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そよ風に乗って

過ぎ去った思い出や、日々の事を
そっとつぶやいています。

読書・・・琥珀のまたたき

2017-02-09 16:18:06 | 読書

図書館で小川洋子さんの本の棚をのぞくと

まだ読んでない本が1冊ならんでいました。

 

久しぶりに読みました。

琥珀のまたたき

著者 小川洋子

講談社 2015年発行

 

小川洋子さんの本は読み始めると引き込まれて一気に読んでしまいます。

不思議な設定の面白い世界が広がります。

 

 この本の物語も

末っ子の妹の突然の死は野良犬がほほをなめたことが原因だと信じこんだ母親が

子供たちを魔犬から守るためと、

幼い姉弟3人と共に、子供達の父親が残した別荘に移り住みます。

母親が働きに出掛けた後に繰り広げられる3姉弟だけの世界。

書斎に並ぶ沢山の図鑑で知識を広げ

想像力を養い独自に編み出した遊びに興じます・・・・・

 

そして、6年8か月が過ぎ、

偶然水道の検診の女性に発見され

救出されるのですが・・・・

確かに、母親による監禁と言われればそうなのでしょう。

 

発見した水道メーターの女性の証言に、思わず涙がこぼれました。

彼らの生活のすべてが語られているようで。

 

・・・・・坊やの声を聞きとるためにはかなりの集中力を要しました。

ちょっと風がふいたり小鳥が飛び立ったりするだけで、かき消されてしまうのです。

ほとんど吐息と変わりが有りません。

にもかかわらず、恐怖のためにどうしようもなくそうなってしまうという、

といった不自然さが無いのは不思議でした。

卑屈でもなければ、うらぶれてもいない。ごく自然なのです。

そこはかとない気品さえありました。  ・・・・・・・・・・・・(略)

林のどこかで妖精が、秘密の交信を交わしているかのようでした。

そう、彼は妖精のように話すのです。

それをキャッチできるのは、秘密を分け合った誰かだけなのでしょう。

(略) 17歳のお姉さんは行方知れず。坊やは14歳のお兄さんと一緒に

施設に保護された後、一人だけ里子に出されたと噂にききました。(略)

 

みんな書きたくなってしまうのですが、このへんで。

機会が有ったら読んでみてください。

 

 私が小川洋子さんの作品を始めて読んだのは

人質の朗読会    でした。あまりの面白さに

図書館の小川さんの本の棚から順番に借りて読みました。

 

博士の愛した数式

猫を抱いて像と泳ぐ

とにかく散歩いたしましょう

犬のしっぽをなでながら

博士の本棚

夜明けの縁をさ迷う人々

妄想気分

ことり

原稿零枚日記

カラーひよことコーヒー豆

ミーナの行進

ブラフマンの埋葬

いつも彼らはどこかに

さいはてアーケード

 

これで棚の本は終わってなかなか新しい本に出会えなかったのですが

図書館の本だから、借りられるのは運。(予約もできるのだけれど)

また棚で未読の本に出会えたら借りたいと思います。

時々あれば丁度良いかな。 なのです。 

老後の趣味には、読書は最適です。


墓守娘のなげき・・・

2017-02-06 10:13:42 | 読書

図書館の受付の側に、その日返却された本が

一時的に置かれている棚があります。

そこで見つけた本です。借りてきました。

 

題は“ 母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き ” 

著者 信田さよ子 (カウンセラー)

2008 初版 春秋社

 ふと読んでみたくなったのは

この 墓守娘 と言う言葉にひかれたように思います。

私たち3姉妹にも、父方の先祖のお墓が残されました。

最後に入ったのは、父方の祖母。

その前にさかのぼって入ったのが母、父の順。

もう60年近く、もしかしたら、お墓だけが3姉妹に残された

共通のよりどころだったのかもしれません。

とはいえ、京都にあるお墓の管理は、大阪に住む長姉に任せっぱなしで

遠くに住んでいた次姉や私等は、旅行ついでに墓参りするぐらいで、

負担に感じていたことは有りませんでしたが

歳を取ってからですね。墓参りの回数が少し増えました。

と同時に、墓仕舞いの事も考えなくてはならないですし、

自分たちのお墓は要らないと決めた(?)のも

各地にいる子供たちに墓守の負担をさせたくないと感じているからなのですね。

 

でも最近は、散骨にしてしまうのではなく、親はこにいるという場所だけは

有った方が良いのかもしれないなどと、ちょっと迷いも出てきています。

 

