テニスのメモ帖

テニス好きが嵩じて、いままでのコーチ経験から書き綴ったものです。少しでも役立てばと願っております。

第90号

2010-05-08 08:20:44 | 日記

◇◆テニスのメモ帖◇◆

第90号

16/03/10

                                
   私が所属していた大学のテニス部も50年を迎え、テニス部OB
  庭友会(後援会)が50年史を編纂し、その一部に参加しますが、
  この後援会組織も700名近くとなり盛況を呈しています。その記
  念誌の一端でアンケートを取り、好きな選手を選んでもらいました。
                                
   結果は思い通りと云うか?圧倒的にローズウォールで、次いでマ
  ッケンローが入っていました。日本人とあまり違いのない体格に親
  近感があるのでしょうか?しかし、何といってもあの華麗なフォー
  ムと卓越したテクニックに垂涎の思いがあるのではないでしょうか。
                                
   特に、ローズウォールのバックハンドは、当時テニスを志す人達
  は一応に憧れていたと思います。それほどに素晴らしかった。いま
  のテニスでは全く期待できないものだと思います。今のテニスにこ
  れらのテクニックを期待するのは、テニスは力じゃないよ!と言い
  たいからだとも言えるでしょう。               
                                
   女子の場合は、クリス・エバートが根強い人気でした。アイスド
  ールと云われた無表情のプレーに女性より男子が喝采を送ったので
  はないでしょうか。ゲームが終わった時に一瞬見せる安堵したよう
  な静かな笑顔は一段と彼女を美しくしてくれました。そこに女王と
  しての貫禄を感じていました。                
                                
   プレーは特別際立ったものはなかったのですが、極めて標準的な
  スタイルでした。いまは女子でも打球時に声を発することが多くな
  っていますが、見るからに沈着冷静なマナーだけは印象に残ってい
  ます。やはりものが違うなと言う思いが強いです。       
                                          
                     

<スポーツ名言集 (37)>

 
 
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   初日に君たちは完璧を要求される。             
    次の日からは、もっとよくならなくちゃいかん       
                     -エド・バーゴ-   
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   アメリカ大リーグの審判総責任者だった彼が、開幕に望んで審判
  員各位に語った言葉と聞いています。何気ない言葉ですがその重み
  はズッシリと心に応えるものがあります。           
                                
   確かに審判員は、ルールブックを片手に試合を監視する役を担っ
  ていますが、開幕試合からシーズン終了までその判定に差があって
  はならないのです。常識的なものとして、何の不思議も感じない方
  がいらっしゃるでしょうが、逆に言えば選手も当然そうあるべきな
  のです。                          
                                
   今日は疲れたから、風邪を引いたからという自己管理の拙さを敗
  戦の理由にしてはならないのです。審判の拙さはジャッジの方法論
  ではなく、ルールの無知から来るものです。日本プロ野球の審判員
  だった二出川さんは、監督や選手が抗議すると自分がルールブック
  だと言って寄せ付けなかったそうです。斯くありたいと思います。
                                
   しかも、バーゴーはそれに満足するのではなく、次のステップに
  対して努力しなくてはいけないと諭しているのです。現在の自分に
  満足してしまったらレベルアップはそれまでです。たゆまぬ研鑽こ
  そが自らを高めることを忘れてはならないのです。       
                                
   スポーツをやってよかったと言う裏には、このような自己昇華が
  望めるからではないでしょうか?トッププレーヤーが示す謙虚な態
  度は、このような素地から生まれてくるものだと分かって頂ければ、
  この上ない喜びです。                    
                                

<テニスの原点(7)>

                                
   腹筋運動と平行して行ったトレーニングは、握力の強化でした。
  いまのような軽いラケットではなく、木製の重たいラケットを使用
  していましたから、インパクトでの爆発力を高めるには握力が大切
  なものと理解していました。                 
                                
   最初は握力を高める道具を利用していましたが、嵩張るためいつ
  でも持っているわけにはいかない。そこで思い出したのが、ソフト
  テニスのボールでした。これをコートや学生服に忍ばせて盛んに握
  っていました。                       
                                
   軟らかいボールですが、始めた頃はすぐ指が疲れて教室でペンが
  上手く握れませんでしたが、そのうち慣れてくるとポケットの中で、
  プシュという異様な音を出してパンクするようになりました。握力
  は定期的に測ったことはありませんが、その音を聞いて強くなって
  いると満足していました。                  
                                
