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lightwoブログ

競馬のスポーツとしての魅力や、感動的な人と馬とのドラマを熱く語ります。

応援せずにいられない

2005-06-01 00:15:39 | 心に残る名馬たち
一頭抜けた馬がいる。
その馬が強い勝ち方をする。
これが競馬の醍醐味である。

勝って不思議の無い馬が何頭もいる。
馬の調子や、展開によって、勝ち馬が変わりそうなレース。
その中から勝ち馬を探す。
これも、競馬の醍醐味である。

そんなレースに、自分の好きな馬が出走する。
その馬がなかなか勝ちきれない馬でも、こういうレースだとチャンスに思えてくる。

その馬は一昨年、昨年と2年連続で1番人気だった。
そして、前哨戦を勝ち、ここへ臨んできた。
その戦跡だけを聞くと、このレースの主役かと思える。
だが、今年はおそらく1番人気になることは無いだろう。

この馬は一昨年が一番チャンスだった。
明け4歳にして重賞初制覇。
次のレースはレコード勝ちで重賞2連勝。
いよいよ、未完の大器が本格化したかに思えた。

レースでは天性のスピードを生かし先行するいつもの競馬。
直線入り口で先頭に立ち、府中の長い直線を粘りに粘った。
だが、ゴール直前に後ろから差されて小差の3着。
負けてなお強しの内容で、G1を勝つのは時間の問題のように見えた。
事実、その後にヨーロッパへ遠征し、本場のG1で小差の2着に入り、世界的評価も高かった。
そんな馬が、G1どころか2年間も勝利から見放されてしまうとは思いもよらなかった。

スピードはあるのに、その力を制御しきれない。
前へ前へと気持ちばかりが空回りする。
しかし、負けても負けても走り続ける。
その姿は強かった頃よりも、いとおしく思えてくる。
そして、この馬の強さが忘れられた頃に、2年ぶりの勝利をあげる。

今年こそはと・・
今度こそはと・・
そう思わせてくれる馬である。

応援せずにいられない馬である。

頂点への道

2005-05-06 23:30:00 | 心に残る名馬たち
先日読んだ、岡部幸雄全史で自身が勝ったG1レースを振り返っていた。
その中に、グリーングラスで勝った天皇賞がある。

グリーングラス。
天馬トウショウボーイ、貴公子テンポイントと共に3強と言われていた馬。
だが、スーパースターの2頭に比べ、グリーングラスは第3の馬だった。
結局、その評価を覆せないまま、ライバルたちは次々にターフを去っていった。
だが、この馬はその後も走り続け、後に天皇賞、有馬記念を勝ち年度代表馬に選ばれた。
生き残れば、走り続ければチャンスは回ってくる。
この馬の話を読んで、思い出した馬がいる。

その馬もクラシック戦線では3強と言われ、ライバルたちとしのぎを削っていた。
クラシック最終戦の菊花賞を制し、この馬の古馬になってからの飛躍が期待された。
しかし、翌年は3強の一角だったライバルにどうしても勝てなかった。
そのうちに、後から頭角を現してきた馬が、どうしても勝てないその馬のライバルとされてしまう始末。
結局、G1を7勝したそのライバルには大きく水を開けられたまま、先に引退されてしまった。

私はその頃の、この馬は嫌いだった。
情けない、だらしない、そんな理由で。

ライバルが引退しても、この馬は現役に留まった。

ライバルの引退後の緒戦。
人気は年下の馬たちだった。
だが、ここで60kgの斤量を背負いながら、直線の叩き合いを制するという底力を見せての勝利。
ライバルのいないレースで、若い馬などに負けられるかと言わんばかりの走りに心が熱くなった。

次走でも、年下の馬との戦い。
その年下馬は3歳にしてジャパンカップを制した、前年の年度代表馬。
だが、レースではその年下馬が直線でもたつくなか、悠々と前を走り楽勝。
ベテランらしい落ち着いた走りに、貫禄すら感じとても清々しい気持ちになった。

