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競馬のスポーツとしての魅力や、感動的な人と馬とのドラマを熱く語ります。

一番大事なこと

2006-10-08 22:32:31 | 競馬観戦記
いよいよ秋競馬だ。
この府中開催になるといつもそう思う。
そして、秋競馬の開幕といえば盾への前哨戦。
毎年豪華なメンバーが集まり超G2と呼ぶ人もいる。
今年も素晴らしい馬たちが集まった。
その出走馬と秋の陽気に誘われ東京競馬場を訪れた。

久しぶりの府中は色々と変わっていた。
駅からの連絡通路が綺麗になり正門も改装されていた。
そして、何より目を惹いたのは世界最大のターフビジョンである。
レースとパドックとオッズというように三つのスクリーンとして使える。
もちろん三つをつなげた超ワイドな映像も映し出せる。
だが、やはり馬は直接見たいのでいつものようにパドックへ向かった。

これだけの豪華メンバーだからと色々な馬に視線を向ける。
でも、ついつい彼のところで視線が止まってしまう。
いつものようにのんびりとした様子で時折尻尾を振る。
秋の日差しで栗毛が輝き、薄い皮膚には血管が浮かび上がっている。
競馬を使っているからか体も引き締まって見える。

次に繋がるレースをしてくれれば。
それを一番に願い、今日はあまり過度な期待をしないことに決めていた。
それでもこの姿を見るとこのメンバーでもと思ってしまう。
騎手を乗せて地下馬道に姿が消えた。

本馬場入場では前走と同じようにポストパレードを行う。
ややテンションが上がりそうになる自分を抑えるように。
今日も行きたがらずにいけるよな。
心の中で彼に語りかけた。

ターフビジョンにスターターの歩く姿が映し出される。
同時に早くもゲート入りを始める姿も映し出される。
このビジョンでしか見られない映像と共にファンファーレが響き渡る。
G2とは思えない歓声と共にゲートが開いた。

ターフビジョンには二つの映像が映し出される。
通常の映像が左側。
真ん中と右を繋げたワイドな画面に引きの映像。
この府中独自の引きの映像で中団に控えた彼を観ていた。

前走は振り返ってみると掛かりそうになっていた。
だから最後方まで下げざるを得なかった。
まだ、完全に自分を抑えられているわけではない。
彼の折り合いだけを心配しながらビジョンを見つめる。

馬群の外目を進んでいるのを確認しドキッとした。
前に馬を置かずに暴走するのではないかと。
だが、そんな私の動揺を他所に彼はスムーズに競馬を進めている。
極端に控えることも無くごく自然に。
しかし、3~4コーナーの勝負どころで前に上がっていった。

ああ、やってしまった。
また引っかかって暴走してしまった。
恐れていたことが現実になったかに見えた。

でも、よく見るとそんな感じではない。
前には春のマイル女王も同じタイミングで上がって行っている。
器用なレース運びをする彼女と同じレース運びをしているのだ。
あの一生懸命走りすぎる不器用な彼が。
4コーナーでは先行集団にスーッと並びかけに行く。
このレース振りは差し馬のそのものである。

よし行ける。
ここまでの理想的な走りに今日初めて勝ちを意識した。

直線入り口からグイグイ追われ前の馬に並びかける。
ここから突き抜ける。
そう思ったとき前の馬たちが満を持して追い始める。
そこから一気に突き放された。

瞬発力の違い。
本来はこういう脚が使える馬が後ろから行くのだろう。
彼は平均的にいい脚を長く使うタイプ。
だからずっと前で競馬をしていた。

こういう形になれば不利なのは分かっている。
それでも彼は突き抜けられるんじゃないかと思ってしまう。
だって、彼は全く諦めていない。
前の馬を抜き去ることしか考えていない。
レースを自分で止めていた彼はもう居ない。
彼は自分に勝ったのだ。

