歌詞を味わうブログ

1980年代から1990年代の日本のポップスの歌詞を味わうブログ

『電車』 作詞:岡村孝子

2021-05-01 12:08:00 | 歌詞を味わう
リリース:1987年

今週も当ブログを訪問いただきありがとうございます。
今回の歌詞を味わう前に、『あみん』の前史について少し説明しておきたいと思います。

岡村孝子さんと加藤晴子さんのデュオは1982年7月25日に『待つわ』でレコードデビューしていますが、これに先立つ二人の出会いは椙山女学園大学で、岡村さんが入学時に加藤さんへ履修届の書き方を尋ねたのがきっかけで、その後も岡村さんが加藤さんに自作の曲を聞かせたことで意気投合しデュオを結成するに至ったのです。

しかしファーストアルバムをリリースしようとしたところで、他のアーティストからの提供曲も歌わせたいレコード会社側の意向と、できるだけ自作曲を歌いたいあみん側の意向が合わずリリースが延期になったばかりでなく、この頃から加藤さんが活動を辞める意思を示し始めたのです。学業に専念したい気持ちに加えて芸能界は自分のいる場所ではない、そう思うようになったのです。これに対し岡村さんは同意を示し、自身は大学を中退し、ソロとして歩むことになったのです。
なお、加藤さんは大学を卒業しテレビ東京に就職したのでした。

それでは歌詞のサビの部分を見ていきましょう。

何を求めて 明日を探せばいいのか
大きな海を漂う木の葉のようだわ」

あなたを失くしてまでも決めた道を
悔やむほど弱くなった私をしかって」

「あなたを失くしてまでも決めた道を
悔やむほど弱くなった私をしかって」

「あなたを失くしてまでも決めた道を
進むほどずるくなって明日を変えたい」

こう見てくると、一般的にはあなたとは彼氏という見方もできないわけでもないのだけれども、前段で書いた『あみん』の事を重ね合わせて考えると、岡村さんがしかってほしいのは、他ならぬ加藤さんだという仮説もあながち否定できないんです。

だからこそ2番の歌詞にある
けじめと名のついた卒業証書がほしい」
この卒業証書は観念的なものではなくて、椙山女学園大学の卒業証書だとも言えるんです。

岡村さんはよく「OLの教祖」とか言われたりもしたんですが、

「混み合う電車に押し込まれ
ガラスに額をつけたまま
大きなため息をついたら
なお気がめいる」

「どんなに悲しい夜ばかり
過ぎても会社に着いたなら
笑顔を振りまいて
jokeの一つもとばす」

同世代のOLたちの傷つきやすい心を共感力で癒やしてもいたんですね。
でも、岡村さんはどんなjokeを飛ばしていたんでしょう?
「こ~んなに直筆メッセージばかり書いてたら、明日には手が豆だらけになって豆味噌ご馳走したるわ~」…なんて意外とアメリカンジョークを真顔で言ってたりするかも。

冗談はさておき、一度はCDを聞いてみてください。とてもいい曲なんで。
今週も最後までお読みくださり感謝します。

◆追記◆
先週ご紹介した本田美奈子さんと岡村孝子さんはある病気を闘われました。実は私も同じ病気で療養中で体調不良と闘いながらブログを更新しています。不見識な点があるかもしれませんが、どうかご理解ください。



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