375's ROAD TO BOSTON/ゴールは虹の彼方に

米国在住ランナーの究極目標「ボストンマラソン」とアメリカ50州制覇を目指す人生の旅日記。

【大会レポート】第117回ボストンマラソン(117th Boston Marathon)+爆破事件ドキュメント

2013年04月22日 | 大会レポート 2013


★ボストンマラソンの前日に行なわれた5Kレースのスタンド風景。平和の祭典そのものの雰囲気だったが・・・

4月15日(月曜日)、マサチューセッツ州の祝日(Patriot's Day)に開催された伝統のボストンマラソンを走る。
今年で第117回。快晴で気候も涼しく、絶好のマラソン日和となった。
舞台の幕開けは、ボストン中心部から26マイル離れた郊外の街ホプキントン(Hopkinton)。
このスタートラインに立つまでに何年かかっただろうか・・・

ボストンマラソンを走るためには年代ごとに設定された資格タイムをクリアしなければならない。
才能のある人にとってはそれほど難しくないかもしれないが、平均的な市民ランナーにとっては決して簡単ではなく、それなりの練習と経験を積んでいかないと、なかなかそのレベルには到達しないものだ。自分の場合は、2004年のニューヨークシティマラソンが初の公式レースだったので、なんと走暦10年目での初舞台となる。

ちょうど、下積み生活の長かった演歌歌手が念願の紅白歌合戦に出場したようなもの、と例えることもできるだろう。

フルマラソンはこれが41回目。すでにベテランと呼ばれてもおかしくないほどの域に達しているつもりだったが、今回ばかりは、初マラソンの時と同じような緊張感があった。

自分のコラル(WAVE2の第7コラル)に入ってみると、今まで参加したどのレースよりも若い女性ランナーの比率が大きいことに気がつく。ボストン資格タイム(BQ)には30分の男女差があり、3時間30~39分台のタイムで出場できるのは、男性の場合は55歳以上に限られる・・・という事情があるので、このタイムゾーンは圧倒的に女性多数なのだ。そうなると、当然ながら、モチベーションが大きくなり過ぎるのをいかに自制するか・・・という闘いになっていく。

そしていよいよ夢の26.2マイルがスタート。ボストン市内のゴールを目指して長い波乗りが始まった。

Mile 01: 8分21秒(08分21秒)
Mile 02: 8分13秒(16分34秒)
Mile 03: 8分15秒(24分49秒)
Mile 04: 分10秒(32分59秒)
Mile 05: 分14秒(41分13秒)
Mile 06: 分08秒(49分21秒)

2マイルまでがホプキントン(Hopkinton)。それ以降はオリジナル・スタート地点があったアシュランド(Ashland)となる。
スタートから一気に下って、ぐぐっと上り、また下っていくという序盤戦。基本的に4マイルまで下り基調が続くので、できるだけ脚を使いすぎないように摺り足走法で進む。

5マイルからはフラミンガム(Framingham)。どの街もローカル色あふれる応援風景が楽しい。
体もいい感じに温まってきたようで、ここからしばらくはマイル8分10秒以内のペースになる。

Mile 07: 分08秒(57分29秒)
Mile 08: 分09秒(1時間05分38秒)
Mile 09: 分15秒(1時間13分53秒)
Mile 10: 分20秒(1時間22分13秒)
Mile 11: 分15秒(1時間30分28秒)
Mile 12: 8分07秒(1時間38分35秒)
Mile 13: 分14秒(1時間46分49秒)
中間地点通過: 1時間47分44秒

7.5マイル過ぎからナティック(Natick)に入る。なるべく周囲のランナーに合わせて飛ばし過ぎないように進んでいくのだが、時おり後ろから颯爽と追い抜いていく美女ランナーもいるので、ついつい追って行きたい誘惑にかられそうになる。
そこをいかに我慢するか・・・が前半のポイントかもしれない。

そうこうするうちに12マイルに到達。女子大で有名なお待ちかねのウェレスリー(Wellesley)に入る。
ここだけは思い切り楽しもう・・・ということで、コースの右沿いの位置をキープしたまま、いつ果てるとも知れない女子大生の手から手にハイタッチ。さすがに他のランナーのように抱きついたりキスをしたり・・・という余裕はなかったが、黄色い大声援の中で時間を忘れるひとときを過ごすことができた。

