徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

赤線地帯

2008年07月09日 | ★★★★



赤線地帯
おすすめ度
製作:1956年 日本
製作:永田雅一
監督:溝口健二
脚本:成澤昌茂
出演:若尾文子 三益愛子 町田博子 京マチ子 木暮実千代 川上康子 進藤英太郎 沢村貞子 浦辺粂子 十朱久雄 加東大介 多々良純 田中春男

売春防止法制定前後の社会情勢を描いた溝口健二の「赤線地帯」です。この作品は彼の遺作でもあります。若尾文子、三益愛子、町田博子、京マチ子など豪華な女優たちの競演は華やかでとっても生々しい!少女の悲しい行く末を暗示するラストシーンもしょっぱくて良いです。

社会の情勢も不安定な折、国会では「売春防止法」が可決されようとしています。様々な事情で借金を負った女達は今の生活から抜け出そうと必死です。どんなにもがいても一度体を売る商売を始めるとなかなか堅気には戻れない。そんな女達に焦点を当てた群像劇。


舞台は吉原の「サロン夢の里」。
娼婦たちは、それぞれの事情を負って生きています。


不良娘のミッキー(京マチ子)も加わり「夢の里」は今日も大繁盛。


やすみ(若尾文子)は金の亡者。
父親の保釈金20万円が払えずに吉原へ来た過去があります。
彼女はサロンで客を騙しては金を無心します。
そればかりか仲間の娼婦にも金貸しをし利息で貯金を更に増やしていく財テクぶり。

サロンの最年長のゆめ子(三益愛子)は離ればなれで暮らしている一人息子との同居を夢見ています。


手前で涙しているのがより江(町田博子)。彼女は普通の主婦に憧れを抱いています。赤ちゃんのおしめを変えている眼鏡の女性がハナエ(木暮実千代)。彼女は病気の夫と幼子を抱える一家の大黒柱です。

うむむ…。
人生は甘くない。とは良く言ったもので…。

どうにかしたくてもどうにもできない(ならない)のが観ていてとてももどかしい。それでも女達は強く、逞しく、しなやかに生きていくんですね。
うむむ…。

売春防止法が4度目の流産したときのサロンの主人の言葉。
「おれたちはね、政治の行き届かないところを補っているんだ。政府に変わって社会事業をやってるんだよ。演説やって食いっぱぐれない連中にはお前達の苦労なんて分かっちゃいないんだ。お前たちの味方はおれたち以外あるかい。わかったな。じゃあ、明日からひとつ腰を据えて働いてくれ。」

そんな事ない!と言い切れないのがまたしょっぱい…。


赤線地帯@映画生活
前田有一の超映画批評



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