テニスのメモ帖

テニス好きが嵩じて、いままでのコーチ経験から書き綴ったものです。少しでも役立てばと願っております。

第414号

2016-01-16 14:50:40 | 日記
◇◆テニスのメモ帖◇◆ 第414号 平成28年1月15日
<今回の遅延理由>
   新年早々、手術の必要があり急遽入院しました。何とかベース部分は昨年度に作
 成していたので、休刊にしなくてよかったと考えています。TV関係では錦織の全豪
 オープンの話が飛び交っていますが、大事なのはこれからです。

  今後は、体調を整えてテニスに関するいろいろな情報をお伝えしたいと考えていま
 す。どうぞ忌憚の無いご意見を賜りたくよろしくお願いいたします。正月にスポーツ
 各種のコーチ各位の話も聞いています。これらも参考にしたいと考えています。

 <浅田選手の1年間休養について>
 
  現在の浅田選手の成績は決して良いものではないと思われます。勿論、順位そのも
 のではなく女王浅田としての地位は失われたと思わざるを得ないからです。宮原の台
 頭はそれを如実に現しているのです。

  そこには、宮原の絶え間ない努力の存在は明確だと思いますが、浅田の長期休養に
 於ける自分自身への精神的な負荷が予想外だったのではないかと憶測します。一般的
 な表現をするなら自信過剰から来た甘えと判断されるでしょう。

  浅田の休養前のコメントに頭を傾げたのは、「フィフティ・フィフティ」と言う表
 現でした。これを聞いたとき浅田は止めるつもりだと感じました。それだけに1年後
 の復活は驚きました。同時に大丈夫かなと言う疑問符が沸きました。

  基本的にアスリートの世界では、一シーズン試合に参加しないのは職場放棄と同じ
 で、特にメンタル面でのマイナスは大きなものがあります。練習はあくまでも試合に
 生かすためのものです。試合に出ない練習は実りがないのです。

  浅田がどのような1年間を過ごしたかは分かりませんが、再出場に於ける無残な自
 分の姿にどのような思いがあったのでしょうか?失敗のたびに変化する表情は存分に
 やりきったものではなく、心に沸き起こる苦悩でしかないようでした。

  新しい力が台頭するのは日常茶飯事のことです。すべてのアスリートがトップを目
 指して日々努力しているのです。1年間の休養はチャンピオンとしての安泰なポジシ
 ョンを確保するものではないのです。

  本気で復帰する気があるのなら、1年後の自分はどうあるべきか。台頭する新しい
 力をどう受け止めるべきか。これらをどこまで真剣に考えたのでしょう。実力がある
 だけに今の浅田を見ると止めるべきと思うのです。

  アスリートは、競技への参加を中心にして年間の成績で自己分析をします。中でも
 大事なのは考え方です。どのような場合でもネガティブではなくポジティブな考え方
 に終始しなければ結果は無残なものとなります。

  
 <NHKBS 奇跡のレッスンから・・・>
 
  1月2日・NHKが放映した外国有名コーチの一週間コーチの模様を興味を持って
 拝見しました。このような企画は興味があるし、多くのアスリートや部活コーチの方
 には、ぜひとも見て欲しいと思います。

  特に、今回は日本の関係者が集まりそのコーチ振りを興味深く見て、それぞれの感
 想からコーチングの考え方を知ったのは、今後に良い影響を与えてくれたと思ってい
 ます。気付いたことを報告しますので少しでも役立てば幸せです。

  表題の「奇跡のレッスン」の表現は、部活等でコーチングしている各位に対して失
 礼ではないかという思いがあります。集中した緊張感が選手の力を異常なほどアップ
 させることがあります。それを継続させるのは至難です。

  この番組を見て、コーチングスタッフがどのような感慨を得られたか分かりません
 が、いずれにしてもこのような形式の番組は、その経過を充分に把握した上で表現し
 て欲しいものです。もっと現実を踏まえたものを期待します。

  登場したコーチの分野は、フットサル・チアリーダー・テニス・バレー・バスケッ
 トでした。NHKの紹介では、その分野ではトップクラスのコーチとのことでした。
 どのような話が出るのか緊張しながらメモしました。