やがてハーフポイントを通過。1時間47分44秒。
自己ベストのミルウォーキーの中間タイムより1分遅いだけという快調なペース。
このままイーブンなら3時間35~36分くらいでまとめられるだろう・・・そのような計算も一瞬頭をよぎったが、それはとうてい甘い見通しだったことが後になって思い知らされることになる。

Mile 14: 分18秒(1時間55分07秒)
Mile 15: 分12秒(2時間03分18秒)
Mile 16: 分11秒(2時間11分29秒)
Mile 17: 分39秒(2時間20分08秒)・・・上り1
Mile 18: 分41秒(2時間28分49秒)・・・上り2
Mile 19: 分27秒(2時間37分16秒)
Mile 20: 8分52秒(2時間46分08秒)・・・上り3

16マイルで運命のニュートン(Newton)に入る。ここからが、いよいよ上り坂攻撃の始まり。
17マイル目の最初の坂、18マイル目の2番目の坂。どちらもややペースを抑えつつ無難に乗り越える。
18マイルを過ぎたところでチアガールの仮装をしたじょうちゃんが追いついて来た。
「一緒に写真を撮ってもらおう!」といわれたので、写真ポイントを並んで通過。それからじょうちゃんは颯爽と前へ行ってしまった。やはり坂に慣れている人は違うなぁ・・・と感心しながら、19マイルまでの比較的平らな区間で疲れを抜き、再び20マイルの上りへ。ラップも9分近くかかるようになってきたが、3番目の上り坂を越えた時点で「大きい坂はあと1つ!」と自分に言い聞かせながら、残り6マイルのラスト・クウォーターに突入した。

Mile 21: 分56秒(2時間55分04秒)・・・上り4(Heart Break)
Mile 22: 分13秒(3時間03分17秒)
Mile 23: 分38秒(3時間11分55秒)・・・上り5(???)
Mile 24: 分40秒(3時間20分25秒)
Mile 25: 分56秒(3時間29分31秒)
Mile 26: 分04秒(3時間38分35秒)

そしていよいよハートブレイク・ヒル。道路にもハートが割れる絵が描いてあるので、まさしく「これ」とわかる。
難所中の難所という覚悟があったので、思ったよりは早く終わったかな・・・という印象。マイルペースも9分以内に押さえ、坂を上りきった時に一度離されたチアガールのじょうちゃんにも追いついた。「まだ余力がある」と判断し、ここからの下り坂は一気にペースを上げていく。8分13秒。いつもなら、ここまま押し切って行けそうな展開に思われた。

しかしボストンのコースが手ごわいと実感したのは、ここからだった。なんとブルックライン(Brookline)に入る23マイル目でもう一度上り坂に出くわしたのである。「あれっ、上りはもう終わったんじゃないの?」という動揺が微妙にリズムを崩す。たいした坂ではないはずなのに、これが最後の決定打になり、残り3マイルは体力レベルが急速にガタ落ちしてしまった。

まさに「強打者は打ち取ったものの伏兵にやられた」という感じである。24マイル、25マイルは比較的平坦にもかかわらず8分台後半を維持するのが精一杯。これだけ脚を限界まで使い切ったレースも最近記憶にない。残り1マイル、BOSTON市街地に入り、沿道の大声援を浴び、遠くに見える青いゴールゲイトに向かいながら最後は気力だけで走り続けた。

そしてついに・・・10年間夢に見た初ボストンのゴールゲイトに到達!