さて、

この本に取り上げられている娘たちの背景は

父親が長男で先祖からのお墓を守っている家庭の一人娘。

彼岸やお盆には親戚が家族でやって来る。

それを母親が一人で大変な思いで接待をしている姿を見て

自分は、母親のようにはできない、なりたくないと

家に縛られることを恐れている姿です。

 

また、娘の受験のため寒い冬も塾への送り迎え等

娘と共に受験勉強を勝ち抜いた母親は、その後も大学、就職、さらには結婚にまで

なにかと支配してくる。そんな母親が重くなって母親から逃げたいと思うけれど

そういう事を考える自分に罪悪感を感じる娘たちが

カウンセラーのもとにやってきます。

 

カウンセラーは母親の支配に対しはっきりとNOと言おうと提言されています。

それによって、母親は娘との境界を知り、娘を他者として認知する。

他人行儀になることが正しい。と

 

折しも、今は受験の季節。

先だってニュースになっていましたが、東京、神奈川の中学の受験生が多くて

風邪でもひいたら大変と、受験日近くになると学校を休ませるそうで

受験日は休む生徒が多く、授業にならないそうです。

19%、約2割が中学受験をするとか。

 

ニュースで見た受験風景では

付き添いの母親が感極まって、

目を潤ませて、子供を受験会場に見送っていました。

一生懸命に子供の成功を願い

それが将来の幸せと感じて疑わないからでしょう。

大変ですね。これからの人生。

 

それを見ながら、この本に出てくる、

重いと思われる母親像を思いました。

上手に親離れ子離れして、お互いに豊かな人生を・・・(って偉そうに)

それぞれが独立した良い関係が築いて行けますように・・・・ですね

 

三浦朱門さんが3日に亡くなられたそうですね。

曽野綾子さんの本を一時期せっせと読んでいたので

本の中に登場するご主人の三浦朱門さんの事は少し知っていました。

ふと姿が見えなくなると、自宅から歩いて渋谷の本屋に出掛けられるそうで

健脚の方のようでしたが、

ご高齢なのでどうしておられるかと気になっていました。91歳だそうです。

ご冥福をお祈りいたします。

 


また休館日に図書館へ・・・

2017-01-27 23:58:42 | 読書

 

図書館で本を借りて読むのは、楽しみの一つにしていますが

またまたやってしまいました。

今日が返却日と思って、朝から読み残したページをラストスパートをかけて読み終え

午後から図書館に出掛けると、自転車置き場がからっぽ。あ~またやってしまった。

月の最後の金曜日は休館日なのです。もう、1月最後の金曜日なのですね。早すぎ~

本だけ返却ポストに入れて、帰りました。

家に帰って、返却日を確認すると、明日になっていました。

明日借りに出直しましょう。

今年も、少なくとも週に1冊は読むようにしたいと思いますが

庭仕事だの布で何か作りたいだのの心が動くと読書は夜寝床に入ってからの

楽しみになりますが

このところ、睡魔が頑張り始めて、すぐ眠くなり

朝も6時頃まで目覚めません。・・・・で、読書タイムが少なくなって

返却日に頑張って読み終える事になります。

もう少し、読書タイムを日中に取れば良いだけの事なのですが。

 今日返却した2冊です。

風景は瀬戸内寂聴さんの短編集です。

1922年のお生まれだそうですから、今年、95歳になられるのですね。

これは、6、7年前に出版された短編集ですが

結婚されて満州で暮らしておられた時の話や

子供を残して夫との離婚、そして恋人との同棲。

仏門に入るまでのこと。

その他の短編小説の七話が収められています。

 

好きな作家さんで、何冊か読んでいますが

小説家として生き、仏門に入られる運命を背負って生まれてこられたような

気性の方に思われました。

ずっとお元気でお過ごしいただきたいです。

 


どちらの名前が好きですか

2017-01-18 11:02:34 | 読書

ベスト・エッセイ 2012 と言う本を図書館で借りて読んでいるところです。

数えてみると、77名もの作家さんが、

各方面の雑誌や新聞に発表された短いエッセイが集められています。

 

その中で、

姫野カオルコさんが書かれたエッセイには

聖ヴェロニカの花に祈る  と言う題が付いており

青い小さな花の事が書かれていました。

 

学名をヴェロニカ・ペルシカという、ごく小さな青い花が有る。

との1行を読んで、もしかして・・・・と思う花が有りました。

 