   それから、当時野球では巨人ファンだった私は、川上選手の打撃
  エピソードの中で、車に乗ると電柱を的にして近付くとバットを握
  り締める動作を繰り返していたのを知り、バスの中で同じような方
  法でボールを握り締めていました。ボールをパンクさせるのが目的
  ではないわけですから、これは良い練習になりました。     
                                
   その意味合いは、インパクトにおける瞬発的な動作を身につける
  ものではないかと、自分なりに理解していました。それとスポーツ
  には絶対必要である動体視力の強化にも繋がると考えたわけです。
  このような繰り返しで単調なバス通学も苦にならないもので、やが
  て身について来たと思っています。              
                                
   このように当時は、先輩から練習のたびにボールを4個貰い、そ
  れを一日の練習の中で後生大事に扱う時代でしたから、テニスに必
  要なフィジカル・トレーニングは自分が考えないとどうにもならな
  かったものです。足腰を鍛えようと片道10キロの通学路を歩いた
  こともありましたが、これは疲れて授業どころでなくやめました。
                                
   効果の程は不明ですが、女子アスリートの人見絹江さんの自叙伝
  から、入浴の際に胸の辺りでとどめ、湯の中へ肩は絶対入れなかっ
  たとありました。説明では心肺機能訓練のためとあり早速実行しま
  した。このように情報は極めて少なかったので、先輩たちの話等か
  らヒントを得て自分で考えていました。            
                                

<コーチ雑感>

                                
   日本ではコーチ業が育たない環境にあると前にも書きました。こ
  れは紛れもない事実だと思います。その一番の欠点は、技術指導に
  終始しているからではないでしょうか?本当にバランスのとれた選
  手を育てるならコーチ学校なるものが必要と思われます。    
                                
   技術指導が大手を振って歩き回っているから、優勝経験者や優秀
  成績者が重視されるのです。これをしている以上は選手は育たない
  というのは云い過ぎでしょうか?やはり、国際的な選手にするため
  には技術偏重では限界があると思われます。          
                                
   一番大切な点は、個人の尊重だと思います。コーチが有名になっ
  てはいけないのです。選手個人個人が傑出すべきであって、コーチ
  がそうなってはいけないのです。それだけにそれに見合った報酬も
  当然加味されなければいけません。ボランティアを要求してコーチ
  にすべてを教えろと言うのはあまりにも虫が良すぎます。    
                                
   そのように云っている私自身は、ボランティア活動をしています
  が、これは部活と言う独特の世界でしか許されないものであり、本
  来はキチンとすべきだと思います。その分コーチはあらゆる方面の
  勉強をしなければならないのです。選手個人個人の個性を尊重して
  進めて欲しいものです。                   
                                
   反面、部活で先輩・伝統至上主義の中で育っている選手たちは、
  その枠から逃れないでいます。これらは先輩たちがその枠を外して
  やらなければ駄目なのです。企業では、上司は部下を選べるが、部
  下は上司を選べないのです。同様に現役の選手は先輩を選べない現
  実を察知し、後輩の成長を留めるサポートをしてはならないのです。
                                
   そのために先輩が為すべきは、まず話を聞いてやらなければなり
  ません。経験者である先輩が話したい内容は、後輩とは比べ物にな
  らないほど豊富でしょう。それを先に話しては後輩は語るべきもの
  を失ってしまいます。話したい、聞かせてやりたい気持ちは判りま
  すが、先ずは後輩の話を聞いてやってください。        
                                
   誰しもが経験していると思いますが、自分の話を聞いてくれてい
  ると言う体験は、確かに自分が尊重されているような気分になるの
  です。しかも、その内容に共感する態度を感じると、その時からあ
  なたは後輩に信頼される人間となるのです。しかし、そんなに簡単
  なものじゃないと云われるかも知れません。でも試してください。
                                
   自分として、そのような態度で望んでいるがそうならないと思わ
  れるなら、いま一度振り返ってください。例え話を聞いても、早く
  自分に話をさせろと言わんばかりではないでしょうか?後輩の話が
  終わるや否や、自分の話を始めていませんか?それでは全く意味の
  ない行動になるのです。                   
                                

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  ◎ 発行者 : 遠藤 侖允 (えんどう みちまさ)     
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