結局、前を捕らえることはできなかった。
しかし、私には彼が勝ったかのような満足感があった。
もう彼は大丈夫。
そう自信を持って言えるから。


次はいよいよ本番となる。
勝てるかどうかは分からない。
でも、彼はきっと勝ちに行くだろう。
どんなに絶望的な状況でも勝利を諦めないだろう。

それが一番大事なことなんだ。
勝ち負けよりも、もっと、ずっと。

第85回凱旋門賞

2006-10-02 03:58:35 | 競馬観戦記
私はいつから夢を見なくなったのだろう。
私はいつから夢を追いかけなくなったのだろう。

自分には無理だと何度も思い知らされたからだろうか。
手にしても夢と現実が違うことを知ってしまったからだろうか。

それが大人になったということなのだろうか。
胸の奥は昔から何も変わっていないというのに。

大好きな競馬も同じような気がする。

観始めた頃は名馬たちの走りに大きな夢を見ていた。
自分の好きな馬たちの未来は輝いていた。

増えていった知識の分だけ夢を見なくなっていった。
破れた夢の分だけ現実だけを見るようになっていった。

そう、彼に出会うまでは。

最初は彼に夢を見なかった。
夢が夢ではなかったと思う瞬間が怖かったのかもしれない。
知らず知らずの内に心にブレーキをかけていた。

だが、彼の走りは私の想像を超えていた。
気が付けば彼から目が離せなくなっていた。

それでも私は彼に大きすぎる夢は見られなかった。
達成できるだろうと思える夢だけを見ていた。
その夢は叶えることができた。
でも、次の夢は見るのが怖かった。

過剰な期待をするから落胆する。
頭ではそう理解している。
だが、夢を見るとはそういうことなんじゃないか。
そんな胸の奥から溢れて来る想いを止めることができない。

今日という日が来ることに怯えていた。
そして、今日という日を心待ちにしていた。

久しぶりに自宅のテレビで見る彼はパリの日差しを受け輝いていた。
ライバルたちを従えて堂々と歩く姿は誇らしかった。
その姿だけでもう十分だった。

ここまで来れた。
それだけで満足だった。

しかし、夢はここでは終わらない。
決着を付けなければならない。
それが競馬だから。

夢見ていた舞台へのゲートが開いた。


良いスタートを切った。
そのまま先頭を切る勢いで上がって行く。
しかし、そうはならなかった。

上手く折り合い、周りに合わせて進んで行く。
途中、ライバルが先に行くのをやり過ごす。
もうヤンチャだったあの頃とは違うのだ。

3コーナーを回り下り坂に入っても落ち着いている。
外目の3番手をいい感じで進んでいる。
直ぐ内にはディフェンディングチャンピオン。
前にはその馬を破った同厩舎馬。

フォルスストレートも抜群の手ごたえ。
対照的に内の馬は軽く手が動き始める。
4コーナーを回り前のライバルに並びかけた。
まだ手綱は持ったままで。

直線に入り並びかけた馬の手が動き始める。
だが、彼はまだ追い出さない。
ワンテンポ遅れて追い始め右鞭が入る。
ライバルを競り落とし先頭に立った。

この瞬間、私は夢を見た。
と、同時に夢が夢で無くなる瞬間も見えていた。

外から3歳馬が伸びてくる。
彼はいつものように伸びていかない。
いつものように飛んでくれない。

いや、飛べないこともあると分かっていたはずだ。
分かった上でそれでも飛べると夢見てたはずだ。

私は飛べなかったと理解しながらも彼を応援した。
心が応援することを止めようとはしなかった。

彼は飛べなくても懸命に脚を伸ばしている。
日本でもやったことの無い叩き合いを続けている。
残り100mの手前で一瞬、差し返してグイと前に出た。
だが、この馬が先頭だったのはそこまでだった。

ジワジワと前に離されて行く。
後ろから牝馬が鋭く追い込んでくる。
ゴール板を通過したのはその後の3番目だった。



夢は叶わなかったのかもしれない。
でも彼は私に大事なことを思い出させてくれた。
彼に出会わなければ夢のことなど考えもしなかっただろう。

私はまた夢を見ることができるだろうか。
いや、できるような気がする。
今日の気持ちを忘れなければ。

一つの夢の終わりは新たな夢の始まり。
彼の新しい夢はなんだろう。
私の夢はなんだろう。
夢見ることはやはり楽しい。

第40回スプリンターズS

2006-10-01 19:14:51 | 競馬観戦記
安かったから。
豪州の調教師はこの馬を購入した理由を笑いながらそう語った。
その値段はおよそ11万円。

そして、彼はこうも語っている。
この馬に人生を変えてもらった。


海外の調教師はライセンスを得るだけでは収入を約束されない。
馬を集めレースに勝利しなければ生活がままならない。
実際、豪州では6割以上の調教師が別の仕事もして生計を立てている。

彼も調教師とは別にタクシーの運転手の顔を持っていた。
住んでいた場所はキャンピングカー。
小さなカントリー開催が主戦場で大都市開催での勝利すらなかった。

だが、お買い得だった愛馬が走り出してから全てが変わった。
オーストラリアを出たことも無かった男が海を渡った。
ロイヤルアスコットでの勝利という栄誉を得た。

彼は単に運が良かっただけではない。
愛馬が調教中に暴れて頭を30針縫う大怪我をしたことがある。
そのとき馬と気持ちを通じ合わせることの大切さを痛感した。
それからこの馬と共に多くの時間を過ごし良い関係を築いてきた。
今では非常に素直になり彼の手を煩わすことは無くなった。

愛馬は現在、世界一のスプリンターの称号に王手をかけている。
三カ国目のチャレンジとして極東の島国までやってきた。
チャンピオンの座を賭けたゲートが開いた。

昨年の覇者にして香港の英雄と呼ばれる馬が飛び出した。
全盛期を思わせるかのようなスタートダッシュ。
だが、スピードではこの馬も負けてはいない。
直ぐに追いつき先頭に並びかける。