その昔、十字架を背負いカルヴァリ丘を歩かれているイエス様を見て

思わずかけより、額の汗をぬぐってさしあげたという婦人の名が付いた

ゴマノハグサ科のこの小さな青い花は、しかし見る人には、もっとのんきな

安らかさを与える。

 

これが、ユーモラスな和名が付いているオオイヌノフグリである事が書かれており

やはりそうであったかと、思いました。

 

可愛らしく好きな花なので

毎年、デジカメで何枚かの写真を撮っていました。

庭にも咲きますし、散歩途中の道端でも春先からしばらくさいており

雑草として扱われ、畑では抜かれてしまいます。

 

イヌノフグリは日本原産でさらに小さな花ですが

このオオイヌノフグリは、それよりは一回り大きく、そばで見ると本当に可憐な美しい花なのです。

こちらはアジア、アフリカ辺りが原産なので帰化植物なのですね。

 

イエス様が十字架を背負って歩かされている時にも

道端にはこの青い可憐な花が咲いていたのでしょうか。

 

オオイヌノフグリとヴェロニカ・ペルシカ  同じ花ながら、

名前だけ聞くとイメージが異なってきますね~

 

2月になると、暖かい陽だまりに咲き始めますが

これからは、こんな話も思い出しながら眺めるようになると思います。

 

このエッセイは2011の東日本大震災に逢われた方へのメッセージでした。

命ある人が、春を見る。

たいせつなものを、すべて波にのまれてしまった方々に、どうか、

また周りの人たちとほほえみあう日が訪れますように。

ヴェロニカの花の花言葉は、信頼 忠実 有用。

日本のそこかしこにある、この元気な青い花に心から祈りを託します。

で締めくくられています。


千島列島と北方領土、知っておきたいこと

2016-10-18 18:01:25 | 読書

 

図書館で浅田次郎さんの本 ″日本の「運命」について語ろう″ を借りてきました。

実は前に借りたことがある本を、うっかりまた借りきてしまった。と言うのが正直な所。

 

でもちょうど良かったです。もう一度歴史のおさらい。

間もなくロシアのプーチンさんが日本に来られて安倍首相と

北方領土問題がどのように話し合われて解決されるのか。関心がありますね。

 

この本の中に、千島列島と北方4島の事が書かれているので

もう一度お勉強しておきました。

千島列島と、北方4島は日本にとってどういう島なのでしょう。

 

まず、千島列島は、 

榎本武揚(えのもとたけあき)によって明治8年(1875年)

サンクトべテルブルグにおいてロシアと千島樺太交換条約が結ばれ

日本の領土になりました。

 

当時、樺太は日本とロシア、どちらの国にも帰属していなかったのですが、それを

″樺太はロシアと日本のどちらのものでもないけれど、

全部を帝政ロシアの領土として認めましょう、

その代り、千島列島はすべて日本の領土です。″と言う条約です。

 

そして、

北方領土として、返還問題になっている

択捉島、国後島、色丹島、歯舞島は

1855年の日露通好条約以前から北海道の延長とみなされていて、

これが外国の領土だというためしは、ただの

一度も有りません。

 

したがって、北方領土が日本固有の領土というなら

榎本武揚がサンクトペテルブルグに行って

結んだ千島樺太交換条約の結果、千島列島全部が日本固有の領土なのです。

 

榎本武揚について 

 函館の五稜郭で明治2年(1898) まで戦っていた幕臣

一緒に戦っていた新選組の土方歳三は函館戦争で倒れましたが

榎本は死に損ねます。新政府にたてついた賊軍の指揮官ではありましたが

余りにも優秀な人材であったので助命され、後に明治政府に登用されます。

彼は幕府の留学生として4年半にわたってオランダに留学し、国際法、軍事、造船などを学んだ

とても優秀な人物でした。幕府が発注した軍艦 開陽丸 と共に帰国したのは、薩長を中心とする

討幕運動の真っ最中でした。

薩長に反発し、軍艦もろとも北海道に逃げ、函館政権を樹立したのが真相です

 

 第二次大戦の終戦後、3日経ってソ連が千島列島の最北端の占守島(シュムシュ島)に攻めてきました。

そして、千島列島と北方4島を奪い取ったのです。

その話は 浅田次郎さんの小説 終わらざる夏 に書かれていて、

読書ブログで感想を書いたことが有ります。 終わらざる夏を読んで…始めて知った事 

よろしかったらクリックしてご覧になってくださいね。

 

北方問題がどのように解決されるのか、

関心を持って見守りたいと思います。