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絹のような手触りの黒髪と、お互いに際立たせる為にあるような白い首筋。
呼吸のたびに微かに上下する胸。
ジャケットを着ていてもわかる、ウエストの細さ。
白くて細い脚。
俺は無防備にソファーで横になっている牧野の姿を目で楽しんだ。
そして、俺は牧野に覆いかぶさった。
「イヤ!」
「ちょっと!どいてよっ!」
「なによっ!バカっ!」
「もう、なに考えてるの?」
こんなことを言うバカでかい牧野の声が、直ぐに聞こえてくるのを予測していた。
いや、牧野のことだからスゲー力で殴ってくるか?
足蹴りも覚悟しておいた方が良いかもしんねー。
滋の報道以来、俺の中で燻っていた思い。
俺を見ろ!少しくらい妬けよ!
俺の気持ちに気付け!!
いつまでも出会えるかどうかわからねー、教師を追い求めんじゃねーよ。
こんなに俺が想っているのに、なんで全く気付かねーんだよ?
どこまで鈍感なんだよ?
俺が覆いかぶさったのに全く無抵抗な牧野。
不思議に思うと…。
牧野は小さい寝息を立てて、幸せそうに寝ていた。
俺が覆いかぶさっているとも知らねーでスヤスヤ寝ていた。
俺が初めて見る、牧野の寝顔。
すげー可愛い。
学生くらいに見える顔が、ますます幼く見える。
鈍感、依然の問題だ。
男と住んでいるんだぞ!
無防備すぎねーか?
・・・・・。
それとも、こいつは俺のことを男として意識すらしてねーのか?
俺はお前が好きだから、大切だから我慢しているんだぞ!
これがどれだけ大変なことかわかっているのか?
この時、牧野は俺の腕に頬を寄せてきた。
俺の全身がカッとなる。
そんなことも全く知らねーで、少しだけ笑っているかのような寝顔。
俺の腕に、牧野は甘えるかのように頬ずりしてきた。
牧野の柔らかい頬が、サラサラな髪が俺の腕をくすぐった。
そして、もっと柔らかい牧野の唇が俺の腕に触れた。
おいっ!
いくら寝てるからってそれはねーだろっ!
牧野が寝ていることも、無意識でしているってことも嫌なほど理解している。
我慢だ、俺。
我慢、我慢、がまん。
がまん、がまんがまんがまんがマンガ!?
我慢じゃだダメだ。
理性だ、俺。
理性、理性、りせい。
りせい、りせいりせいりせいりせいり、整理!?
何考えてんだ?俺は…。
我慢と理性はどこに行ったんだ?
俺は大きく息を吐き出し、牧野を抱きかかえた。
あの日も思ったが、こいつって軽いよな。
あんなに食っているのに、なんでこんなに軽いんだ?
牧野に覆いかぶさった時─────。
あの時の俺は、嫉妬からこいつを無茶苦茶にしたかった。
正直あの一瞬は、学生時代に荒れていた時の俺が戻ってきたような感覚になった。
でも、こいつが俺の腕に頬ずりしてきた瞬間にそれが静まった。
薄まったと同時に、愛おしいとか大切にしてーって思いが出てきた。
守ってやりてーとか、俺より大切にしたいって思い。
誰にも渡さねー。
天草にも織部にも、他の誰にも絶対に渡さねー。
静かに大切に、軽すぎる牧野を俺のベッドに下した。
俺は牧野が気になって、空調なんて全く気にしていなかった。
が、アルコールで温まった牧野の体に肌寒く感じたのか、ベッドで小さくなった。
その牧野の隣に、俺は素早く潜りこんだ。
俺の体温が良かったのか?掛けたシーツに安心したのか、牧野は小さくしていた体を元に戻した。
俺は牧野の頭の下に、自分の腕を通す。
俺の人生初の腕枕。
そして、もう片方の腕を牧野の腰に回した。
俺はこいつの部屋に勝手に入るのは禁止されているから、仕方なく俺の部屋のベッドに運んだんだ。
あのままソファーで寝てしまったら、こいつが風邪を引いてしまうだろ。
こんなことを頭の片隅で思いながらも…だな。
健全な成人男性としては、好きな女と同じベッドにいるんだ。
イロイロしてーって思う。
でも、それは思いが通じた時だ。
俺はスゲー我慢してんだから、一緒に寝るくらい許せよ。
これが、スゲー難しいことだった。
牧野は時々「ぅん…。」って言いながら、吐息をはく。
これが俺の胸元をくすぐる。
ここまでは、下半身に緊張が走ったが耐えることが出来た。
理性だ、俺。
しばらくすると、俺と牧野の間にあったはずの牧野の腕が動き出した。
無意識だろーが、牧野は俺の背中に腕を回してきた。
これにより、俺と牧野の距離が縮まる。
!!
牧野の柔らかい胸が、俺の胸に押し当てられる。
と、同時に
ズンっ!!
俺の下半身にますますの緊張が走る。
理性、理性だぞ、俺。
生理でも整理でも無いぞ、俺。
好きな女を抱き締めて寝るって、こんなに大変なことなのか?
どうやって寝るんだよ?
寝る自信がねー。
俺の思いとは裏腹に、俺の胸の中で牧野は安心したように眠っている。
そんな牧野に俺は、触れるか触ねーかくらいのキスをした。
俺がこいつの─────。
未来の本当の旦那になることを祈りながら。
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本日18時に昨年のお話ですが、司くんの誕生日の話をアップします。
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