goo blog サービス終了のお知らせ 

まひるのブログ

Teacupブログから引っ越してきました。

魔探偵×ホームズ

2015-05-10 18:56:00 | 小説
いつもどおりネタバレ含みますのでご注意ください。


魔探偵×ホームズは電撃文庫の小説です。作者は多宇部貞人さん。
帯で書かれているようにホームズを主人公としたファンタジーです。10年前に魔法が封じられた、元々は魔法のある世界を舞台にしてます。魔法が封じられたといっても魔石の力を借りれば魔法のようなことは起こせますし、元々そういう能力のある方は異能と言って使えるようですが。…この辺の区別はちょっと分からなかったです。
ホームズですので、勿論ワトソンもいます。彼は色んな武器に変身できる能力を持ち、魔法の封じられた現状ではかなり稀有な存在です。
魔法が封じられた影響でモリアーティを封じていた結界もなくなってしまいました。彼を後ろ盾にして魔法の復活を狙うグルーナー男爵とホームズ達の戦いを描くのがこの巻ということですね。

魔石の中でも最高峰の美しさと能力を持つ十二星石や異能、そういった能力だけでなく推理で相手に迫る部分となかなかに興味深いお話でした。十二星石は今回さそり座、ふたご座、かに座、いて座(但し話でだけ)が出てきましたし、それぞれが対応する星座に因んでいて面白かったです。そうするとうお座は恋愛感情を操るとかですかね(笑)やぎ座とかどうするんでしょう。変身かな?
モリアーティ教授はちらっと出てきたくらいです。ただ黒幕感は半端ないですが。
本巻ではヒロイン?のアイリーンとホームズの関係がちょっと分からないですね。いや、探偵と泥棒なのでそういう意味での敵対関係にあるのは分かりますが、アイリーンがホームズをあそこまで助けた理由が分からないです。ワトソンが一度命を失うことになった話もさっくりと出ただけなので、そこがもう少し掘り下げられる回がまたあるのかな、と期待してます。本巻だけだとホームズがそこまでワトソンやアイリーンを大事に思う理由が分からないというか。
あと本巻ラストでホームズの異能もワトソンの稀有さも実質なくなったわけですが…この先どうするのでしょうかね。魔法なしのファンタジーかな、と思ったのですがそうでもないですし、魔法ありだと推理ってなかなか難しいような。どこまで魔法で出来て、どこからは出来ないのかという定義付けがはっきりしないと推理物としては難しくなるのかな、と思います。

時槻風乃と黒い童話の夜第2集・第3集

2015-01-12 21:37:00 | 小説
いつもどおり、ネタバレ気にしないので未読の方、ご注意ください。

第2集は「白雪姫」と「ラプンツェル」、第3集は「いばら姫」です。…第1集もそうですが、全て「~グリム」の泡禍になったものと一緒ですね。勿論何を対象にしているかは違いますけど。良く知った物語を「~グリム」でこういう見方もあると見せられて、更に違った見方もあると知らされている感じで面白いです。…いや、まぁ内容自体は黒いので面白いというと語弊があるような気もしますが。

第2集は絆の漢字の本来の意味でのお話でした。第1集の子たちもそうですが、何か信じているというか縋っているものがあって、それが立ち消えると狂ってしまう感じですね。確かに風乃は死神のような立ち回りで、彼女がいなければああいう結末にはならなかっただろうのに、というのもあります。また、洸平が頑張った結果、それが裏目に出てしまった感もあります。結局のところ、風乃の本質は理解できてもその考え方を感じ取れない彼には狂いそうな子を狂わない道に連れていくのは難しいのかもしれません。彼が助けたいのか、助けたいと思った子を救えないことを贖いとしているのかは分かりませんが。「~グリム」で彼が出てこないことを考えると後者で彼自身、ある種狂っているのかとも思ったり。まぁ「~グリム」の方が物語としては後でも書かれたのは前なので出てこないのは当然なのかもですが。