  全体を見て感じたのは、日本人と外国人での大きな違いとされている「個性」の解
 釈と思われます。これは陸続きで国境が明確でない国との違いではないでしょうか?
 日本の場合はどうしても団結(島国)が優先するのでしょうね。

  試合に臨むには、その中で技術の競合があるからレベルアップがあるのです。それ
 を否定するような心を強くすることを最優先し、早すぎる協調性にはいろいろな問題
 を惹起させると言うのが彼らの考え方のようです。

  あるコーチは、リーダーは背中で示し共に走るべきと言っています。コーチの言う
 ことは聞くがキャプテンの言うことは聞かないのは、努力する姿勢が皆を引っ張るん
 だと言う意味でしょう。そのためには共通のビジョンが持つべきなのです。

  自分らしいリーダー像を目指せばよいのです。細かいことを言わない代わりに自分
 が一生懸命にやれば良いのです。一致団結は必ずしもチームが仲良くなる必要はない
 のです。目標貫徹に対して如何にチームを纏めるかにあるのです。

  長期的視野と短期的視野といずれを採択するか?この中から新たな可能性を追求す
 るべきなのです。方向性の選択については、違う役割に逢い新たな可能性を追求する
 のです。自分の弱さ・強さをしっかり考えて欲しいです。

  互いの個性を一つの方向へ導き、この中で互いに挑戦しあうのです。これでそれぞ
 れの個性が輝き結果を得るのです。これにより、自分の強みを知ると人は羽ばたくの
 です。自分の価値観を考えることで役割が決まるのです。

  感情を殺すな!コントロールせよ!これはモチベーションを上げるとき感情論で話
 をしない。自分で限界を決めているのは決して良いことではないのです。マイナスも
 それをどう生かすかが大事なのです。

  緊張してはいけないときに緊張するのはそのまま緊張しよう。それはもう一人の自
 分がそれを如何に吸収するかにあるのです、決断力が必要なのは攻撃するのか守るべ
 きなのかを自分自身が考えるべきなのです。

  緊張しすぎて自分を見失ってはいないか?コートの中に監督は入れない。コーチも
 入れない。その場はあなた自身か、メンバーだけしか直接タッチは出来ない。このと
 きこそベストを尽くせば結果は出ると認識すべきなのです。

  練習のときからいつも試合を意識させることが大事なのです。一点の重みを徹底さ
 せるべきなのです。それだけに練習相手は強豪でなければならない。その試合こそ勝
 敗について得点をあげることについて明確にするべきなのです。

  ボールに対してどう対応すべきかを考える事が大事です。これらも教科書どおりで
 はなく、すべて自分で判断するべきなのです。ミスは過去のもの、現在について集中
 することが更に大事なのです。

  決してラケットを投げつけない。ミスはラケットのせいじゃない。自分の感情が次
 に影響しなければ問題はない。感情はどのような場合でもひこずらない。自分なりに
 ルール化して気持ちでは平常心を保つことです。

  5人の外国人コーチの共通点は、やはり個性の成長を大事にしているようです。ア
 スリートに対して個性の大事さを強調しているようでした。それと練習に対しての考
 え方が違います。自分の感情を極力抑えているようでした。

  東京のある中学バスケット部を1週間コーチしたもの。この一週間で彼が選手に植
 え付けた基本は「マインドセット」これは意識付けと訳されています。これはセカン
 ドネイチャーとも言われ練習で培われるものです。

  その意識付けをメーンとしてコーチングは展開されたのです。グループ活動だけに
 バスケで大事なものは一人一人の特徴を知ることです。試合よりも練習の大切さでは
 それを分かってもらうまで辛抱強く教えることでした。

  次いで表現されたのが、セカンドネーチャーこれは第2の本能とありました。異な
 る個性を伸ばせば、チームとして実力アップは間違いないとのコメントでした。その
 際に大事なのは褒めるときには褒めてあげることです。

  それはベストを尽くすことから、努力の結果を褒めることにすることなのです。こ
 れは本人の自信を生むことにあるのです。目標を持つこと・それを毎日確認すること
 その上で決して諦めないのが肝心なのです。
  