更に内と外から二頭、スピード自慢の馬たちが競り掛けに来る。
直後に内の馬が控えたが先頭の三頭は並んだまま進んで行く。
前半の600mを32.7で通過。
見た目にも時計的にも前には厳しい展開となった。

そのままの体制で4コーナーを回る。
そこからはスタミナを急激に奪い取る坂になっている。
前半あれだけ激しくやり合いあれだけ飛ばせば普通はここで止まる。
だが、この馬はそこから力強くもう一伸びし後続を突き放した。

どんな国でもどんな馬場でも関係ない。
ただ、一番速い馬が勝つ。
そう言わんばかりの走り。
正にスプリントチャンピオンに相応しい走り。
そのまま後続を引き離しゴール板を駆け抜けた。


これでスプリントチャンピオンの座は確定した。
次の夢は四カ国でのG1勝利に贈られる100万ドルボーナス。
このレースの前にボーナスの使い道を聞かれた彼はこう答えた。
新しいタクシーを買うかもしれない。
ロイヤルアスコットを勝つ前にライセンスの更新はしているから。

その後、笑ってこう付け足した。
でもその必要はもう無いかな。

彼らの夢は続いて行く。

夢への旅券

2006-09-25 21:30:19 | 競馬観戦記
今年も二冠馬が西のトライアルから始動した。
三冠を目指し誰もがその馬に注目する秋初戦。
だが、私は他にどうしても気になる馬が居た。
いや、正確に言えば気になる人馬が。

このコンビを意識したのは牡馬三冠の初戦。
馬群が密集した勝負どころで果敢にインを付いた鮮やかな手綱捌き。
瞬時に抜け出す一瞬の切れ味。
人馬一体となった素晴らしい走りだった。

しかし、次の競馬最高峰の舞台に鞍上の男は上がれなかった。
もう二度とこの人馬を見ることは出来ないと思っていた。
だから、このレースでコンビが復活するのを知ったときは胸が高鳴った。

秋の主役は鞍上との深い絆がクローズアップされている。
だが、この人馬もずっと二人三脚でやってきたのだ。
違うのは一緒に戦うことが出来なかったことだけ。

でも、今回は違う。
またあの時の走りを見せて欲しい。
この馬の鞍上にはこの男が一番だと知らしめて欲しい。
どうしても、そんな想いが湧いてくる。
クラシック最後の一冠へと続くゲートが開いた。

道中は中団を進んで行く。
いつもはもう少し後ろで末脚勝負に賭けるはず。
だが、鞍上は当日の馬場を考慮し調教師と相談していた。
無理に抑えずに出たなりの場所で行くことを。

少し前には二冠馬が掛かり気味に進んでいる。
一方、この馬は馬群に包まれてもピタリと折り合っている。
まるで、鞍上を信頼しているかのように。

3コーナー過ぎの勝負どころで二冠馬が動いた。
激しく手綱を動かし先行馬に外から並びかける。
同時にこの人馬も上がって行く。
こちらはほとんど馬なりの抜群の手ごたえで。
この対照的な手ごたえに思わず力が入った。
無意識の内に鞍上の名を叫んでいた。

直線では外に持ち出す。
内側から鞭を入れ更に外へと進路を取る。
この馬の最大の武器、一瞬の切れ味。
それを最大限に生かすために馬場の良いところを選んだのだ。

内では激しい叩き合いが行われていた。
前半折り合いを欠いた影響か二冠馬は抜け出すのに苦労している。
それでもこの馬は並ばれたら負けない。
持ち前の勝負根性で他馬を競り落とし先頭に躍り出た。
その瞬間、外から物凄い勢いで何かが飛んできた。

全てはこのため。
この一瞬を生かすために。
このために今までやってきた。

並ぶ間もなく先頭を交わしたところがゴール板だった。
鞍上の男は思わず右の拳を前に突き出した。
あまりにも、あまりにも嬉しかったから。
私も目頭が熱くなった。


チャンスをくれた調教師、そして厩舎のみんなのために勝ちたかった。
こういう結果になれて師とみんなに感謝している。
鞍上の男はレース後、声を詰まらせながらそう語った。

春には手からこぼれ落ちた夢への旅券。
秋を迎えてようやくその手に舞い戻った。
人馬の絆という暖かな光景と共に。

The Pride of Japan

2006-09-24 18:53:43 | 競馬観戦記
照りつける日差しが肌を刺す。
秋と言うにはまだ早いと思わせる太陽が眩しい。
でも、暑さのわりに汗をかいていないことに季節の移り変わりを感じる。

