちこたえている。次の日曜は大学のOB仲間と夜桜を観る。
大学に入学した春、桜の花びらが舞い散るキャンパスで、クラシックギター愛好会に入会した。あれから長い年月が過ぎ、また彼らと桜を
観ることになった。だから、もう少し咲いていて。

年に一度、必ずやってくる桜の季節。この季節になると私たちは来し方を想わずにいられない。

薬づけのヒト

2013-03-19 15:08:31 | 私というヒト
昨年の夏と年末に、耳が痛くなって難儀した。痛いだけでなく塞がった感じになるのだ。この不快な違和感は経験しないと
分からないだろう。2度とも耳鼻科の治療で治ったけれど、今年に入ってから今度は耳鳴りがひどくなった。周りがワサワサ
しているときは気にならない。シーンとしていると、耳の中がピーピー・シャーシャーお祭り騒ぎ。
耳鼻科で調べても問題は無い。聴覚の検査も余裕で合格。昨年の耳痛とは因果関係はなさそうだ。何が原因なんだろう...と
悩んでいるうちに花粉到来。10日の定期演奏会まで気力で抑え込んでいた症状が、終わった翌日から噴き出てきた(まさに噴出)。

一昨日は、深大寺の近くの瀟洒な邸宅で開かれたホームコンサートにお招きいただいた。
近隣の音楽愛好家たちがそれぞれの楽器を持ち寄って奏でたり歌ったり。ウクレレの合奏、尺八とギターの異色のコラボ、チェロ演奏、
弾き語り、詩吟...。窓辺にはミモザの花が揺れ、お手製のパンが運ばれ、とっておきのコーヒーカップから湯気が立ちのぼる。
こんな優雅なひとときなのに、耳はピーピー、鼻はムズムズ、かゆさをこらえて目は涙目。肩がパンパンに張っている。

もう我慢も限界だ。昨日、いきつけのドクターのところで悩みをぶちまけた。
はい、はい、お薬を出しましょう。こっちも出しておきましょうかね。これも使いなさい...。という訳で、いつもの高血圧と高脂血症の
薬も合わせて袋の中は薬で一杯。

元来、薬を飲むのは好きでない。高血圧と高脂血症の薬のお世話になる身になったときは、自分が人間としてワンランク下がったような
気がした。世の中には薬に頼らず、花粉症にもならず、耳も健全、膝の故障もなく、はつらつと生きている人が沢山いるのに(ため息)。

一昨日のホームコンサートで、ある女性がこんなことを言った。
「私の身体はあちこち故障だらけです。お薬を山ほど飲んでます。でも生きています。楽しく生きています。」

何だかホッとした。

朝起きてまず点鼻薬を鼻に吹き込む。一日一回で良いそうだ。強い薬なんだろう。なになに?ステロイド剤ですと(怖)。
朝食を済ませてから花粉症の薬と耳鳴りの薬を飲んだ。少し時間をあけて血圧降下剤と高脂血症の薬。ちょっと不幸な気分だ。
でも不快な症状は鎮まった。耳鳴りも半分くらいになった。

明日は夫と、嫁いだ娘の家に行く。本門寺さんの近くの しだれ桜がそろそろ咲き始める頃だ。
週末はギターの友2人と花の女子会。重奏の打ち合わせも兼ねて。
来週は二宮に桜を観に行く。大学のOB仲間との夜桜見物もある。再来週は高校の友人たちとランチ&散歩。去年も行った語りの会。
スペイン語仲間と古い居酒屋さんへ...。

この春は2度と来ない。自分も家族も友達も笑顔でいられるこの春を大切にしたい。
薬をたくさん飲んで明るく生きて行こう。

 定期演奏会で戴いた花、だいぶ開いちゃったけど、まだまだキレイ。


ギター合奏、6回目の定期演奏会

2013-03-15 18:26:33 | ギター合奏・ギター仲間
私のギター活動のメインであるAギター合奏団の定期演奏会が3月10日に開かれた。
出演するのは~若い頃、参加していたときのことは別として~6回目になる。
今回は感慨深いコンサートだった。

昨年11月に夫がガンの宣告を受けた。
12月13日、2人で有明のガン研に行った日のことは忘れられない。ガンであることは分かっていた。問題は転移しているかどうか...。
「転移していません。手術すれば大丈夫です。」そう言われた時の安堵感。帰りは大井町のプチパン食べ放題のレストランでパンを
たらふく食べた。2人とも笑っちゃうくらいたくさん食べた。
生まれて初めて手術を受ける夫は、どんなに不安だったろう。けれど、いつも穏やかだった。だから私も明るくいられた。

夫は元気になって娘たちと一緒に聴きに来てくれた。長女は6月に出産予定だから、だいぶお腹が大きくなっている。
夫の入院中ずっと祈ってくれた友人たちが客席にいる。一緒にランチを食べ励ましてくれた昔からの友達たちも。ありがとう。

第一部は懐かしい「夢のカリフォルニア」から。緊張したのか思わぬところでしくじった。同じパートのS氏がしっかりフォローして
くれた。続いて「テイクファイブ大作戦(ジャズのスタンダード<Take Five>に同じ5拍子の<スパイ大作戦のテーマ>がはさまれた
面白い編曲)」「夜が来る(サントリーオールドのCMソング)」。バッハがイタリアを想って作曲した「イタリア協奏曲」。
団員紹介のBGMはゴンチチの「放課後の音楽室」。最後はお洒落にアレンジされた「千の風になって」。

第二部は小編成。私はアストル・ピアソラの「リベルタンゴ」を3重奏した。
いつもは女性たちのユニットで演奏するのだが、今回は解体した。
あのときは『女の仁義も地に落ちた』とガッカリしたっけ。あぶれてしまった私とAさんを、大先輩のK氏が引き受けてくれたときは
本当に嬉しかった。Aさんも私も一生懸命練習した。「リベルタンゴ」、良い演奏ができたと思う。
あのとき、ガッカリした気持ちを大学のOB仲間に愚痴ったら「気にすんな」と笑い飛ばされた。私も自分の子供っぽさが可笑しく
なった。もちろん彼らも聴きに来てくれた。大好きな人たち。
あのとき、少し落ち込んだ気分を立て直そうと近くのエクセレントなギター合奏団に入れてもらった。そこからも聴きに来てくれた。
彼女たちとはこれから三重奏をする。
今回の第二部は、いつにも増してレベルが高かった。

第三部の一曲目は、アニメ映画<風の谷のナウシカ>から「はるかな地へ」。ギターの様々なテクニックが盛り込まれている。この曲は
地元で参加しているY合奏団でも練習中。5人のメンバーが聴きに来てくれた。彼らと一緒に地元でも良い演奏ができたらと思う。
さだまさしの<秋桜>。私のパートはとっても素敵なサブメロディーを奏でる。
最後の曲はボッケリーニの<序奏とファンダンゴ>。Yくんのカスタネット入りの、スペイン的な編曲がカッコいい。練習は厳しかったが
その成果が出た。アンコールは、華やかな「エスパニア・カーニ」。闘牛場の入場行進に使われるパソ・ドブレ。これも決まった。

終わってロビーに行くと家族や友人たちがたくさん待っていてくれた。スペイン語クラスの人たちの笑顔が優しい。昔のギター仲間もいる。
語学学校で一緒だったエミちゃん、マミちゃんが来てくれた。それからいつもいっぱい音楽の刺激をくれるArthurさんと奥さま。

いつもよりしんどい一年だった。でも素敵な定期演奏会を迎えることができた。
また一年、頑張っていける。