 
  ◎ 発行者 : 遠藤 侖允 (えんどう みちまさ)     
  ◎ メール : yaendou@po4.oninet.ne.jp


第413号

2016-01-01 00:04:50 | 日記
◇◆テニスのメモ帖◇◆ 第413号 平成28年1月1日
 <新年を迎えて・・・>
 
  平成28年 明けましておめでとうございます。多くの方にご愛読頂き心から感謝
 しております。テニス界も底辺の底上げがあり、世界へ向けての活躍が期待できるよ
 うになりました。今年も変わらずご愛読の上ご意見お願いいたします。

  今年のテーマは、メンタル面を中心に展開する積りでおります。リオ・オリンピッ
 クの年でもあります。メダル獲得の騒ぎがいまから聞こえてくるようです。このよう
 な時こそスポーツ界を冷静に見詰めなければいけないと思います。

  スポーツは確かに結果を優先します。目標を明確にするためには必要だと思われま
 す。しかし、人間が精一杯闘う中でいろいろなことが起きます。その争いの中で僅か
 な心の揺れが勝敗に影響することを考えて応援したいです。

  何時の頃かは記憶にありませんが、座右の銘としている言葉があります。論語から
 の引用で「恕=じょ」という言葉です。その意味は、「思いやりの心」と言われてい
 ます。これについて孔子と子貢の会話が残されています。

  子貢が「一言にして以って終身之を行うべきものあるか」その返答に孔子が「それ
 恕か。己の欲せざる所、人に施すなかれ」と即答しています。自分を最優先させるの
 が人間の本能です。その中で「恕」を実行するのは難しいのです。

  私自身は、この言葉を知ってから試合でのボディアクションを止めました。握手で
 始まり握手で終る試合で、ポイントゲットした際の一方的な雄叫びやガッツポーズは
 相手を思いやる気持ちとは乖離していると感じたからです。

  自分も相手も互いに気持ちよい試合展開だった、と感じるのがアスリートの真骨頂
 ではないでしょうか?ラグビー界での「ノーサイド」との意味合いも同じではないで
 しょうか?そのためにも、試合では相手ではなくボールを見詰めるべきです。

  このような観点から、少しテニスについて日頃から感じていることを考えて見たい
 と思っております。これは恩師福田先生のお考えの中心でもあったからです。立派な
 アスリートを育成するには最重要課題と認識しています。

  やはりアスリートの基本は、終始相手を思いやることがどのような場合にも必要だ
 と伝えたいのです。思い出すシーンでは星陵高松井選手への5連続敬遠でした。表情
 一つ変えないで一度もスイングしなかった態度には深い感動を与えられました。

 <気になった言葉・・・「異次元の世界」と「軍隊みたい」>
 
  「異次元の世界」は、羽生のスケートを目の辺りにしたアナウンサーの言葉です。
 しかし、これほど意味不明で失礼な言葉は無いです。羽生の素晴らしい演技に対して
 選択する言葉を見失い発せられたものでしょうか。

  羽生がどのような心境で試合に臨んだか、それが実感としてあるなら、彼が生活し
 ている世界での見事さを表現して欲しいです。何度見ても、そのバランスの良さは見
 事と言うしかないです。軸を中心にした動きの美しさを実感しました。

  言葉尻をとらまえる様ですが、私の言いたいのは別世界で起きたことではなく、今
 目の前で完璧に近い演技を見せてくれたその素晴らしさ、その努力のありようをその
 まま表現して欲しかったのです。

  彼が言う、誰にも負けないとの選手としての気概を果たし得た素晴らしさを、彼と
 共に喜びたいのが本音でした。それを異次元と言うのは、それは彼の実体ではなくそ
 れこそ別世界での出来事でしかないとなるのです。

  これを書いているとき、サッカー女子日本代表の澤が引退したと報じられました。
 晴々とした表情での記者会見は、観る人の心を揺さぶるものがありましたが、何とな
 く一抹の寂しさも感じられ複雑な心境でした。

  その会見の中で、引退を決意した理由として「心と技が最高のパフォーマンスを発
 揮出来なくなった」とありました。これらは、アスリートの努力の結果であり決して
 その場で唐突に出来たものではないのです。異次元と言う表現に疑問があります。