負けられない戦いが始まる。
この馬はいつもそうだ。
いくら実績を積み重ねても大舞台に立つことが難しい。
何度もそれに失敗してきた。

今度こそは手にできるのだろうか。
盾へと続く扉を開く鍵を。
彼がパドックに現れた。

チャカチャカと足踏みをしながら周回を始める。
首をグッと下げて引き手をグイグイと引っ張る。
二度、三度と鼻を鳴らし、気迫に満ちている。

二周目からはチャカつくのを止めて歩き出す。
首を下げ前を見つめ高ぶるものを抑えるようにグイグイ引っ張る。
引き手は両手で手綱を持ち、後ろに重心をかけて抑えている。

私が以前に観たときはもっとのんびりとしていた。
そのレースは見せ場も無く惨敗に終わった。
今日のこの気迫が良い方に出るのではないか。
そんな期待に胸を膨らましながら彼を見送った。

誘導馬より先に馬場入りした彼は直ぐにでも走り出しそうな素振り。
返し馬でも走りながら何度も首を下げて鞍上を振り落としそうな勢い。

これは今日も引っかかるな。
でも、気迫が無いよりは絶対に良いはず。
久々に彼の走りが観られる予感にますます胸が高鳴った。

秋の盾は国際競争のため、外国馬は無条件で出走できる。
だが、日本馬の彼は今日の結果如何では出走することができない。
国際G1勝ちの実績があっても。

そんな不条理を彼に背負わせ続けるのは酷な事だろう。
だが、彼の挑戦が無ければここまで周知されなかったはず。
そして、負けられない戦いに勝利する彼の姿に私は心を打たれた。

だから彼は今のままがいい。
今のまま挑戦を続けて欲しい。
負けられない戦いのゲートが開いた。


一瞬、出遅れたかに思えた。
それくらい今日の彼はスタートダッシュをゆっくりと出た。
いつものように前につけて4角先頭をイメージしていた私はうろたえた。
中団馬群の最内で1コーナーを回った。

切れる脚を持っているわけではない。
前へ行っての粘りこみが持ち味である。
どこかで早めに上がっていかないと間に合わない。
ヤキモキしながら向こう流しに目をやる。

彼は相変わらず馬群に包まれながら最内を進んでいる。
これでは前に行くどころか外にも出すことができない。
馬群に飲まれたままゴールのを想像し背筋が寒くなる。

私は焦り、入れ込み、まるで引っかかっているようだった。
それとは対照的に彼はあの位置でも落ち着き折り合っている。
3コーナーから勝負どころに入った。

内ラチ沿いを少しずつ上がって行く。
だが、前にも外にも馬群の壁がある。
4コーナーでは先頭に立つことは不可能だろう。
末脚自慢の馬たちとの直線での追い比べになる。
今回も切符を手にできないのか。
私はこの時点で負けを覚悟した。

4コーナー入り口ではまだ中団馬群の真っ只中だった。
しかし、コーナーワークで内目の利を生かして馬群を捌いた。
直線入り口では先行馬群に取り付くところまで来た。

内から脚を伸ばしてくる。
だが、外の馬たちも同じように脚を伸ばしてくる。
馬群から抜け出すことが出来ない。
彼の姿が馬ごみに紛れて一瞬見えなくなる。

ああ、終わった。
やっぱり今日も駄目だった。
私が勝負を諦めた瞬間、彼の姿が再び目に入った。

最内を付きしぶとく脚を伸ばし続けている。
鮮やかな切れ味などでは無い。
諦めることなく、ただ前の馬を抜かそうと必死に喰らいつく。

いつもの彼の走りだ。
そうだ、彼はここからなんだ。
ここからいつも彼は驚異的な走りを見せてくれたんだ。
ここからだ、行け。

ジワジワと更に脚を伸ばす。
決して後ろには下がらない。
鋭い決め手を持つ外の馬にも競り負けない。

ついに先に抜け出した先頭の馬に馬体が重なる。
更に外から馬群が迫る。
内を進む彼の姿がまた隠れる。
そのまま、もつれるようにゴール板を通過した。

その瞬間、私は大きく息を吐いた。
それは出走件は確保出来たという安堵の吐息だった。
それと彼の走りに対する感動の吐息だった。


彼をずうっと観続けてきた。
彼の最大の武器は粘り強い走りだと思っていた。
でも、それは違っていたようだ。

彼の最大の武器はあの最後まで諦めない心なのだろう。
どんなに苦境に立たされても闘争心を失わない強い心なのだろう。

日本の誇り。
遠い異国の地でそう呼ばれた。
私も彼を誇りに思う。

彼を応援し続けることに誇りを持ちたい。
彼のようになりたいと思える自分に。

今からでも

2006-09-10 18:47:23 | 競馬観戦記
汗が滝のように流れてくる。
今週から秋競馬だというのに夏と変わらぬこの暑さ。
じりじりと照りつける日差しの中で私は彼を待っている。

