
私は33年間、音楽レーベルの仕事に身を投じ、それこそ人生の時間のほとんどを「Music Man」として費やしてきた。
56歳にして引退を決意したけれど、その原因は単純に言ってしまえば、そのまま継続することへの限界を感じ、60 歳定年後の人生に不安を覚えたからだ。
雇用継続して、会社にしがみついて給与をもらい続けると言うのは精神的に無理。
社会貢献したいと思っても、そのタイミングからだと市場にはたくさんの「定年退職者」が溢れるわけで、いろいろと難しくなってしまうだろう。
定年を迎える前に、いろいろと挑戦して定年後の生活に備えたいと言う思いがあった。
まあ、なによりも、55歳で引退しようという若い頃からの決意もあったのだけれど。
だからといって、音楽に興味がなくなったわけではない。
私は、生涯にわたって音楽を愛し続けて死んでいくのだろう。
だから、今できる音楽への貢献として、出会ってきたたくさんの音楽を紹介していきたいと思った。
本当に微力だし、影響力は皆無に近いだろう。
しかし、音楽に言及し続けることによって、自己のアイデンティティを保ったまま死ぬことができる。
その音楽を紹介する切り口に関しては、音楽史的に重要なものとか、世間で評価されているという基準は持ち込まない。
あくまで、自分が好きだと感じる「名曲・アルバム」を紹介するスタンスを貫こうと思う。
しかも、季節や天気といった「その日の要素」に対してフィットする曲やアルバムを取り上げていきたい。
音楽ってその作りは非常に論理的だし数学的なんだけれど、結果として私たちの心に現れるのは、非常に感覚的で論理性とは無縁。
だからこそ、その時節や天候といった曖昧な現象に、非常によく結びつく。
いわゆる「空気感」再現能力がある。
今回は、3月中旬以降4月上旬くらいまでの、春を強く感じる暖かい晴天の日にしっくりとくる作品をお届けしたい。
ちなみに、写真のロケ地は長野県佐久市にある「平尾山公園」。
上信越自動車道PAからアクセスできる"佐久平ハイウェイオアシス「パラダ」"、PAからエスカレーターでたどり着けるスキー場施設のあるところ。
見晴らしの良さが半端ないので、高速道路でPAに立寄ってぜひとも訪れてみてほしいところ。
屋内には瓶のコーラ自販機があって、なんとも懐かしい。
本日お届けしたいのは、そんなレトロな感覚にもマッチしたアルバム。
1987年3月発売のU2「JOSHUA TREE」。
いきなりどメジャーな作品でなんだかな…、かも知れないのですが。
Mr.Childerenがアルバム「DIscovery」のジャケットでパクっていたのでご存知の方も多いことでしょう。
さて、U2に話を戻します。
このアルバムはU2の最高傑作とも呼ばれているもので、その「Joshua Tree」ツアーの再現ライブが2000年代に入ってからあって、
私も大宮まで観にいきました。
けれど、リアルタイムで聴いていた私にとってこれは「異色作」であり、U2らしさの別面に思えています。
このあとバンドは、諧謔的にPOPスターを演じるわけですが、本来はもっと「冷たく」「真摯で」「硬質な」グループなわけです。
しかし、彼らはこのアルバムで見事に「別のバンド」となれたわけで、しかもプロデューサーなどの制作布陣は前作と同じという奇跡的な進化を遂げたのです。
心情的な変化が、そのまま音になって出てきたとしか思えません。
取り上げたのは、アルバム1曲目「Where The Streets Have No Name」。
確か奇妙な日本語タイトルがついていた気がしますが、覚えなくて良いでしょう。
ちなみにこのMV、楽曲が始まるのは2分30秒あたりからなので、最初は飛ばしてしまった方が良いかも知れません。
アルバム収録曲中最大のヒット曲で代表曲の一つでもあるのは「With or Without You」でしょう。
ほんと名曲で、私も大好きです。
けれど、あえて「Where The Streets Have No Name」を選んだのは、アルバムのオープニングにして、
アルバム全体の統一された空気感を発散し、しかも壮大なスケール感をもった楽曲だからです。
「春になったぁ!」という気分を最高に盛り上げてくれます。
自動車に乗って、雄大な景色の中をドライブしたくなります。
いや、大都会の中にあっても、青空や春の空気感を最高に盛り上げてくれます。
音楽って、素晴らしい!!
おまけで、「With or Without You」のYouTubeリンクも貼っておきます!
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