「虚構推理 スリーピングマーダー」は表題作の「スリーピングマーダー」とそれに関わる六花、天知の登場話である「岩永琴子は高校生だった」「六花ふたたび」「明日のために」、そして「岩永琴子は大学生である」からなる短編集(?)です。
ひとまず漫画10巻はスリーピングマーダーの序盤だけでしたので、続きが気になるこれのみ読んでの感想です。
いつもどおり、ネタバレご注意ください。
漫画10巻の記事でも書いた通り、本作は音無グループの会長が昔起こした妻殺しを、本当は怪異(妖狐)が関わっているのは目を伏せつつ、いかに合理的に解釈するか、という話となります。
…が、勿論一筋縄で話が進むわけはありませんでした。遺産相続の下りは早々に全員が共謀することで解決しますが、関係者全員に何故アリバイがあったのか、その状況下でどう妻を殺したと合理的に言えるのかを導くために、岩永が過去の犯罪も暴いていくこととなります。
スリーピングマーダーという表題は23年前から眠ってきた犯罪が起こされる、という意味合いだったのかと。
因みに後味が良い話とは言えません。岩永らしい後味の話、と言えますが。途中の、本当に虚構の解決策で止めておけばここまでの後味にはならなかったものです。
本作では六花が関わっていることは最後の最後で会長から語られて判明します。六花の関りについて九郎は、人が絡む事件を岩永がどう解決するか九郎に見せるため、と推理しています。岩永は今更だと考えてますが、これはありそうな気もしますね。人が絡む事件に岩永が一切の情を挟まず、秩序を守ることを最優先とするのであれば、九郎と秩序が反してどちらかしか選べない状況にあったら、岩永は秩序を取る(九郎を捨てる)かもしれないと言えますので。
思えば告l七瀬も、秩序と六花の二者択一で岩永が秩序を取ったと言えなくもないわけで、同じことが九郎にも起こる、と六花が考えることはありえますし。そこは是非、秩序も九郎も取る選択をして六花を上回ってほしいところです。