残暑の厳しいこの時期に一線級の馬はまだ始動しない。
ましてや今日のレースはハンデ戦である。
トップクラスの馬が出走するようなレースではない。
だが、彼は今日このを訪れている。
かつてはG1で一番人気になった彼が。

パドックに現れた彼は強い日差しを受け栗毛の馬体が輝いている。
盛んに尻尾をブンブンと振り回し、時折鼻を鳴らす。
でも入れ込んでいる素振りは無く外目をゆったりとした歩様で進んでいる。
いつの間にか年をとった彼がやる気を見せている。
そのどこかおかしな仕草に思わず微笑んでしまった。

本馬場入場でも彼は落ち着いていた。
誘導馬の真後ろをのんびりとついて行く。
後ろの馬たちが列を抜け返し馬に入ってもポストパレードを続けている。
ゴール板で先頭が立ち止まってもそれを追い越しまだ歩き続ける。
坂の手前で振り返り返し馬に入る。
ゆったりとしたキャンターにも落ち着きを感じる。

今日も掛からずに行ける。
心の中で私はそう呟いた。
自分に言い聞かせるように。

競走馬にとってスピードとは不可欠な要素である。
天性のそれが備わっている彼はトップホースとなれる器のはずである。
だが、彼はその才能に溺れる様に自分を見失っていった。
力の違いで先頭に立っていたはずが、他の馬から逃げるようになっていた。
ゴールの前に自分でレースをやめてしまっていた。

もう一度輝きを取り戻すために彼は新たな試みを始めた。
自分自身を抑え皆と一緒でも怖がらないこと。
使うべきところで天性の才能を発揮すること。

年齢的には自分を変えるのには遅いのかもしれない。
でも、変えなければ生き残れない世界なのである。
自分の力を証明し周りから必要だと思わせなければならないのである。

それは簡単な事ではない。
だが、彼は何度も何度も試行錯誤しようやく光が見えてきた。
今日もその成果が出せるのか。
それを試すべくゲートが開いた。

五分にスタートを切り、そこからジワリと抑える。
無理やりな感じは無く、もう逃げなくても大丈夫になったのだろう。
心配事が一つ減ったようなホッとした気分になる。
だが、それもつかの間だった。

抑えるにしてもやりすぎなくらいどんどん後ろに下がっていく。
いつの間にか後方から二番手。
まずいと私は思った。

今日は開幕週で絶好の馬場コンディション。
早い時計で前の馬は簡単には止まらない。
逆に後ろから追い込むのはかなり厳しい。
さらにトップハンデの斤量が末脚を鈍らせる。
後ろのまま終わる姿を想像した。

3コーナーを回り勝負どころに入る。
彼を探して馬群の後ろに視線を移す。
最後方にいるのをようやく見つけたときに胸が高鳴った。
そこから弾ける様に上がってきたからだ。
4コーナーでは大外に持ち出した。

直線に入り内にいる馬を次々に交わしていく。
猛然と中山の急坂を駆け上ってくる。
彼の天性の才能を生かして。

前の方では逃げた馬が粘っている。
内の方から脚を伸ばしてくる馬がそれを追う。
だが、それらは全く目に入らなかった。
後ろから脚を伸ばしてくる彼の姿だけを見ていた。
最後まで諦めずに懸命に脚を伸ばしてくる彼の姿を。
天性の才能を存分に発揮し輝いてる彼の姿を。


彼に残された時間はあと僅かだろう。
もう決して若いとは言えない。
それでも自分を変えようと努力し続けた。
そして、実際に変わることができた。

私は彼が自分自身だと思えていた。
何をやっても上手くいかない彼が。
でも、今日の輝いていた姿も同じ彼である。

今からでも遅くないよな。
彼にそう言われた気がした。

夏の終わり

2006-09-03 21:32:13 | 競馬観戦記
涼しい風を感じる。
夏が終わろうとしている。

競馬の夏も終わろうとしている。
ふと、それを感じたくなった。
心のままに新潟へ行くことにした。

初めて訪れた新潟競馬場。
そこは噂に違わぬ素晴らしい場所だった。

まだまだ新しさを感じさせる建物。
長い直線に沿うように敷き詰められたスタンドの芝生。
夏の日差しを受け、この場所全体の綺麗さが際立っていた。
これほど清潔感を感じる競馬場は見たことが無い。
私は一目でここが気に入ってしまった。


そうこうしている内に一番楽しみな時間がやってきた。
名物の直線1000mレースである。
私は一番スタート地点の近くで見ることにした。
といっても、ゲートは遥か700m程先。
かろうじて見えるそれは強い日差しで蜃気楼のように揺れていた。

ファンファーレが鳴りゲートが開いた。
いや、開いたのだろう。
それすらも肉眼では良く分からない。
しばらくすると徐々に点が大きくなり色が付き始める。
やがて、遠くから微かに足音が聞こえてくる。
点だったものは馬の姿をかたちどっている。