  次いで「軍隊みたい」と表現したのは、バレーボール界の名コーチの言葉です。あ
 る高校の男子選手のコーチするために来日したようです。すべてが日本のコーチとは
 違うようですが、彼の指示に従った生徒の行動から出た言葉です。

  日本の選手は、パターンの中に閉じ込められるコーチングに安心感があるのでしょ
 うか?想定されない行動をすると、全体の行動からはみ出るのを恐れるのでしょうか
 この姿を彼は「個性が無い」と断言しているのです。

  ある意味では。彼のコーチングの基本は個性を重視したものを追い求めているので
 はと憶測されました。そのためか練習を見た彼の行動はそれを打ち破らなければ選手
 として成長しないと方向を明確にしたのではないかと思います。

  最初にトスの大切さから、動きの中でトスをさせようとランニングしながらトスの
 練習を求めたのです。選手たちは指示通りに一つの方向へ向かって走りながらトスを
 繰り返したのです、それを見た彼のコメントです。

  規律正しく指示された行動をする選手を見て思わず表現したのでしょうが、それは
 正しくその通りなのです。彼の表現の裏にあるのは「個性がない」だったのです。練
 習から試合を考えないといけない意味合いが分かっていないと感じた言葉です。

  確かに試合になったら、どこからボールが飛んで来るか分からないバレーボールで
 す。だからこそ、変化するボールの位置を考えた団体行動的な動きは、ボールに対し
 て適切な行動を起こさないと勝つことは出来ないのです。

 <バレーボール・コーチ マルキーノス氏の指導について>

  子供たちをコーチする上で大切なのは、背中を押してやれば飛躍する子供たちが居
 ると言うことです。その上でチャレンジに大切なのは「いま、自分は何をしなければ
 ならないか」を思い出し考える習慣を植え付けることです。

  彼はコーチの世界に入るとき、教育学・心理学の勉強から入ったのです。実戦的な
 指導に徹底しないと強制的な指導で選手は育たない。また、コートに戻りたいと思う
 ような指導をして初めて生徒は付いて来るものと考えているのです。

  試合に勝ち楽しむ経験を与えたい。集中とバランスがあってこそボールを繋ぐこと
 が出来るのを忘れてはならない。楽しいから明日もやりたいと思うことが大事なのだ
 バレーではチームワークが重要であることを忘れてはならない。彼の本音です。

  練習では、最初からボールを使って行い、それで身体を温めることが大事、規律正
 しくではなくバラバラに動くことでボールを手に馴染ませるのです。ボールを使用し
 てどの程度コントロールできるかがポイントになるのです。

  ボールを使ってコート周りを走ると、殆どの選手が同じ方向へ向かって走り出して
 いる。しかし、バラバラに動くからボールが手に馴染ませることができるのです。ト
 スで大事なのは自分の頭の上でシッカリ取るべきなのです。

  いつもボールを落とさないようにとの単純な作業ほど集中力が必要となります。無
 理に形に嵌めないことを目指し、練習でもボールを落とさないように、絶えず試合を
 意識することが選手をレベルアップさせてくれるのです。

  ともかく試合を頭に入れてボールを確実に繋ぎボールを落とさないこと。バレーで
 は基本的な練習が大事であり技術の向上を目標とすること。練習においても仲間を思
 いやる態度が大切である。これらを忘れないよう心掛けよう

  練習だからこそ集中しなければならない。ともかくボールを落とさないようにして
 ボールを繋ぐことが大切なんです。チームの成功は一人一人に掛かっているのです。
 よいチームは単純なミスをしないし、ボールを確実に繋いでいるのです。

  彼のコーチを見ていて気付くのは、決して特殊な内容を要求しているのではないこ
 と。単純だがそれだけにその内容は厳しいものがあるのです。単純さの中でそれを間
 違いなく継続させる難しさを教えられた気がしました。
 
 
  ◎ 発行者 : 遠藤 侖允 (えんどう みちまさ)     
  ◎ メール : yaendou@po4.oninet.ne.jp