探し物は・・・

何かを探して見つからない時、悲しくなるけれど
探すものがあるって、それだけで、すてきなこと 

3月18日大阪にて その1

2012年03月25日 | My favorite books

神戸での用事がなかなか片づかず、予定が延び延びになり、昨晩やっと東京に戻ってきました
留守にしていた間に、ベランダのビオラやパンジーが鉢いっぱいに育ち、色とりどりの花を咲かせていました。
出かけるときには、まだ葉っぱしか出ていなかったムスカリも花芽をのぞかせています。
なんだか、 すっかり浦島の気分
3月18日の大阪アジアン映画祭最終日から、はや1週間。もう、古い話になりつつありますが・・・

前日の夜、雨が上がったので、ホッとしていたんですが、映画祭当日もやっぱり雨。 雨女でごめんなさい
13時上映開始の『星空』を目指して早めに家を出たら、12時過ぎに会場についてしまいました。
付近に人影もなく雨でぬれたウッドデッキにポツンと↓。 矢印の先にはホール入り口。
 
中をのぞくと、エントランスホールではスタッフミーティングの真っ最中。
クロージング上映は、香港映画祭も兼ねているからでしょうか、中国語名の名札を付けたスタッフも多いようです。
映画祭の締めですから、スタッフの皆さんも、かなり気合が入っている様子。お邪魔するのも悪いので、他で時間をつぶそうと入口を離れようとしたら、中から出てきた受付の方に呼び止められ「トークショーは1時から整理券を配りますが、早めに行ったほうがいいですよ」と。
そう、この日は、2時から近くの会場でピーター・チャン監督のトークショーもあったんです。
でも、私は1時から2時40分まで『星空』鑑賞予定。そうお話しすると、「あ、すみません、先ほどからトークショーのことで問い合わせが多かったので・・・」とのこと。
数日前に決まったトークショーですが、やはり、目指してこられる方も多かったようです。
入り口横のスケジュール表は手書きで。この方が、何かな?と注意をひくので、いいですね。

ABCホールは入口が狭いため、入場は上映15分前からなんです・・・と言われ、さて、どうしようか。雨も降ってるし・・・
とりあえず、雨宿りができそうな所へ移動したら、そこはまさにトークショーをやるビルだったので、ちょっとのぞいてみることに。
エレベーターをおりたら、ここにも手書きの表示。

運よく、あとで合流予定の友人たちに出会えて、一人で時間をつぶさなくてもすみました。

12時45分、ABCホール入場。300席ほどですから、本当にこじんまりとしたスペースです。
ポスター展には掲示されていなかった『星空』のポスターがステージ上に置かれていました(上映開始とともに移動されてしまって、後で見られず残念)
台湾の絵本作家ジミー(幾米)さんの作品は、『地下鉄の恋』、『ターンレフト・ターンライト』、『恋の風景』など、これまでもいくつか映画化、ドラマ化されていますが、台湾での映画化はこれが初めてだそうです。

タイトルの「星空 Starry Starry Night」は、ゴッホの「星月夜(Starry Night)」から。
ジミーさんの絵本を読んでいないので、このゴッホの絵がどんな意味を持つのか、映画を見るまで分かりませんでした。
この絵だけではなく、誰でも一度は見たことのある有名なヨーロッパの絵画が、いくつも出てきます。
本物の絵画ではなく、ジグソーパズルとして。
それは、フランスでの生活にあこがれ続ける母親の現実逃避の象徴でもあり、パズルを囲む家族3人の幸せな団らんの象徴でもある・・・
この"ジグソーパズル"という要素は、トム・リン監督のアイデアだそうです。
主人公の少女の夢の中で、家族写真のピースがバラバラとはがれおち、崩壊していくシーンは秀逸。
また、"ピースが1枚欠けた絵"も、ラストに大きな意味を持ちます。

日本公開が未定のこの作品。あらすじを書いてしまうのがもったいなく思えるので、なんとも中途半端な書き方になりますが、印象に残る場面がいくつもありました。
気になる転校生が文具店で万引きするのを見てしまった時の少女の反応。
万引きなんて考えたこともなかっただろう少女が、彼の後を追って、自分も、消しゴムや鉛筆をこっそりかばんに忍ばせる仕草に、"13歳"の揺らめきが見えます。
こんな気持ち、忘れていたな~。

ヨーロッパ調にしつらえられた少女の家。
木彫りの人形を作ってくれた優しい祖父が住む山の中の小さな小屋。
その小屋に続く山道の木々の緑。
少女が少年に見せたかった満天の星。
風景も記憶に残ります。

どのシーンも余分な説明が一切なく、見る側が思いを巡らせることのできる余白のある作品だと感じました。

それは、ジミーさんの絵本にも通じる余白だと思います。
その意味で、この映画は、原作の趣を十分に感じ取れるものになっているんじゃないでしょうか。
CGで描かれた折り紙の動物たちのマーチや、木彫りの青い象と並んで歩くシーンなど、絵本の世界がそのまま動いているような演出も、やりすぎ感がなく、なじんでいて、好感が持てました。
原作の絵本も日本の書店には並んでいないけれど、ぜひ読んでみたいです。
『星空』公式サイト


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2 コメント

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Unknown (フェイ)
2012-03-26 18:41:10
大阪では無理だなとあきらめていたので、レポとてもうれしいです。
山小屋へ向かうシーンはまさに絵本の感じですね。                   やはり台湾制作ということで、今までのどの映画よりジミーさんの色が大切にされているのかな。原作では大きく開くクジラのページがあったのですが、映画ではどうですか?
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クジラ・・・ (ゆきんこ)
2012-03-28 23:11:01
フェイさん

さすが、フェイさん。
すでに絵本の方をご覧になっているんですね。
映画でもエンディングロールに重ねて、ジミーさんの絵本のページがいくつかスクリーンに登場したんですよ。
クジラ・・・見たような気がするんですが、どんなシーンだったのか、思い出せず
ああ、もう一度見たい
木彫りの青い象は、よく覚えてるんですけど。
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