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今週末に

2015-04-15 11:21:25 | 日記
ドバイへ出張いたします。1週間の予定ですが、世界中のビジネスフレンド約60名ほどが集まります。
皆さんAIIBに関してどんな意見を持っているか、時間ある限り聞いてみたいと思っています。



3月、中国が推進するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への英国の参加表明は唐突だった。主要七か国(G7)の一角が崩れると、仏・独・伊など雪崩を打ったように参加方針を決定。突出した大国不在の「Gゼロ時代」に起きたこの「事件」は、大国間のパワーバランスが崩れ、世界が中国に傾斜したことを象徴する出来事だ。

 ◇視点1・国内事情-経済成長が「正統性」の生命線
 中国のAIIB設立の動きを解読するには、二つの視点が必要だ。ひとつは中国の国内事情。それは、中国共産党政権が有する<正統性>の根拠に関係している。
 中国共産党が政権を担当することが<正統性>を持つ根拠は、新中国を創建した革命政権という点にあるのだが、文化大革命の失敗などによって毛沢東の政治闘争路線は行き詰まり、トウ小平が経済重視の<改革開放>路線にかじを切った。全人民を豊かにする歴史的任務が共産党政権にはある-と。天安門事件後、トウ小平は「先に豊かになれる者から豊かになれ」と先富論を説き、市場化を一段と加速させたが、21世紀になると経済格差が拡大。トウ小平路線も行き詰まった。今や成長の目安-最低年率約7%維持も怪しくなった。
 習近平政権は、毛の政治闘争路線と経済重視のトウ小平路線の延長線上で二兎(にと)を追わなければならない運命にある。習近平は反腐敗闘争で大衆を味方につけて政敵を追い落とし、政権基盤を固めたが、共産党政権のもうひとつの<正統性の根拠>-全人民を豊かにし、「中華民族の偉大なる復興(=中国夢)」-を実現しなければならない。
 そのためのツールが、中国と、欧州を陸路でアフリカを海路で結ぶ流通ルート「一帯一路」(現代版シルクロード)構想と抱き合わせにしたAIIB。設立目的は、中国の豊富な外貨準備高(約4兆ドル)を活用し、高速鉄道・道路網・港湾などアジアの開発途上国のインフラ整備を支援するというものだ。プロジェクトを中国国有企業が請け負えば、国内経済に跳ね返り、成長がかさ上げされる。習近平政権の<正統性>は保持され、基盤はますます強化される、というわけだ。
 ◇視点2・対外戦略-ブレトンウッズ体制への挑戦
 AIIB第2の視点は、中国の対外戦略に深く結びついている。それは10年、20年以上の時間幅を持たせた長期的戦略に基づいており、第1段階としてアジア太平洋地域での新経済秩序構築を念頭に置く。この動きには、当の中国がどんなに打ち消そうが、中国人民元を世界的に流通させようという野心が隠されている。そして、ゆくゆくは米国を凌ぐ<グローバル覇権国家=中華帝国>を打ちたてようとする大いなる野望がちらつく。当面は、米国との併走に照準を合わせるが、ブラジル、ロシア、インド、南アフリカと共に設立を決めたBRICS開発銀行を視野に入れれば、米国主導で構築された第2次世界大戦後の経済・金融秩序「ブレトンウッズ体制」への挑戦と言える。

 「中華帝国」確立のキーワードは、<軍事力>と<通貨力>。この二つのパワー・ツールを保持することで他の諸国に影響力を行使し続ける。米国が戦後、グローバル覇権国家として君臨できた理由は、その強大な軍事力と併せて、全世界に流通する圧倒的な国際通貨ドルのパワーがあるためだ。中国は、今後を見据えて巨大国家に見合う<軍事力>と<通貨力>を「装備」しようとしていると見て間違いあるまい。

 既に中国は、国防費を年率二ケタ伸ばし続けて強化された軍事力を背景に、南シナ海では露骨な現状変更を試みている。その力の行使は、ベトナムやフィリピンなどの反発を買い、ASEAN諸国の警戒感を募らせているが、経済の相互依存が深まるグローバリゼーションの下では、越・比も含めてチャイナ・マネーの誘惑には勝てないようだ。地政学的に直接的な脅威を受けることのない欧州は、中国に「恩」を売れば商談でも有利になるはずというビジネス本位の発想で参加する方針だ。英国には、将来ロンドンのシティーを中国人民元の金融センターにしたいという思惑が絡む。
 一方、「中国の、中国による、中国のためのAIIB」とやゆする声が飛び交う中で、AIIB構想に疑念を持つ日米両国はお手並み拝見の姿勢だ。(解説委員 鈴木美勝)

 【アジアインフラ投資銀行(AIIB)構想】
2013年10月、中国の習近平国家主席がアジアの発展途上国に対するインフラ整備支援のための国際銀行設立構想を提唱、翌年10月に21か国が設立の覚書に調印した。今年1月、米英日など主要7か国(G7)はグループ内で意思統一ができるまでは参加しない方針で事実上合意していたが、3月12日、米国と最も密接な同盟国である英国が参加を表明、G7の一角が崩れると、仏・独・伊が続き、韓国、ロシア、ブラジル、オーストラリアなども相次いで参加に踏み切った。今後、中国は6月末までをメドにAIIB設立協定づくりを進め、年内の設立を目指す。これまで参加表明をしたのは54カ国・地域に上る。
 
時事ドオトコム:三橋貴明)