goo blog サービス終了のお知らせ 

リートリンの覚書

古事記 上つ巻 現代語訳 二十五 天の石屋・天照大御神、外に出る。建速須佐之男命の追放


古事記 上つ巻 現代語訳 二十五


古事記 上つ巻

天の石屋
天照大御神、外に出る。
建速須佐之男命の追放


書き下し文


 是に天照大御神、怪しと以為ほし、天の石屋戸を細めに開きて、内より告りたまはく、「吾が隠り坐すに因りて、天の原自ら闇く、亦葦原中国も皆闇けむと以為ふを、何に由りて、天宇受売は楽を為、亦八百万の神も諸咲ふ」とのりたまふ。尓して天宇受売白言さく、「汝命に益して貴き神坐す。故、歓喜び咲ひ楽ぶ」とまをす。かく言ふ間に、天児屋命、布刀玉命、其の鏡を指し出し、天照大御神に示せ奉る時に、天照大御神、いよいよ奇しと思ほして、やくやく戸より出でて臨み坐す時に、其の隠り立てる天手力男神、其の御手を取り引き出しまつる。即ち布刀玉命、尻久米縄をもち其の御後方に控き度し白言さく、「此れより内に還り入るを得じ」とまをす。故、天照大御神出で坐す時、高天の原と葦原中国、自らえ照り明かりぬ。是に八百万の神共に議りて、建速須佐之男命に千位の置戸を負せ、亦鬚を切り、手足の爪も抜かしめて、神夜良比夜良比岐。



現代語訳


 ここに天照大御神(あまてらすおおみかみ)は、怪しと思い、天の石屋戸を細めに開いて、内より聞きました。

「私が隠れていることによって、天の原は自ずと闇となった。また、葦原中国も皆、闇となったのに、何によって、天宇受売(あめのうずめ)は舞楽をしているのか、また、八百万の神も皆、わらっているのか」と仰りました。

しかして、天宇受売は、
「汝命 ( いましみこと )より、ますます貴き神がいらっしゃりました。故に、歓喜し、わらい舞楽をしているのです」といいました。
 
こう言う間に、天児屋命(あめのこやねのみこと)と布刀玉命(ふとだまのみこと)は、その鏡を天照大御神に指し出し奉る時に、天照大御神は、いよいよ奇しと思って、そろそろと戸より出でていらっしゃる時に、その隠れ立っていた天之手力男神(あめのたぢからおのかみ)が、その御手を取り、引き出しました。

即ち、布刀玉命は、尻久米縄(しりくめなわ)をもち、その御後方に引き渡して、
「これより内にかえり入ることはできません」といいました。

故に、天照大御神が出でいらっしゃる時に、高天の原と葦原中国は、自ら照り明るくなりました。

ここに八百万の神は共に議って、建速須佐之男命に千位の置戸(ちくらのおきど)を負せ、また鬚を切り、手足の爪も抜き、神夜良比夜良比岐(かむやらひやらひき)しました。



・千位の置戸(ちくらのおきど)
祓(はらえ)の時、罪のけがれの償いとして出す多くの品物
・神夜良比夜良比岐(かむやらひやらひき)
神の意志によって追放すること


現代語訳(ゆる~っと訳)


 ここに天照大御神は、不思議に思い、天の石屋戸を細めに開いて、岩戸の内より聞きました。

「私が隠れたことにより、天の原は自ずと闇となりました。

また、葦原中国も皆、暗闇となったはずなのに…

どうして、天宇受売は舞を楽しんでいるのでしょうか?

また、八百万の神も何故?皆、笑っているのでしょうか?」と仰りました。

そこで、天宇受売は、
「貴方様より、
ますます貴き神がいらっしゃったのです。

ですから、歓喜して、笑い、舞を楽しんでいるのです」といいました。
 
天宇受売が答えている間に、

天児屋命と布刀玉命は、
その鏡を天照大御神にさし出して見せると、

天照大御神は、いよいよ不思議に思って、そろそろと戸より出ていらっしゃったその時、

その戸のそばに隠れ立っていた天之手力男神が、その天照大御神の御手を取り、岩戸より引き出しました。

すぐに、布刀玉命は、しめ縄を、天照大御神の御後方に引き渡して、
「これより内にお戻りにはなれません」
といいました。

こうして、天照大御神が岩戸よりお出ましになられた時に、高天の原と葦原中国は、自ら照り明るくなりました。

ここに八百万の神は共に議論して、建速須佐之男命に罪のけがれの償いとして多くの品物を納めさせ、また鬚を切り、手足の爪も抜いて、追放しました。



明日に続きます。

読んでいただきありがとうございました。







ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

最近の「古事記・現代語訳」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事