疾走する馬とジョッキーがはっきりと見え始める。
その刹那、蹄の音が轟き外ラチ沿いを馬群が風のように通り過ぎる。
あっという間に今度は後姿が小さくなって行く。
そのスピード感に圧倒され、G1のゴール前のような興奮を覚えた。
F1観戦なんかがこんな感じなのだろうと思わず想像してしまった。


夏の締めくくりといえば2歳ステークス。
終わりかけの夏の日差しを受け出走馬たちの馬体は輝いて見える。
まるで明るい未来が待ち受けているかのように。
この時点ではまだどの馬もクラシック候補生。
輝かしい未来へと続くゲートが開いた。

内馬場に遮るものが無いこのコース。
向正面でも馬群を確認することができる。
どんどん左側に流れて行き遠い遠い外回りの3コーナーに差し掛かる。
4コーナーを回った直線の入り口ではまた馬たちが点にしか見えなかった。
長い長い直線は600mを超える。
外に大きく広がり長い長い叩き合いが始まった。

馬群の真ん中から一頭力強く抜け出してくる。
そのしっかりとした足取りは父を彷彿とさせる。
日本最高峰のレースで後の二年連続年度代表馬を差し切ったときのような。
私はそれを目の前で見ていた。
あの馬の仔が目の前を走っている。
時が経つのは本当に早い。

いつの間にか一頭競りかけてきた馬がいる。
馬体を併せての激しい叩き合いになった。
夏の終わりを締め括るに相応しい熱い争い。
長い直線をたっぷりと使った長い戦い。
ほとんど鼻面を並べてゴール板を通過した。

どっちだ。
固唾を呑みながらリプレイを見つめる。
あの馬の仔が僅かに勝っているのを確認した。
嬉しさと懐かしさがこみ上げてきた。


スタンドに気持ちの良い風が吹いている。
夏競馬の熱を冷ますかのように。
夏を少しずつ追いやるかのように。

何もかもが輝いて見えた季節はもう終わり。
今度は自らの内側から光を放たなければならなくなる。
やがてやってくる厳しい冬に凍えないために。
それを越えた春に花を咲かせるために。

だが、それは来年の話。
先ずは直ぐそこに迫ってきた実りの季節である。
春に咲いた美しい花達はどんな実を迎えるのだろう。
そして、海を渡った大輪の花は異国でも咲くことができるのか。
本格的なシーズンの到来に胸が躍る。

でも、今日くらいは夏の余韻を噛み締めたい。
あれほどまで美しく熱い夏の終わりを感じたのだから。
同じ夏はもうやってこないのだから。

旭川ナイトレース

2006-08-29 22:21:50 | 競馬観戦記
日本のナイター競馬は三つある。

大井のトゥインクルレース。
川崎のスパーキングナイター。
そして、旭川のナイトレース。
今日は関東以外で唯一の夜の競馬を楽しみにこの地を訪れた。

着いたのは夕暮れ時。
まだ明るくナイター競馬という雰囲気ではない。
人も疎らで平日の地方競馬の見慣れた風景といった感じ。
スタンドの感じもコースもごく普通の小さな競馬場。
特別なものを期待してきたので少し拍子抜けした。
だが、徐々に夜の闇に覆われてくるにつれ違う場所に変わっていった。

会社帰りと見られる人たちが続々と来場してきた。
家族連れや若いカップルなどもチラホラ。
馬の空気が一気に華やいで来た気がする。
夜になったとたんにこの競馬場の良いところも見えてきた。

スタンドにはジョッキーシートと呼ばれるパラソルつきのテーブルがある。
そこで食事をしながら談笑する家族連れや若いカップル。
4コーナー側には芝生の区域がありバトミントンをする親子連れ。
正門付近には屋台が並び普通にお酒を飲む若者たち。
皆、思い思いにこの空間を楽しんでいる。
大井のトゥインクルとも少し違うこの光景はどこか懐かしい気がする。
記憶を辿ると幼い頃の事が脳裏を過ぎった。

そう、それは近所の小さなお祭りの夜。
単に屋台がいくつか並んでいるだけなのになぜかワクワクしていた。
そんな日はなんだか夜が長く感じられたっけ。
今日、私はナイトレースで心が童心に返っている。
足取りも軽くパドックに向かった。

馬名が手書きの掲示板。
手を伸ばせば手が届きそうな馬との距離。
眼も眩むようなカクテルライト。
光を浴びて堂々と歩くサラブレッド。
その光景を飽きること私は眺め続けた。

本馬場入場でスタンドに居た子供たちがはしゃぎだす。
柵にかじりつく様にダートコースの馬たちを眺めている。
その姿を見て誘導馬がそこへ近づいてくる。
外ラチぎりぎりの位置でスタンドの方を向いたまま立ち止まる。
子供たちは大興奮で誘導馬を食い入るように見つめている。
こんな微笑ましい光景がこの場所には良く似合う。
レースが始まった。