そして、3回目の挑戦となる春の天皇賞。
過去2回はいづれもライバルに屈したが、今年はもう居ない。
今年こそは勝てる、ようやくチャンスが回ってきた。
そう思った。

しかし、前年に菊花賞、有馬記念と連勝した年下の馬に、前走破った前年の年度代表馬に後塵を廃し3着。
昨年、一昨年と同じくまた3着だった。
このとき私はとても悔しかった。

秋の緒戦となった京都大賞典。
天皇賞で遅れを取った年下の馬たちは、このレースには居ない。
もちろん堂々の1番人気。
レースでも3~4コーナーで先頭に取り付き、直線であっという間に抜け出す横綱相撲での圧勝。
理想的な、強い馬の強い勝ち方。
この馬の強さが誇らしかった。

その後の秋のG1では結局、勝つことができなかった。
だが、頂点を目指しひたむきに走り続ける、その姿を応援しつづけた。
その、ひたむきな姿に惹かれていた。

ただ、ひたむきに頂点への道を走り続ける。
自分もそうあり続けられるだろうか。

怪我

2005-04-28 02:21:00 | 心に残る名馬たち
競走馬には怪我がつきものである。
その中でも、特に厄介なのはやはり屈腱炎だろう。
この単語を新聞やホームページで見かけると嫌な気持ちになる。
スターホースが現れると、その馬の将来に期待する。
しかし、この嫌な単語により、すべて壊されてしまう。
そして、能力のある馬ほど、この病にかかりやすいことを思い知らされる。
だがら、スター候補が現れると、ただ無事にいってくれることを祈るのだ。

運悪く、この怪我を発症したスターホースは、そのまま引退してほしいと思っている。
なぜなら、もう怪我の前の走りはできなくなるからだ。
好きな馬の走る姿は観たいけど、無様な走りは観たくない。
そう思うからだ。

でも、今年の中京記念ではその病を克服した馬たちが1着2着となった。
その走りは、全盛期のころと遜色ないもの。
そんな姿は、人の心を熱くさせる。
まだまだ、走る姿を観ていたくなる。

その後の、大阪杯ではその馬たちの明暗が分かれた。
片方は怪我を克服しての復活。
もう一方は、怪我を再発して引退。

そして、復活した馬は今週末、再び盾に挑む。


サラブレッドの競争生命は儚く短い。
だから、レースではその凝縮された命の分、感動が生まれるのだと思う。

勝とうとする

2005-04-26 00:47:00 | 心に残る名馬たち
必死に勝とうとする馬がいる。

そういう馬を初めて観たのは、競馬を覚えたてのころだった。
深夜番組でやっていた、昔のレース映像。

競馬を知らなかったころでも、名前は聞いたことがあったアイドルホース。
そのころは、なぜ世間が騒いでいるのかよくわからなかった。
でも、実際に走る姿を観たら、すぐにそれがわかった。

地方からやってきた怪物といわれた馬。
中央入りしてからは連戦連勝。
でも、当時のルールではクラシックには出られない。
だから、果敢に年上の馬に挑戦し、やがて頂点に手が届くところまできた。

しかし、そこで初めて自分より強い馬と出会った。
走っても、走っても、追いつかず、最後は苦しさのあまり寄れてしまった。
完敗。

自走も同じ馬に勝てずに、3度目の対決。
そのレースで、ライバルは引退してしまう。
相手を負かす最後のチャンス。

そのレースでは直線で、後ろから来る相手に並ばれそうになる。
しかし、この馬には絶対に負けたくないと言わんばかりに、前へ前へと体を伸ばして、とにかく相手より前に出ようとして、とにかく勝とうとして。
結局、最後まで抜かせずに、初めてライバルに勝った。
それは昭和最後の大レースだった。

そして、翌年の走りは過去の映像なのに感動のあまり涙が出るものだった。
直線半ばから、その年の春のチャンピオンと叩き合いを続けて、勝ちきったレース。
直線で不利を受けながらも立て直し、前の馬まで迫ったが、また勝てなかったレース。
直線入り口で先に引き離されて、とても届かない位置から内に潜り込み差し切ってしまったレース。

