村内まごころ商法 & 剛毅の経営

昭和53年に出版された本と、ホームリビングに掲載された記事でたどる、村内道昌一代記

まごころ求道(1)

2007年03月31日 | Weblog
平成七年三月一日 この日は村内個人にとっても、企業にとっても、大切な記念日の一つとなるだろう。

かねてから計画していた八王子本店・アネックスが完成、既設売り場と増床部分を合わせて杓一万三千平方メートルという日本最大の家具インテリア店舗をリニューアルオープンするとともに、家具企業が世界一級の絵画を集めた美術館を運営するという、世界に例のない新村内美術舘のスタート日であった。

そのオープンセレモニーのために、続々と訪れる招待客の人達と挨拶を交わしながらも、村内は自分が長い年月をかけて追い求めてきた理想実現の一段落に喜びを感じるとともに、新たな目標に向かって、心の底からフツフツとわきあがってくる闘志を抑え切れずにいた。

昭和二十三年三月、道昌は戦後の混乱の最中、父万助とともに家具づくりを目指して加住木材工業を設立。昭和二十七年に木工所から家具店へ事業を転換、翌二十八年に名称を村内家具店に改称。

村内ファニチャーアクセスの原点ともいうべき加住木材工業は、自宅前の豚小屋を改造したそれこそにわか仕立ての作業場からスタートした。

また、いつしか家具を仕入れて坂売するようになった、その当初の商品陳列場といえば、自宅の十二畳二間と六畳一間を利用、タンスや鏡台が並んでいるその庭先を鶏がせわしなく動き回る、今にすれば珍妙な農家店であった。招待客を新美術館から売り場へと案内しつつ、そんな企業の歴史が走馬灯のように村内の頭の中を巡る。