
『レッドクリフ』の戦いのシーンは、矢が飛んできたり、槍が刺さったり、馬が倒れたりするたび、後ずさりしそうになります。でも、怖いと言いながらも、しっかり目をあけてみているのは、かっこいいと思う場面がいくつも出てくるから。趙雲や関羽の登場シーンには誰だって目を奪われます。
ジョン・ウー監督と言えば、二丁拳銃、白い鳩、スローモーションだそうですね。それに加えて、この作品で、さすがだな~と思うのが、旗の使い方。
曹操軍の猛攻に敗走する劉備軍の最後の一騎となって、踏みとどまる関羽(この場面、監督のオリジナルだそうです。Part2への大きな伏線となっています)。いくら猛将とはいえ、多勢に無勢。取り囲まれて曹操の前に引き出された関羽ですが、彼が注意を払っているものは、唯一つ。敵軍の馬に踏まれた劉備軍の旗です。自分の命のことより、馬のひずめに踏みにじられている自軍の旗を取り戻すことのほうが、大事。関羽の劉備への忠誠心が、旗を見つめる視線に、強く表れています。敵将の乗った馬を押し倒し、旗を取り戻した関羽は、馬をも奪って去っていきます。その気迫に感じ入ったように、ただ見送る曹操。旗を翻し駆けて行く関羽の姿は、敵と言えども見惚れるほどなのでしょう。
もう一つ、後半のシーンで、司令官のいるべき櫓から戦闘の中に飛び込んでいく周瑜の持つ旗も印象的です。こちらは曹操軍の旗を奪い取り、それを武器として、敵をなぎ倒していくのですが、最後に、その旗を上下逆にして地面に突き立てるのです。さかさまになった「曹」の文字。もうこれだけで、曹操破れたり!の大宣言です。
旗のために命をかける姿がかっこいいと言いたいわけでは、決してありません。ただ、一言の台詞もなしに、旗とそれを見つめる視線だけで、すべてを表現している監督の手腕に拍手したいなと思うのです。
この作品には、反戦の願いも込めているという監督。最初に見たときは、正直、よくわかりませんでした。趙雲や関羽が、一点の曇りもなくかっこいい英雄として描かれているように見えたからです。
ですが、武将たちの華々しく活躍する戦闘シーンで、名もない兵士たちが何人も何人も倒れていくのを延々と映し出しているのは、「大義に殉ずる」ことの意味する暗く恐ろしい面も忘れるなという監督からのメッセージかもしれないと、思うようになりました。
「善と悪を100%分けて描くような単純さを求めるハリウッドでは作れなかっただろう作品」と、監督が語るように、その割り切れなさが魅力です。
追伸:ただ旗のシーンについての感想をと思って書き始めたものの、「かっこいい」のひとことでくくってしまうことに、引っ掛かりを感じてしまって・・・。
話が迷走してます。自分の中で消化できていないことを書こうとしたからですね
。きっと、見るたびに何かが感じられると思うので、3回目、4回目と足を運ぶつもりです。
趙雲が白龍に乗って
疾走しながら上から落ちてきた旗を取るシーンの旗は劉備の軍の旗でした?
何度も観ながらついチェックもれしてます。
監督は趙雲が好きなんだろうな~と想像させる見事なシーン(見栄えのする!)ですね。
反戦・・確かに前線で戦っている兵士達は本来その土地の農民とかも含まれてますよね。
大儀の為の戦い、家族を守る為の戦い。
金城さんがインタビューで(シネマTODAY)で触れておられますね。
まだ観ぬ「投名状」も色々考え(感じ)させられるだろうな・・と思います。
旗はいつも威勢よくバタバタと音を立てて翻り
勢いを感じさせてとても効果的。旗がだらりとしていては盛り上がりませんよね。笑
マントのようなものもやたら風をはらんでいて、
これからおこるとてつもなく大きな困難に立ち向かっていく高揚感が沸き起こってきます。(パート2はもっとかな?)
監督、風の使い方もさすがと思ってしまいました。
今日も六本木で@回目鑑賞してきました。今日はあの上から降ってくる旗をはっしと捕まえるシーンが「あ!劉備の旗だわ~」と思いましたので、多分「劉」の字かと思いますです!
ゆきんこさん、関羽に出だしするなと曹操が言うと、部下が「ちぇ、またかよぉ」という顔しますよね?
曹操は強い武将は例え敵でも好きなんです!曹操にとって関羽はアイドル同然。さて曹操はどうやって追撃をかわすか、パート2の楽しみですね~
先週末、日本語吹き替え版を見てきました。
そのおかげで、画面の全体を見渡しながら鑑賞できました。
毎度、趙雲子龍が劉備に阿斗を返すまでの活躍で涙・涙です。
そして、ジャジャジャ~ンと関羽の登場には思わず拍手。
ヒーローが、すばらしく素敵に描かれていますね!
また、飛び散る歩兵の血の粒が大きく表現されていもいて
始めは「いやだな~」と思っていたのですが
これが、真実の戦いの様、
監督が「反戦」の想いとして表現しているのかな?
なんて思いました。
みのりさん、家族や大事な者を守るためなら…きっと誰でも戦わざるを得ないのでしょう。
私も「投名状」楽しみです。
フェイさん、風になびく旗に心が躍りました!
次郎藍天さん、曹操が関羽を見つめる目が印象的です。いかにも「可愛い奴」と思っている表情ですね。
写真入りの検証、ありがとうございます。
胸のつかえが取れた気分です!
ゆきんこさん、この場をお借りいたしました。
フェイさん、本当にどうしてあんなに美しく旗も衣もなびくのでしょう!わくわくします。
「下集」ではいよいよ孔明が「風」を借りるのも楽しみです。
ちりさん、反戦とも思いつつ、武将達の登場と盛り上げる音楽の相乗効果で
「よし!いけ!!」と血が沸き立ちます。
大好きなアニメ「NARUTO」鑑賞時と似た気分です。
次郎藍天さん、曹操って人材収集家ですね。
で、関羽を「お気に入り」なのはパート1では含まれないエピソードを上手くはしょって説明してるな・・と感心しました。
>趙雲が白龍に乗って疾走しながら上から落ちてきた旗を取るシーン
恥ずかしながら、このシーン、次郎藍天さんのブログで拝見するまで、浮かんできませんでした
趙雲が馬から身を乗り出して、飛んでくる槍をはっしとつかむシーンばかり思い出しちゃって・・・あれは旗じゃないしと、悩んでました。
>旗がだらりとしていては盛り上がりませんよね
確かに。
旗も、趙雲の翻る衣裳も、風あってこそですね。
『リターナー』の撮影で、あの長い革コートをかっこよく翻すためにいろいろ工夫したという金城さんの話も思い出しました。
Part2では、風=孔明さんというシーンが出てきそうですね。
楽しみです。
ブログ拝見しました。
丁寧な検証をありがとうございます
上から降ってくる旗に、ちっとも気付いてなくて・・・
次回、このシーンを楽しみに見に行きます。
>曹操は強い武将は例え敵でも好きなんです!
趙雲の戦いぶりを見て「あんな猛将を手に入れたい」とも言っていますね。
「疑っていては人は使えぬ」という台詞も曹操を魅力的に見せているなと思いました。
吹き替え版、きっと画面の見え方が違うんでしょうね。
字幕版は、字のほうに意識が半分は行ってるような気がします。
>監督が「反戦」の想いとして表現しているのかな?
映画は見る人の数だけ解釈があるでしょうから、それぞれが、受け止めればいいんじゃないかと思いながら見ています。