そしてなにより、次のレースが一番感動した。
当時は日本で走っても、かなり厚かった世界の壁。
G1連闘という考えられないローテーション。
尋常ではないハイペース。
そんな状況でも、その馬は必死に勝とうと前の馬を追い続けた。
結果は、クビ差届かなかったが、当時の世界レコードの2分22秒2。

勝ったレースも、勝てなかったレースも、必死で勝とうとする。
その走りにみんな心を動かされたんだ。
そして、私も心が熱くなった。

勝てないかも知れない。
それでも、勝とうという気持ちを、勝とうとする姿勢を出さなければならない。
その想いは、きっと周りにも伝わるはず。

輝き続ける

2005-04-23 00:19:00 | 心に残る名馬たち
挑戦し続ける。

ドバイで初めて日本馬が勝利したとき、騎乗したジョッキーは勝因を聞かれてこう答えた。
「来たから勝てた」

行っても勝てる見込みは少ない。
でも、行かないことには絶対に勝てない。
挑戦しない時点でもう負けている。

それ以来、その馬を見る目が変わった。

失格になってしまったが、現役最強馬を差し切ったときは衝撃を受けた。

その後も、国内では頂点は極められず、勝てる舞台を求めて再び海外へ。
引退レースでも挑戦し続ける。

そのレースでは、直線で内にささりもう終わったと思った。
しかし、そこから羽が生えたかのような末脚を見せて見事に栄冠を手にした。

通算50戦。G1挑戦20戦。

やはり挑戦し続けることが大事なんだ。
負けたってまた挑戦すれば良いんだから。

行きたがる気性

2005-04-22 00:04:00 | 心に残る名馬たち
今年の日経賞を思い出した。
折り合いが全くつかなくての惨敗。

この馬を知ったのは一昨年の秋。
そのときはセレクトセールで1億5千万の馬が、北海道所属の地方馬にまんまと逃げ切られたとしか思わなかった。
その年の暮れには重賞に出走してきたが、新馬戦を圧勝したスター候補の良血馬に目を奪われていたので全く気にしていなかった。
結果は並居る良血馬を抑えてのまたも逃げ切り。
だが、このときも有力馬が後ろで牽制していて展開に恵まれたとしか思わなかった。

気持ちが動いたのは翌年の弥生賞。
重賞を勝っているのに地方馬のため、このレースで2着以内に入らないと皐月賞に出られない。
そんな負けられない状況の中、堂々と勝利をもぎ取り、鞍上でのガッツポーズ。
自らの道を、自らの力で切り開いた姿に心が振るえた。

皐月賞では出し抜けをくらい、とても届かない展開からの物凄い末脚。
それでも、栄光には届かなかった。
だが、ダービーへの切符をもぎ取った2着だった。
ダービーでは今まで見せたことの無い弱点を見せての惨敗。
折り合いがつかず、先へ行きたがる。

秋のセントライト記念、またも地方馬ルールのため皐月賞2着馬が菊に出られないかもしれない痺れる状況。
ここでも先に行きたがる弱点を見せ、強引に先頭に立つ競馬。
普通なら惨敗する展開だが、最後まで踏ん張ってのレコード勝ち。
ウィナーズサークルに戻ってきたときは、たくさんの拍手で迎えられ、その光景に涙が出そうになった。

菊花賞では今までと違い、しっかり折り合っての逃げ。
決して、有利とは言えない距離なのに、直線で交わされてもまだ頑張る姿に胸が一杯になった。

次のJCはこの馬を応援するのにかなり戸惑いを覚えた。
直線で一旦交わされてから、信じられない根性を見せての差しかえしての2着。
素晴らしい内容だが、複雑な心境だった。
今までの戦友がその背中にいなかったから。

そして、有馬記念。
有馬で勝てば、もう騎手を変えたりできないだろう。
だから、勝ってほしかった。
でも、全くらしさを見せることなく惨敗。

そして、今年初戦の鞍上には、あの渾身のガッツポーズをした男の姿は見られない。

行きたがる気性。
もっと、気楽に力を抜いて行ければ良いのだけれど。
だが、周りのペースが本当に正しいとは限らない。
だから、不器用な生き方でも果敢に前へと進もう。