第3集は風乃がいつもの街から祖母の家のある田舎町へ“療養”に出されて、のお話のため、洸平は出てきません。風乃の追想で5行くらい出てきますけど。
これも狂った当人には幸せな、でも巻き込まれたり傍観者になってしまった人にとっては残酷なお話です。本当は部外者だった子の考え方がちょっと違うかな、というのは穿った見方で思ってました。洸平がいたとしても狂った当人が幸せに思うなら彼が止めるのも無理だろうとも思います。第3集を読んでいて、第1集の「~めんどり」の再録は確かに必要だったかな、と思いました。「~グリム」を読んでいれば風乃の人(?)となりは分かりますけど、このシリーズが初で「~グリム」未読であれば風乃がどういう思考かというのが必要になるので。

「~グリム」に比べてこちらのシリーズの方が傍から見た救いはないですね。風乃が主に絡むことをタイトルで明言しているのだから、そうであることもまた、当然なのかもしれませんが。

時槻風乃と黒い童話の夜

2015-01-11 21:41:00 | 小説
現在3巻まで出てますが、以下は1巻の感想です。2~3巻は買いましたがまだ読んでません。いつもどおりネタバレ気にしませんのでご注意ください。

題名から分かるように、「断章のグリム」の前のお話になります(~グリムの時点で風乃は故人ですので)。今のところ、「~グリム」にもこちらにも出てくるのは風乃と雪乃だけです。雪乃に至っては雪の女王になる前ですし、さっくりとしか出てきませんが。風乃自身も主人公、という感じではありません。各話のメインとなる人物と出会い、関わりはするという出方ですが、かなり影響は与えていると思います。

1巻は短編3つから構成されており、「シンデレラ」「ヘンゼルとグレーテル」は書き下ろし、「金の卵をうむめんどり」は「~グリム」の短編の再録となっています。「~めんどり」が再録なのでこの小説自体は前から知ってはいたのですが、買うかどうか迷ってました。2~3巻も出ていることを知ったので買うことに決めたのですが。なお「~グリム」は電撃文庫ですが、こちらはメディアワークス文庫です。

相変わらずの何とも救えない感のあるお話になってます。メインとなる方々自身がどう思ってそうなったかはともかく、傍から見たらハッピーエンドではないな、という終わり方をしています。「~グリム」はとても好きなシリーズでしたのでこの「~グリム」の話が出てきて嬉しく思ってます。
「~黒い童話の夜」の新しい登場人物として出てきた森野洸平さんの動きにも注目したいです。1巻のお話は、時系列としては「ヘンゼル~」→「シンデレラ」→「~めんどり」で(多分)、「ヘンゼル~」の時に彼は風乃と出会います。「ヘンゼル~」で身内が亡くなっている彼はそうなる人が少なくなるように風乃に会っている人がそちらに向かうのを阻止しようとしているようですが…「シンデレラ」で出た時は風乃に真っ向から反発して阻止しようとするのかと思ってましたけど「ヘンゼル~」を見た後だと反発しているわけではないのかな、と。むしろ風乃を割と理解している気もします。その上での行動がどう出るのか…まぁこのお話だと好転する方にはいかないとは思うのですが。

ペルソナ×探偵NAOTO

2014-07-31 19:09:00 | 小説
ペルソナ4の主要キャラの1人である白鐘直斗のスピンオフ小説です。出たの2012年ですが。
石田さんボイスに釣られる→ペルソナQ買う→ペルソナ3、4の内容が気になる→P3は映画、P4はアニメのDVDを見る→P3主人公、直斗くんがお勧めキャラ→小説購入 という流れですね。ペルソナをきちんと認識したのが5月末なのでまぁ。