一周、1600ほどのコースなので向こう正面も肉眼で見える。
ターフビジョンは小さくても特に問題は無い。
3コーナー付近が勝負どころでそこから仕掛け始める。
4コーナーを回り徐々にこちらに近づいてくる。

市街地から離れているため夜空は墨を塗ったように暗い。
その中に忽然と浮かび上がっている特別な空間。
目の前で熱い競り合いを見せる馬たち。
なんて幸せなひと時だろうか。


自分を育ててくれた景色が無くなってしまうことがある。
だが、胸の中にある景色までが消えてしまうことはない。
例え色褪せたとしても確かにそのとき何かを感じたはず。
その経験がほんの少しでも自分に影響を与えているだろう。

私は今日の景色を忘れない。
私は今日感じた気持ちを忘れない。
そして、もっと色々な景色を観てみたい。
幼き頃のワクワクするような想いを忘れないためにも。
あの頃の純粋な心を忘れないためにも。

爽やかな風が吹く競馬場

2006-08-27 21:19:48 | 競馬観戦記
この季節で週末の北海道と言えば行く所は決まっている。
私は札幌競馬場に足を運んだ。

ここは本当に競馬場か。
それくらいスタンドが素晴らしかった。
立ち見の場所には天然芝が敷き詰められている。
4コーナーだけではなく全面に。
多くの家族連れがシートを敷き思い思いに寛いでいる。
競馬場の直線の長さ分、そんな光景が続いている。
そして、最大の素晴らしさは北海道の気候である。

これだけ北に位置していてもやはり夏の日差しは暑い。
今日の最高気温は30度を超えていた。
でも、東京に比べれば遥かに湿度が低い。
日陰に入ればそれほど暑さを感じず、乾いた風が心地良い。

午後のスタンドには日陰が現れる。
そこに風が吹けばクーラーなど使わなくても十分涼しい。
真夏の屋外で競馬観戦をしても全く苦にならない。
私は初めて夏競馬って良いものだなあと思った。

今日のメインレースは新設されたスプリント重賞。
出走メンバーによく知っている顔を見かけた。
彼女の同級生にはスターがいた。

史上二頭目の三冠牝馬。
二年連続の古馬牝馬チャンピオン。
その二頭に比べれば彼女は日陰の存在だった。
だが、スターたちはもう居ない。

輝かしい勲章を手に第二の馬生に旅立った。
母という重要な役割を果たすために。
彼女はスプリントという場所を見つけ、6歳の今も走り続けている。
決して超一流という訳ではないが一線級の力を発揮し続けている。
どちらが幸せなのかは私には分からない。
でも、単純に旅先で彼女の顔を見られて嬉しい。

ローカルならではの馬との距離が近いパドックで彼女を眺める。
気が強そうに首を時折クッと上げて悠然と歩いている。
キッとした視線は自分の仕事にプライドを持っているか女性の表情。
牝馬ながらに鍛え上げた筋肉を纏うグラマラスな体。
まだまだ一線級のスプリンターだと全身で主張していた。
彼女の戦いのゲートが開いた。

スタートから前に付けられるスピードは天性のもの。
この才能を活かして何度も勝利を重ねてきた。
今日も同じように勝ちに行くため先行して行く。
4コーナーで前を捉えて直線で早めに先頭に立つ。
完全に彼女の勝ちパターンの競馬である。
だが、ゴール前で外から強襲を受ける。
最後の最後で交わされ彼女は敗れ去った。

最後で脚が上がったのか、相手が自分より凄い脚を使ったのか。
どちらなのかは私には分からない。
でも、彼女はまだ走っている。
重賞で勝ち負けできるレベルを維持している。
彼女らしい気持ちの良い走りができている。
それだけで私は満足だった。

自分ではどうにもならない状況に置かれることはある。
それが納得できずに嘆くことは簡単だ。
でも、どうにもならないことならばそれを考えても意味は無い。
だったら、現状を少しずつ良くして行く事を考えるべきであろう。

そこで意外な自分を見つけられるかも知れない。
何よりもそんな姿のほうが美しい。
魅力とはそういうところから生まれるのだろう。
彼女を走りを観て、そんなことが頭に浮かんだ。

そう思えるのはこの場所だからかも知れない。
そう思えただけでこの場所に来た意味が生まれた。
そう思えなくなったらまたこの場所に来よう。
爽やかな風が吹くこの場所に。