Finish Time 3時間40分26秒(8:25/mile)。

41回目のフルマラソンでは自己歴代5位(1位のミルウォーキーから6分02秒落ち)。
13回目のワールドメジャーマラソンでは自己歴代1位(従来の1位は2009年シカゴの3時間41分36秒)。

という結果となった。

欲をいえばBQラインの3時間40分を切りたかったが、コースの難易度を考えれば、よく健闘したほうかもしれない。
16マイル過ぎの坂対策は今後の課題になるだろうけれども。

それにしても、初めてのボストンはやはり新鮮だった。申し込み後の丁寧なインストラクションから、レース前日のEXPO、当日のアスリートヴィレッジ、本番のコースに至るまで、ランナーの聖地と呼ぶにふさわしい雰囲気に満ちあふれていた。

まさに「夢が実現した1日」・・・と、感動的なエンディングにしたいところだったが・・・

ここからは歴史的事件のドキュメントとなる。

■フィニッシュラインを通過後、水を支給しているエリアは素通りし、次のエリアでゲータレードを受け取る。
■女性ボランティアから完走メダルを受け取る。
■バゲージ・エリアの入り口で、このレースを最後に帰国する「どららの相方」さんと出会う。しばしの間、立ち話。
■自分のバゲージを預けたバスを探している途中、かめさんとすれ違う。
■バゲージを受け取った直後、同じバスからバゲージを受け取ったちゃきさんと出会う。
■脚のダメージがあったので、ちゃきさんと別れた後、しばらくの間、バゲージ・エリアの入り口付近で休む。
■突然、ものすごい爆発音が聞こえる。
■周囲にいたランナーは皆、「何があったのか!?」と顔を見合わせ、爆音のあったゴールの方向を振り返る。すぐさま2回目の爆発音。白い煙がもうもうと上がっているのが見えた。
■サイレンとともに救急車、消防車があちこちから駆けつける。
■騒然とした雰囲気の中、宿泊ホテル(シンフォニー・センター近くのMidtown Hotel)に戻る。すでにチェックアウトしていたので、預けていた荷物を受け取り、着替えを済ませ、Prudendial Centerのフードコートへ行こうとしたが、すでに警察が入り口に集まり、立ち入り禁止になる直前だったので、トイレだけ借りて、その場を離れる。
■会社の同僚から安否確認の電話が入る。どうやらTVなどで大騒ぎになっているらしい。
■ボストン・コモン公園の近く、Park Plaza Hotelに隣接したオーブンパンが営業していたので、簡単に昼食を済ませる。
■地下鉄(Boylston駅)は封鎖されていたため、徒歩でサウス・ステーションへ。
■5時頃、サウス・ステーション到着。バスの時間まで余裕があったので、インターネットで情報収集。家族からも安否確認メールが来ていたので返信しておく。
■7時30分発ニューヨーク行きのバスに乗車。無事ボストンを脱出する。

今回のマラソンで自分がゴールした時、ゴールゲイトの公式時計はWAVE2の3時間44分54秒を指していた。
最初の爆発が起きた瞬間の公式時計はWAVE3の4時間09分43秒
WAVE2とWAVE3のスタートは20分差なので、それを含めると、44分49秒の時間差が運命の分かれ道となった。

今は犠牲となった人たちのご冥福、負傷された方々の早期回復、そして事件の全容解明を祈るのみである。

■MEMO■
総合順位 11396位/?????人中
男女別順位 7947位/????人中
年代別順位 504位/???人中

前半ハーフ 1時間47分44秒
後半ハーフ 1時間52分42秒
(落差 +4分58秒)

 
★ボストンの町中に掲げられたフラッグ。街をあげての祝祭モードで盛り上がっていたが・・・


★前日に行なわれた5Kレースのフィニッシュライン。まさにこの場所で事件が起きた。


★EXPO会場の入り口。翌日の晴れ舞台を夢見て、世界中からランナーが集まる。


★NUMBER PICK-UPの会場。ナンバーごとに並び、ゼッケンを受け取る。


★2013年の通称「ボスジャケ」。今年は大会カラーの青と黄色を基調としたオーソドックスなデザイン。


★ホプキントン(Hopkinton)のスタート会場「アスリート・ヴィレッジ」の入り口。


★アスリート・ヴィレッジ内にある「Welcome to Hopkinton」の看板の前で記念撮影。

 
★WAVE2の第7コラルでスタートを待つ。女性ランナーが多く華やかな雰囲気。 

 
★15K付近。無料のダウンロード・サイトから拝借。 


★完走メダルとお土産のCLIMA COOLシャツ。2013年の大会は世界のマラソン史上、特別な意味を持つものとなるだろう。

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