私にとってのPerthはここだ、という場所を見つけた。
前々から呼ばれているような氣がしていた場所。
私はあの人に出逢って、自分をゼロにリセットしてから
この場所に来ることに始めからなっていたのだと思えた。
Gから借りた本に鳥の羽のしおりを挟み、家を出た。
CityでNetをするつもりで電車に乗ったのだが
途中アナウンス「Claisebrook」が耳に入った瞬間、
降りなければならない気がして
閉まろうとする扉をすり抜け、外に出た。
それとなく、それとなく、呼ばれている方へ、感覚のまま進む。
閑静だがオシャレな家並と噴水の街の路地裏を進むと、
シンプルなCAFEがあった。
『こういうの好きだな』
子供用の本屋を見つけ、自分の夢について再認識する。
『今日は自分の感覚と夢を思い起こさせてくれる日だ』
目の先に、緑のPARKが見えた。
AUSのPARKは芝生と木が生えているだけのスペース、
と言い換えられる程に何もない所が多い。
ただの広場だと感じるPARKもある。
なんて意味のある自然なのかと心動くPARKもある。
今回は間違いなく後者だった。
Riversideを歩く。
水が石が緑が美しい。
こんな間近にPerthの象徴「BlackSwan」を見たのも初めてだった。
カモとカモメが何百羽も木の下で休んでいた。
近づくと、何の警戒心もなく私の周り四方八方を囲んだ。
歩くと不器用についてくる


カモメがすぐそば半径1mの距離を同じ速さで飛んでついてくる。
鳥が目の前の木に止まり、さえずった。
信じられない自然や、鳥たちとの同調を体験し
万事に感謝されてる気持ちになった。
今までしてきた事、他人の為に使った時間、人に与えた言葉、
全て間違いじゃないよと言われた気がして
こんな気持ちを久々味わえたPerthのこの地に、
あの人に感謝したくなった。
あの人が言った。
水の結晶を研究している人がいった事には
ある湖の結晶はそれはそれは神秘に値する美しさであり、
逆に都市の水の結晶はぐちゃぐちゃでかわいそうだ、と。
生き物に心があるように、水にも心があるという。
ある同じ場所から採取した水を3つに分け、
1つには「ありがとう。大好きだよ」と声を掛け続ける。
1つには「バカ。大嫌いだよ」と声を掛ける。
1つには声も掛けず、無視をする。
結果、感謝の言葉を掛けた水は、美しい結晶を生み出した。
悪口を言い続けた水の結晶は、崩れていた。
無視し続けた水は、何の法則性もないぐちゃぐちゃな結晶だった。
今、私の周りにいる鳥たちに、水に、木々に、
迷わず「ありがとう」と声を掛けた。
先へ進むと、大きな鳥の形をしたベンチがあった。
イラクとイスラエルの和平を記念したベンチだった。
そのベンチから丘の上まで道が続いていた。
道を歩いたその短い時間で、私の心は満ちた。
道の端にはいくつもの文字が彫ってある。
見ると、世界の様々な国の言葉で「PEACE」を意味する文字だった。
日本語で「平和」、点字も彫られている。
なんて美しい道だろう。
私がこないだ書道家に
「漢字一文字をプレゼントするよ。何がいい?」と問われ、
迷わず「道。」と答えたのも、この道に出逢うためだったと思え、
Perthに来たのも、こうして心をリセットするためであったと思え、
昔から言葉に興味があったのも、こうして文章を通してみんなに伝えるためであったと思え、
自分の興味あることも、出逢っていく一人一人と深く共感していくためであったと思え、
今日鳥の羽をしおりにして本を持って出たのも、鳥たちと時間を共有するためであったと思え、
全ての事象が必然的な因果関係で結ばれているという論を実際に味わうことが出来た。
目で見るもの、波紋。
耳で聞くもの、さえずり。
肌で感じるもの、風。
目まぐるしく変化する自然の情景に、五感全てが忙しくて
本を開く時間がなかった。


ありがとう to you