世界でたったひとつの競馬

2006-08-26 23:15:50 | 競馬観戦記
「そうだ、北海道に行こう」
競馬月刊誌を読みながら思いついた。
こうして少し遅い夏休みの予定が決まった。

初日の今日、先ず訪れたのは岩見沢。
ばんえい競馬を観るためである。

開拓民が森を切り開き、伐採した木を馬が運んだのが起源という。
世界中でも北海道にしかない日本独自の文化である。

この風変わりな競馬のことは昔から知っていた。
だが、サラブレッドのスピードに魅せられている私には興味が無かった。
単なるドンくさい力比べで、時代遅れの競馬としか思っていなかった。
そんな私の心を変えたのは一冊の本だった。
何もかもを失った男がばんえい競馬に出会い、再生して行く物語。
この小説でばんえいも同じであることに気づいた。
私の好きな競馬と同じであることに。

昼過ぎに小高い丘にある競馬場にたどり着いた。
直線200だけのダートコース。
そこに坂の上り下りの障害が二つ。
ターフビジョンも無くこじんまりとしている。
だが、どこか親しみを感じるのはなぜだろう。
とりあえず、レースを観てみることにする。

ゲートを開いた瞬間から身震いがした。
巨大なばんば達が力強く飛び出す。
セパレートコースに横一線の馬群が現れる。
乾いたダートからは砂煙が立ち上る。
同時に響き渡る騎手が気合を付ける声と橇の鳴る音。
「シャン、シャン」と鳴るのはたしか橇に置いた錘の音。
そんな500キロを超える重さをものともせず皆第一障害を越えて行く。
その力強さに思わず鳥肌が立った。

そのまま一気に第二障害へ向かう。
だが、山の前まで来ると、皆思い思いの位置で一旦立ち止まる。
息を整えて二つ目の山を乗り越える力を溜める。
この第二障害をトラクターで橇を引いて越えようとした。
でも、タイヤが空転するばかりで坂を上れなかった。
そんな話を聞いたことがある。
それほどの厳しい坂をばんばたちは乗り越えなければならない。
息を入れなければとても上れないのだろう。
やがて、一頭また一頭と二つ目の山に挑んで行く。
一気に上りきるもの。
途中で止まって、休み休み上るもの。
ここで大きな差がついた。
後は平坦な道をゴールするだけ。

ところが最後の100mにも満たない道のりは近いようで遠い。
早く第二障害を越えても失速するものがいる。
まるで二つ目の山越えで力尽きてしまったように。
すると後から来た馬が前に追いついて行く。
騎手は長い手綱の余った部分を鞭のように奮って馬の尻をたたく。
ゴール目前で馬体を併せる。
ゴールラインを鼻面が通過したときには前に届かなかった。
だが、ここで終わらない。
橇の後端がラインを通過しなければゴールにはならない。
そうなったときには後ろから来た方が交わし去っていた。
私の親しんでいる競馬で言う指し切り勝ちである。

走破時計はおよそ2分。
コースは200m。
だから、観客は馬と一緒に歩きながら観戦できる。
ターフビジョンなどいらないわけである。

このレースを観ただけでこの競馬がとても気に入ってしまった。
小説と同じ、いやそれ以上の迫力に魅入られてしまった。

今度は馬券を買って応援する馬を決めて観ることにする。
私の買った馬は中団で第一障害を越えていった。
そのままの位置をキープし、第二障害へ向けて一旦立ち止まる。
人気薄を買ったのだがもしかしたらの期待に胸が高鳴る。
3番手で第二の山に向かった。

だが、一歩二歩と行ったところで止まってしまった。
坂の途中で立ち往生である。
騎手が何度も前に進むように促す。
馬も前に進もうと試みる。
でも、体が前に進んで行かない。

一旦、息を入れ再び上ろうとする。
ハミを食いしばり何度も前に行こうとする。
脚が砂に取られるようにやはり進んで行かない。
周りの馬は次々に越えて行くのに。
悔しそうに前がきをしてからまた上る。
ようやく一歩進んだ。

そうこうしている内に他の馬たちは皆第二障害を越えてしまった。
ダントツの最下位である。
それでも目の前の山を越えようとする。
ゴールに向けて進もうとする。
もう、馬券などどうでもよくて、とにかくこの馬がゴールして欲しい。
ゴール前の先頭争いをよそに私は最後方をただ見守った。
傍らに寄り添いながら。
暫くして、ようやく山を越えることができた。

すると、山の下りの勢いで物凄いラストスパートを見せる。
ゴールまでたどり着いていないのはこの馬の他には後一頭。
しかも、もうゴール寸前の遥か前方である。
だが、そんなことは関係無しに前の馬を追いかける。
追いつかないと分かりきっているのにとにかく差を縮めて行く。
彼の走りに私の胸は熱くなった。
その馬は最下位でレースを終えた。


私も彼のように強くなりたい。
たとえ何度躓いても諦めない彼のようになりたい。
たとえ勝敗が決まっていても最後まで全力を尽くす彼に。

北の大地での夏休み。
私はまた競馬に大事なものを教えてもらった。
休みは始まったばかり。
この夏に後どれくらいのことを教えてもらえるのだろう。
残り4日が楽しみになった。