以下、ネタバレ含みます。感想の羅列になります。

このお話はペルソナから約1年後、直斗が高校3年生に上がる頃のお話です。探偵としても活躍している直斗の元に、以前からお世話になっていた女性警察官の瞳子さんが現れ、八意高校失踪事件の解決を依頼されます。八意高校失踪事件を追ううちに「マヨナカサイト」とそれに書かれたのち死亡した女子生徒の関係が浮かび上がり、さらにサイトの関係者を狙う存在が出てきたりして…とどんどんお話が広がっていきます。
直斗の相棒としてはペルソナを使えるロボ(?)の創世さんが登場。色んな意味で直斗と正反対の彼も活躍します。

ペルソナ×探偵、と表題しているだけあり、ペルソナだけ、探偵だけではこうはならないだろうという展開で面白かったです。何故現実世界でペルソナが出せるのかという疑問はありましたが。
事件の犯人については、もう少し掘り下げた方が良かったのではないかと思いました。犯人の狂気性について過去会話から直斗が気づくことになるのですが、それだけで納得するかな、と。もう少し普段の会話でも片鱗が見られるとか伏線があった方が納得しやすかったかな、と思いました。まぁ、狂気性を巧く隠していたというのかもしれませんが。
りせや巽くんといった、同級生がちらっとながら出てきたのは嬉しかったです。タツミブランドのあみぐるみって…(笑)
愛ちゃんの登場は…何だったのでしょう? もう少し何かに活躍してほしかったかも。
創世の親(?)である友里さんについても、もうちょっと掘り下げてほしかったですね。いや、繁雑になっちゃうかもですけど。創世が瞳子さんに頭が上がらない理由とか、肉付けが欲しかったですので。
爆弾は伏線がしっかりしていたので分かりやすかったです。そもそも登場人物名がヒントになっている気もしますし。そういう点では滝沢さんも含めてほしかったです。
直斗…髪の毛伸ばしてるし(挿絵を見る限り)胸も隠していないのに何故女性と思われないのですかね?



青と黒の境界線

2013-11-24 19:50:00 | 小説
電撃文庫今月(11月)の新刊です。以下、ネタバレを大いに含む…予定です。

工業都市で起きた爆発以来、雨量がそれまでの1/10になった世界で、周囲に雨を降らし“救世主”としてあがめられるもしくは“雨を奪った魔女”として罵られる存在の雨女と、その逆の存在である晴男を巡るファンタジーです。雨女と晴男が出会うと奇跡が起こるとされてますが、その奇跡が良いことなのか悪いことなのかは分からない。万一悪いことでまた世界に悲劇が起こるのを阻止したい水道局(実質、水を管理するため世界の中心的存在になってます)は雨女の管理と晴男の殺害に動きます。で、雨女対策部隊VS雨女と晴男対策部隊VS晴男の戦いに一段落着いたところでお話終わりです。雨女ことジュビアと晴男ことアスールは序盤ですでに出会ってますが、伝説にいう奇跡は起こったように見えず、それが何か調べるために旅をし、水道局はそれを追う、という構図ですね。
雨女、晴男という、普段使う言葉をファンタジーにしたのがとても面白いなぁと思いました。ただ何故ああいう世界設定なのに雨女の方が終始パワーが強い(ジュビアとアスールが出会って以降の2人の周りの天気は雨)のかは謎でした。世界が晴側に傾いているなら晴男の方が強そうなのですが。まぁ、最後の挿絵のシーンを考えるとその方が綺麗なのですが(苦笑)あと、最初と最後はサクサク読めたのですが…中盤は情報が一気にどーんと来て読みにくかったです。この話自体が連作なのか単発ものなのか分からないので何ですけど…連作でないならリュネットとソティラスは必要ないですし、街の説明やパシアンの過去あたりもそこまで事細かにしなくていいかな、と思ったり。
イラストはとても可愛らしかったです。…ぶっちゃけ、イラストで買うのを決定した気もします。
因みに登場人物のうち、雨女(先代含め)の名前は雨、都市名や晴男の名前は色からついてますね。ジュビアが雨なので晴男は晴からつけても良かったんじゃ、というのはまぁ、作者さんの好みなのでなんですが。